手をつけてなかった13話。
4月20日。木曜日。
放課後、部活をする為に弘人と葵は部室に集まったのはいいのだが...
「今日の部活はカフェに集合して行う!5時30分までに集合しろよ!」
真斗はそう言い残すと、さっさと部室からいなくなったのです。
「あの〜...弘人くん...」
「何...?葵さん...」
「私、いま一つ思ったんですけど...」
「奇遇ですな。僕もだよ。」
「え〜っと...」
『カフェってどこ?』
あらあら...
「というか悠里先輩はどうしたんですか?」
「なんか用事があるから今日は行けないって言ってたよ。」
「そうですか...」
「.........」
「.........」
「......帰るか。」
「......ですね。」
...実を言うと葵は前回、明里に貰った一杯無料券の裏に書いていた地図で場所を知っているハズですが...
「葵さん?帰るよ?」
手にスポバを持ち、扉へ向かう弘人を見て、
「...はい!」
そう笑顔で返事した葵でした。
てなわけで13話、始まりです。
二人は自宅もといシェアハウスに一緒に帰宅すると、玄関前に瑠奈が膝を抱えて座っていました。
「ただいま。どうした瑠奈?」
瑠奈はガタガタ震えながら
「ゆ...ゆゆ、ゆぅれぃ、がが、が...」
そう口にしました。
「ユーレイ?私は信じてませんけど...一体どこに出たんですか?」
「ぁぁあ、あきべや...にぃ...」
「空き部屋?ああ。確かに二室ぐらい部屋が空いてたな。」
先ほど言った通り、弘人たちの自宅はシェアハウスなので部屋数が多いのは当然の事です。
このシェアハウスには弘人、瑠奈、葵が使用している三部屋と、空き部屋が二つあります。
ちなみに大家さんの部屋は私が使わせていただいてますwww
以上、シェアハウスの紹介①でした。
①とか付けてますが多分今後やりません。
「その空き部屋でなにがあったんですか?」
「ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ」
わー、すごーい!きみは超高速振動ができるフレンズなんだねー!
「とりあえず中に入ろう。まずは幽霊かどうかを確かめないとな。」
二人は瑠奈を玄関前に置いたまま扉を開け、立てかけてあった傘を手に取り、空き部屋へと向かった。
まずは一つ目の空き部屋です。
「そういえば弘人くん。私いま思ったんですがこのシェアハウスっていつ建ったんですか?」
「さぁ...そういえばたしか親父が二年前ぐらいに「やっとタった〜」とか言ってた気が...」
ハハ、意味深ですね。
「そうなんですか...さて早速一つ目、入りますよ。」
ガチャッ(ドアを開ける音)
「我建超世願必至無上道斯願不満足誓不成正覚我於無量劫不為大施主普済貧苦誓不成正覚我至成仏道名声超十方究竟靡所聞誓不成正覚離欲深正念浄慧修梵行志求無上道為諸天人師神力演大光普照無際土消除三垢冥広済衆厄難開彼智慧眼滅此昏盲闇閉塞諸悪道通達善趣門功祚成満足威曜朗十方日月戢重暉天光隠不現為衆開法蔵広施功徳宝常於大衆中説法師子吼供養一切仏具足衆徳願慧悉成満得為三界雄如仏無礙智通達靡不照願我功慧力等此最勝尊斯願若剋果大千応感動虚空諸天人当雨珍妙華
南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏願以此功徳平等施一切同発菩提心往生安楽国ッ!!」
弘人さん!やめて!文字をタイプする指が死ぬ!(by作者)
「弘人くん...お経を唱えた所すいませんけど...ここなにもありませんよ。」
「マジで?あ〜あ、舌が疲れた」
私は指が疲れました。
「じゃあ、二つ目の部屋に行きましょう」
「だな。」
二人は一つ目の部屋を出て、もう一つの空き部屋の前へと行きました。
葵がノブに手をかけ、
「多分この部屋の中に幽霊、またはそれに値する何かがいます。気を引き締めて行きましょう。」
「ああ!」
「行きます!」
ガチャッ
「我建超世願必至無上道斯願不満足誓不成正覚我於無量劫不為(以下略!)」
二人は部屋へと突入しました!
果たしてそこには...
「......誰もいませんね...」
「......だな。見た所イスとダンボール箱しかないし。やっぱり瑠奈が幽霊って言ってたのは気のせいだよ。」
「そうなんでしょうか...?」
「そうそう。んじゃ、さっさと瑠奈を家に入れてから晩飯を作らんt...」
ガタッ
「...なにか物音しませんでした?」
「HAHAHA、まさかw」
ガタッ
「ハハ、気のせいだよね?葵さん。」
「聞こえました?これは気のせいなんかじゃ...」
ガタガタガタッ!
「え〜っと......逃げるか。」
「ですね。」
二人が扉へスタートダッシュの姿勢をとったその時!
ダンボールの影から"黒い何か"が飛び出し弘人の足にぶつかった。
「ぴぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ!?」(弘人の声)
腰が抜け、尻もちをついた弘人の胸にに"黒い何か"が乗り、満月の様な瞳でこちらを見つめてきた。
「ぎゃあああああああああああ!!...ってあれ?コレって...」
葵が振り上げた傘を降ろし、呟いた。
「........ネコ...?」
『ニャア』
その黒猫は葵に返事をしたかのように鳴いた。
「な、なんだ...ネコかよ...ビックリしたなこいつ」
弘人は黒猫に微笑むと頭を優しく撫でた。
恐怖だ...!弘人がネコに対して笑っている...!
「弘人くんは人間ですよ!?笑う時だってあります!」
分かってるからそんなムキにならないでくだちい葵さんwww
「というかこいつ(ネコ)、どっからこの部屋に入ってきたんだ?首輪が付いてるし、飼い猫じゃないか。」
「本当ですね。多分窓から入って来たんですよ。ほら、半開きになってます。」
あっ、本当だ。
「とりあえずこいつにはもと居た所に帰ってもらわないとな。」
「ですね。じゃあ、交番か施設かに連れていきましょうか」
二人はネコを抱え、瑠奈に幽霊ではなかったと説明した後、交番へと向かった。
さて......
窓を開けたのは誰でしょう??
13話。【完】
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