第14話「入院」
遠足前眠れない可哀想な子、吉村アリスです、コニチハ。3日前から寝つきが悪く、早朝目が覚め、或いは手術に関する夢まで見る始末。入院当日も6時前には目覚めてミョーにハイでした。時間もあることだし、いつもより5工程くらい多く化粉塗るよ!
入院は3泊4日で木曜14時入院、日曜10時退院予定、木金と有給休暇で2日休み。事務処理上ではこうなのだが、仕事が忙しく、これまでも検査で遅刻するにもかかわらず、無遅刻処理で許されてきたので、午前中くらいは仕事でもするかと入院バッグ抱えて普通に出勤しました。休みなのに仕事してる私偉いネー。そう思うと仕事も楽しい!
上司「吉村、タイムカード打ったんか?」
吉村「いえ。今日は有休いただいてます。」
上司「打っとけ!」
と勝手に打刻する。
…。出勤日になった途端にやる気失せるわー。休みだからこそ、自分のタイミングで仕事終了して移動しようと思っていたのに。
上司「何時に出るんや?」
吉村「11時過ぎです。」←職場から病院までは30分強の距離
上司「そうか。上司2、病院まで車出してやれ。」
どええええ…。そこまでしていただかなくても、と言ってもきかない。既に病院までの往復の切符を金券ショップで購入しておりますし、美味しいランチを食べてマッタリしてから入院するつもりですし、ヤンジャンの発売日だし、わたくしにも計画といふモノがありまして――。
上司「上司2、一緒に食べて来い」
上司2「おごりますよ!」
…。美味しいランチというもの、有閑貴族気取ってのんびり独り食すものであってですね、阪神ファンで趣味パチンコの上司2さんのももクロの話聞きながら食べるなら、それは美味しいランチではなく、…、…。とは言えず、諦めて車出してもらい、諦めて上司2さんと美味しいランチ笑をいただくことに。上司2は病院に観光にまでやってきて「救命病棟ヒュー!」てなカンジでした。
ウチの会社はドナーについては寛容だと思います。このように余計なお節介はするし、私が黙っておきたいところを勝手に本社に報告するしと、気に入らないこと無いワケじゃないけど、基本的にドナー活動のための休暇も遅刻も融通利かせてもらえます。私はコレが「いい会社」とは思わないんだなー。普通やろ。「ドナーやりまーす」で「ほい」と返事もらえないなら、その職場はクソ認定していいと思う。
約束の14時にコーディネーターの本田さん(仮名)と合流し、入院手続きを済ませ、セキュリティカードなるものをいただいて、いざ病室へ。個室です。トイレとシャワーも専用に付いてます。広くてキレイで便利で、私もうここに住みたい。これほど元気なのにイイトコ泊まらせてもらって、人一倍厚かましい吉村でも申し訳ないくらいである。ベッド足りなくなったら真っ先に待合の長椅子コースで全く構いませんから!
個室扉開けるとすぐにナースステーションと給茶機があり超快適。同じフロアにはパウダールームという名のシャンプードレッサーの付いた部屋もあったよ。病院名はブログでは伏せておきますが、個室でなくてもかなり良い設備と思われます。リアル吉村は絶賛オススメしとります。
本田さんは入院準備金の5,000円くれて、今後の流れだけ確認して帰っていきました。入院2日目の朝イチで手術、3日目ヒマな日、4日目の朝退院です。手術が終わった頃と退院時に来てくださるとのことですが、携帯は24時間鳴らして構わないので、些細なことでも何かあったら連絡をくださいと言ってくださいました。まぁ、でも、入院してしまえば一般人のコーディネーターより医療関係者の方にお任せした方がイロイロとスムーズですし、連絡取るようなことはありませんでしたね。
本田さんが帰ったら、吉村アリスのスーパー写真撮影ターイム☆部屋を使って荒らす前に写真撮りまくってやんよ!
