果たしての7話。
その日の夜。
夕食を食べ終えた三人は食器洗いをしている際に、部活動紹介のことについて話し始めた。
「今日の写真部はとんでもなかったですね〜」
「あ、葵さんも来てたんだ。あれはハンパなかったよね〜。」
「ん?何かあったの?私スーパーに行ってて見てなかったんだけど。」
「えーっとね、部活動紹介で放送部が紹介しようとした時に写真部の副部長の真斗が乱入したその時、写真部の部長の悠里が真斗を吹っ飛ばし、正式な紹介をはじめて、歓声があがった。以上。」
ハイ、前回のあらすじ、ありがとうございます。
「へ〜、そんな事があったんだ〜。んで、結局あんた達は何部に入るの?」
「う〜ん...弘人さんはどこに入りますか?」
「......あのさ、突然だけど同じ学年で同じクラスで、同じ家に住んでいるから...そろそろ"さん付け"と言うのはちょっと...どうかな...」
「はは〜ん。要するに『弘人くん』って呼ばれたい訳ね。葵ちゃん、大丈夫よこんな奴のこと聞かなくて。」
「別にいいですよ。」
「じゃあ、呼び捨てで呼んでも...」
「構いませんよ。」
「じゃあ、よろしく、葵。」
「こちらこそ、弘人くん。」
「......なんか...ごめんね...」
それでは、話を戻しますか。
二人は何部に入る予定なんですか?
「う〜ん...てか、その前に一つ言いたいことがあるんだけど言っていい?」
「なによ。」
「......なんかこの洗剤...コーラの匂いがしない?」
「..............」
その日はさっさと皿洗いを済ませて寝た。
※※※※※
翌日。
北校舎二階の廊下にて。
「やっと見つけた...」
弘人は昼休みの時間を利用して"ある部屋"を訪ねていた。
『写真部、部室』
ドアにはそうプレートがあり、横には
『部員があと六人!誰かHelp!
おねがぁ〜い!誰か入部してぇ〜♡
by副部長』
...と悪意しか感じられない貼り紙が。
弘人さん、第6話のフラグ回収とはいえ、本当に"ここ"の部活にはいるんですか?
「……やっぱ一回見学してから考えるわ。」
弘人は意を決し、ドアをノックした。
3秒後。「はぁ〜〜〜〜ぃ...」ともはやため息と同然の返事をしながら写真部部長、秋山 悠里はドアを開けて出てきた。
「ん〜〜〜〜?なぁ〜〜〜にぃ〜〜〜?なんかよぉ〜〜〜〜〜う??」
何語ですか。
「あの〜、部活見学をしたいのですg...」
「ダニィ!?!?」
うお、ビックリした。
急にパワフルになりましたね。
「おう!さて!君は新入生か!名前は?」
「あっ、桑瀬 弘人といいm...」
「弘人くんか!ようこそ写真部へ!まぁまぁ、中に入りなさい!」
悠里は彼の背中をバシバシたたき、部室へと招き入れる。
そこは真ん中にテーブルを置いた、六畳半の小さな部屋だった。
「そこの椅子にテキトーに座っていいよ〜。」
「し、失礼します...そういえば秋山先輩。さっき物凄いため息ついてましたけど、何があったんですか?」
「あは☆分かる〜?さっきね、部員が二人、退部したの〜☆HAHAHA」
「...その割にはハイテンションですけど」
「そりゃあ、弘人くんが来てくれたからハイテンションになるに決まってるじゃない〜!」
「は、はぁ...」
悠里は二枚のおそらく退部届と思われる紙を丸めて捨てると、「さて」と弘人に向き直った。
「弘人くんはなんでここの見学に来たの?あのBAKA副部長の紹介で大半の新入生がひいてたけど。」
「いや、僕も最初ひきましたけど、悠里先輩の紹介で興味を持ったと言うか...あと写真は元から好きですし。」
「へ〜そりゃあ嬉しいや!んじゃ早速この入部届にサインを...」
なんでそうなるんですか。
「あの、僕は見学してから考えるので、少し時間をもらってもいいですか?」
「え〜、まぁいいけどさ。じっくり考えてから入部してね。今じゃなくていいから。」
次の瞬間、
「今すぐ入部せんかあぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!」
真斗はその怒声と共に部室に飛び込んできた。
窓から。
パリーン!!ズザアアァァァ...(着地した音)
窓ガラスを割った後の綺麗な着地。
流石、BAKA副部長ですね。
悠里はそんな中でも冷静に、
「も〜まーくん、ちゃんとドアから入らなきゃダメだぞ。」
「まーくん!?先輩、このBAKA副部長のことをそう呼んでるんですか!?」
「そんな事よりこいつだ!」
真斗は弘人を指差し、
「『見学して決める〜』じゃなくて今すぐ入らんかい!過去にそういう言葉で何人の部員候補を失ったことか!ハイ!何人でしょうか!?
答えよ!」
「え〜と、5人?」
「24人じゃああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!」
声のボリュームをおとした方がいいんじゃ...
「...そうなんですか。」
「だ・か・ら・!」
真斗は弘人を壁際にじわじわと追いつめると、弘人の後ろの壁に手をドンッ!と押し付けた。
またの名を壁ドンと言います。
真斗は鼻息を荒げながら一言こう言った。
「入部しろ...いいな...?」
入部しますか?
→はい
いいえ
「..........→はい」
ヒロトはシャシンブのブインになった!
「ド◯クエみたいに言うな。」
「それでは弘人くん。」
悠里は真斗を引き剝がすと、
「今日からよろしくね!」
と満面で手を差し伸べた。
「......ハァ...こちらこそ、よろしくお願いします...」
二人は握手を交わした。
7話。【完】
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます