黒い流星(物理)が落ちた8話。


「おい、弘人。」


入部してから二日、放課後の部室で一眼レフカメラをいじっている弘人に真斗はそう話しかけた。


「はい、なんでしょうか?」


「お前が入部して二日たったから、今日は実際に活動をしている所を見せてやる。ついて来いよ。」


「あ、はい。」


「いや......その前に"トンカツ"をしないとな」


「??トンカツとはなんですか?小腹を満たしに学食か定食屋でも行くんですか?」


「大丈夫。ただのカツアゲだ。」


「トンカツってそっちかよ!」



そんなこんなで第8話、始まります。



さて、その頃葵はというと、


「さ〜て今夜のご飯はなんだろな♫」


などと鼻歌混じりに下駄箱をでた所だった。


「(でも小腹が空いたからコンビニに寄ろうかな〜)」


なんて呑気な考えをしている時に


それは起こった。



突然校舎の二階からバリーン!!とガラスが割れる大きい音がしたかと思えば、葵の目の前にいきなり"黒い何か"が落ちてきた。


「うわっ!?ビックリした〜...なんなのこれ?」


それはよく見ると立派な一眼レフカメラだった。



落下の衝撃でバラバラになってさえなければ...



(写真部の方、すいません)


「Oh...」


そりゃそんな反応になりますよ。


「とっ、とりあえず!これを...多分写真部かな...に持っていこう!」


流石、葵さん!優しいですね!


...何かのフラグがたった気がするのは僕だけでしょうかね?


「さて、写真部部室は...」


待って、今行かないほうがいいんじゃ...



※※※※※※※



北校舎二階。写真部部室前。


コンコン(ノック音)


「すいませ〜ん。1–Cの立花 葵と言いますけど、このカメr」


『なんだって!?一年生!?!?』


あら、部長の悠里さんとBAKAの真斗さんじゃないですかー(棒)


「あ、はい。一年ですが...このカm」


「いよっしゃあぁ!新入部員来たよ!まーくん!?」


「ああ!もう一人来たな!?」


「あ、あの、ですからこのk」


いい加減話を聞いてあげたらどうです?ね、弘人くん。


「えええっ!?弘人くん!?」


『うお、ビックリした。』


弘人は二人は押しのけ、廊下に出ると

「葵さん!なんでこんなボロくさい所に!」


言い過ぎだと思います。


「いや、なんか窓から一眼レフカメラが落ちてきたので、届けにきました」


そう葵が差し出したのはバラバラの電子基板。


「......サンキュ」


「ていうか弘人くん、写真部に入ってたんですか!?」


「そうだよ。言ってなかったっけ?」


横から真斗が顔を出し

「部員募集中だぜ。」と一言。


「あっ、結構です。」


葵にそう言われ、真斗は「そうか...」と呟くと、右手を上げ、


「じゃ〜んけ〜んポン!」


「あっ!」


突然の真斗のじゃんけんに葵は思わず反応して、パーを出す。


それに対して真斗が出したのはチョキ。


これは言わなくても勝敗は決まりましたね。


「はい、俺が勝ったから入部な。」


「え!?なんでそんな急に...」


ふと葵は右手に柔い感触を感じ、そちらを見ると、悠里が葵の親指を朱肉に付け『入部届け』と書かれているプリントにおもむろに


ペタン


「は〜い☆入部完了☆」


「...ひっ、弘人くん...」


弘人は手を肩まで持ち上げ、首を横に降ると

「僕もこんな感じで入部させられたんだ。仕方がない。」


嘘おっしゃい。


「え、え〜っ...」


こうして、写真部に新たな仲間が加わりましたとさ。


...なんで窓から一眼レフが落ちてきたのでしょうか?



8話。【完】

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