と早速病衣に着替えたり荷物解いたりしてましたら、次々と入れ替わり立ち代り人がやってくる。採血、検温、血圧測定の看護士、麻酔科の医師、血液内科の医師、薬剤師。ニヤニヤとスマホでシャッターきるトコを見られましたね、完全に。いろんな処置をされるのに、イチイチ同意書が必要で、ロクに読まずにサインしまくり。吉村は採血直後の腕で机を寄せようと力を入れ、病衣を血塗れにして初のナースコールをしました。アホすぎる…orz新しい病衣はすぐもらえました。
看護士サンは3交代で、交代の度に自己紹介に来てくれました。全く名前覚えてなくてサーセン。皆キビキビして元気で優しくて親切で、私の感覚からすると「ちょっと近い」。私、初対面の人間には人格作りまくって最上級の敬語で接するので、看護士サンの気安さに少しだけ引いてしまう。健康だからだと思います。弱るとこれくらいが丁度よくなるのかも。
一通り写真撮って友人らに送ったら、スーパーヒマタイム。16時、ヒマだ…。夕食は何時だっけ?消灯は21時で冗談のよーに早く、だから夕食も早いはずだからおやつはイカン。痩せたいし、何よりヒマだから食うという思考回路が既にブタ!そう自分を戒めていたときもありました。個室なんでテレビ観放題、携帯も使えるんでニコ動でもYouTubeでも眺めてりゃいいんです。文庫本も勿論持参しています。でも、何の魔法か知らんけど、病室にいると、食べることしか楽しみが無いような気がしてくるのです。本当です。
テレビのモニターを操作すると献立と病院HPが見えるし、夕食の時刻も18時と判明した17時、心の弱い吉村は「探検も兼ねて」と自分に言い訳し、院内のコンビニ24時間営業でヨーグルトとプリンを買って食しました。美味い。
待ちに待った夕食は、…少ない。腹6分目ってトコか。美味しいんだけど圧倒的に量が足りないィ!夜またコンビニ行くしかないな。そんでまた、ベッドで独り食事って、個室なのも手伝って、精神的にめっちゃ不健康ですね。隔離されてる感ハンパない。日頃から独り王将行って何とも思わない吉村でも、ベッドはアカン。
枕元にテレビ台があるので、ベッドの足の方に腰掛けて、ベッド中央に机を移動させ、私、15年振りに「何でもいいからテキトーにテレビ観る」をやりました。夕方のニュースの時間です。いやァ、頭悪くなるネ!お脳に麻薬みたいなモンが入ってきて、知的水準下がるよーな錯覚しています。日頃漫画ばかり読んでるし、テレビ観ないといっても年間1作品くらいはアニメ観てるのに、どうですこの上から目線、バカにしたカンジ。情報を得るのが楽すぎてダメだわ、こんなモン観続けたら処理能力落ちるわ。
大部屋より個室の方が寛げますが、それでも独居と同じというわけにはいきません。病室にカギなんてかけられず、看護士サンは突然やってくるし、朝夕の新聞の配達もあるし、配膳もしてくれるしで、いつ誰が入ってくるかわからない。おちおち歌うことも出来ないし、踊ることも出来ない。というので、私が日頃どんだけ自由に無意識に、歌ったり踊ったりしていたかを自覚しました。
昼間に薬剤師サンが来て寝る前に飲む錠剤を処方された(その他、痛み止めももらっている)。「あー、ハイハイ、眠剤ネ、眠れないドナーは処方されることあるネ」と、説明をロクに聞いてなかった。夕食後、それについて看護士サンから再度説明を受けて、恐怖のどん底に突き落とされました。
寝る前に飲む薬とは、眠剤ではなく、整腸剤だったのだ…!!
手術の際の全身麻酔では、意識を失うだけでなく、筋弛緩もあるのよネ。緩む筋肉は全部、尻の穴も筋肉である。つまり、手術中に尻の穴緩んで便垂れ流しは面倒臭いから、先に出しておく、ということで、
「明日の朝お通じなければ、浣腸しますから^^」
ちょ、ちょ、ちょちょちょちょ、今頃になって爆弾発言やめてよ…!吉村の排便サイクルは3食につき1度であり、入院手続き直前にお通じあったばかりで、明日朝は絶食だから、排便のための食事はさっき食った1食分しかこなしてないわけで。食事予定を勘案すると自然分便は入院3日目の朝を予定しておるのでありましてね、明日朝とか絶望的なんですけどっ…!
「大丈夫ですよ^^」
何が大丈夫か。これだから医療従事者は。いいですか。大病なくただ健康に生きてきた者にとって、浣腸は物凄いイヤ度高いんですよ。全身麻酔や骨髄穿刺より遥かにイヤなんですよ!どうにか回避せねば。明日の朝便意をもよおすためには、先ず食べまくることやな!たとえ5kg太ろうとも、浣腸するより太る方がいい。コンビニで寿司買って食べました。もう躊躇なんてしない。
21時の消灯時刻を過ぎても、個室なのでテレビは観放題だし、大部屋ならテレビ観るのにイヤホン必須のところ、それもナシ。テレビ点けっぱなしでブログにまとめるためのメモをノートに書いたり、そのノートに落書きしてみたり。3泊4日で初日のみ許されてるシャワーも浴びて、入念に身体を洗い(これに先立ってあかすりにも行きました)、明朝便通ありますよーにと念じながら寝ました。
翌日のメインは手術ではなく浣腸だ。浣腸はイヤだ。
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