犯罪者達の前奏曲(プレリュード)

開幕の前奏曲

*プロローグ*


。だ語物る至に幕開はれこ


女く抱を命使

男く抱を悪憎

女く抱を独孤

男く抱を語夢

女く抱を命運

男く抱を望一


。るま始は語物、

時たっな重で点ういとムエイクレ、

が人六たっか無のずはう会出来本、

が人六いなもで者罪犯

。語物る遡を時はれこ、

ドーュリレプ







*** *** ***








『それでは、次のニュースをお伝えします。


 今ご覧頂いている

 犯罪者達の前奏曲(プレリュード)

 は、前作、

 犯罪者達の鎮魂曲(レクイエム)

 の続編になります。


 ネタバレを多く含みますので、

 政府は、鎮魂曲からお読みいただく様、呼びかけています。


 時刻はまもなく正午になります』




*** *** ***




『お昼になりました。引き続き、ニュースをお届けします』


 世界最大の都市『グラミー』

 高層ビルが立ち並ぶこの都市を埋め尽くすように、行きかう人々は皆、忙しそうに隙間なき歩道を速足で歩く。

 車道では、まるで駐車場かと見間違うほど、一向に進まぬ渋滞に、ドライバーが皆同様に苛立ちを見せていた。

 人類がこれまで培ってきた技術や知識をふんだんに取り入れたその最先端大型都市には、余裕という言葉はまるで見当たらなかった。

 時代が進めば進むほど、そして文明が発達すればするほどに人口は増え続け、食料も、土地も、そして自由でさえ、人々は楽に手にすることが難しくなっていった。

 人類はこの星の大きさに比べ、過剰に繁栄しすぎたのである。

 高いビルに大小様々な、色とりどりの看板が立ち並ぶ中、ひと際目立つ大型街頭ビジョンが、正午の知らせと午後の速報をその場にいる人々に伝えていたが、もちろんそれを真剣に見ている人間などいなかった。

 皆、自分の事で手一杯なのである。

 だが、大型ディスプレイに映る女性アナウンサーは構わず話し続ける。


『先週、大型受刑者収容所、通称レクイエムより初の脱獄者が出たと政府が発表しました。脱獄した受刑者は、計三名です。

 ハーディ・ロック 殺人罪

 キリシマ・エンカ 殺人罪

 キャリー・ポップ 名誉毀損罪 信用毀損罪

 警察は以上三名を国際指名手配し、行方を追っています。凶悪犯につき、大変危険ですので、見かけましたら最寄りの警察官まで御一報ください』


――レクイエム

 そこは世界最大にして唯一の刑務所である。

 世界中のありとあらゆる受刑者を収容する巨大刑務所。

 設立以来脱獄は不可能と言われ、事実、三十年間その神話は守られ続けてきた。


 女性アナウンサーがレクイエムからの脱獄犯の名を読み上げると、大型ディスプレイには大きく彼ら、三人の顔写真が映し出された。

 歩き様にニュースを耳にした人々は、ディスプレイの顔写真をチラリと見上げ、すぐに目を離すとまた足を止めることなく去っていく。

 ニュースとしては特ダネだろうが、自分には関係がない。

 誰もがそう思っていたのだ。


『政府は、脱獄された経緯について調査を進めており、現在、周辺の警備体制の強化を急いでいます。このことに対し、レクイエム最高顧問のセルゲイ・オペラ氏は、「誠に遺憾であり、許しがたい。再発防止に務める」とコメントしています』


 誰も関心を示さないニュースは次の記事に進もうとしていた。

 だが、それより先に映像は乱れはじめ、砂嵐が吹き荒れるとやがて何も映らなくなった。

 画面が一面真っ暗にブラックアウトした事で、皮肉にも、先ほどまで素通りしていた人々が異常に気付き、足を止める。

 大型ディスプレイに向かって写真を撮るものまでいた。

 誰もが、テレビの故障か、あるいは放送局のトラブルだと判断し、それと同時に興味を無くし、再び歩み始めた時、ディスプレイに映像が戻った。

 だが、そこに映し出されたのは、先ほどまでのアナウンサーではなかった。

 変わってディスプレイに映し出されたのは二人の男と一人の少女。

 少女は画面越しに全世界に訴える。


「あの、聞いてください皆さん! レクイエムの真実を!!」


 彼らがこれからどうなるかはここでは語らない。

 なぜならこれは、時を遡る物話なのだから。

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