入学編。

入学式の5話。


4月10日 月曜日



市立、峰倉高等学校。



「これが今日から僕たちが通う新たな学び舎だ。

僕は新しい学校生活に胸を弾ませ、校門へとその一歩を踏み出した。」


「なにブツブツ言ってんの?気持ちわるっ。」


同感です。私のセリフを奪わないでください。


「まぁまぁ、まずは遅刻せずに来れただけでもいいじゃないですか。」


今朝、朝5時起きの葵さん。笑顔が眩しいですね。制服似合ってますよ。


前回説明した通り、今日は高校の入学式。

朝早く準備をした後、家から徒歩5分の所にある高校に出発した...が、途中で弘人が道を間違えるわ、瑠奈がまるで青春マンガみたいに塀の上にいる野良猫を追っかけるわで18分ぐらい時間をくってしまった。


そして今へ至り、3人は自分のクラスを確認するため、おそらく生徒会が設営したと思われる受付へと向かった。


※※※※※※※※※※※※※※※※※



『新入生、入場!』



体育館に放送委員の声が響き、吹奏楽部が入場曲を奏で始める中、新入生約180人は体育館に足を踏み出した。


上の学年の先輩方がパチパチと拍手を送り、親がビデオカメラを構える。


新入生の中には緊張して汗が止まらない者や、親のカメラに向けて小さく手を振っている物もいるが、桑瀬 弘人はそういう動作は一切無の無表情で歩き続けた。


なぜ無表情なの?だって?


だって親が来てないんですよ?www


親が来ない入学式なんてシロップがかかってないかき氷と同じですね。(どこが。)



「ねぇ、ちょっと黙っててくれる?」



あ、はい。すいません。


新入生全員が入場し終え、椅子に着席すると、

校長が前のステージに立ち、超長い話を始め る。



ちなみに校長の話と新入生の紹介はカットします。


え?なんでカットするの?ですって?


だってそんなの載せたってつまらないですよ?


この話は日常的な話ですから特に「宇宙人は私の所に来なさい!」という涼宮ハ◯ヒ的なことは起こりませんよ?多分、おそらく、きっと。


そんなこんなで新入生は退場し、自分の教室へと帰っていく。


弘人はトイレに行って手を洗った後、自分の教室、〈1–C〉へと戻った。


ちなみに葵は弘人と同じクラス、瑠奈は〈1–B〉の教室だ。


弘人は内心、「瑠奈と同じクラスじゃなくて良かった...」と思いながら自分の席に座った。


すると同時に「はーい!初HR始めるぞ〜!」とC組担当の先生が入室してきた


「んじゃまずは自己紹介からだな!私の名前はC組の担任になった安藤 桃子。担当教科は社会だ。よろしく!」


それに対し弘人は、

「結構良さそうな先生じゃん。胸も大きいし」


こら、どこに注目してるんですか。


「んじゃ、生徒の方も自己紹介といこうか〜。

ハイ、出席番号一番から!」


そう言うと、一番の人が起立し、紹介を始める。そして弘人の番も来て、超カチコチの言葉で自己紹介すると、席に座った。


やっぱりここは緊張するんですね。


「だってさ、なんか恥ずかしくない?」


そうですか?私は何も思いませんが...

おや、最後の方の紹介が始まりますよ。



その人は「よいしょ」と立つと、


「私の名前は神崎 明里。私はこの峰倉市の情報をほとんど把握している!何か凄い情報が入ったら私に売りに、何か情報が欲しいなら私から買いなさい!もう一度言う!私はこの峰倉市の情報をほとんど把握している!以上!」


これにはクラスの人々や先生、弘人も口を開けたまま硬直。


「...これって本当に日常的な話なんですか?」


葵がそんな中、口を開けるが、それに答える者はなく、入学式初日は幕を下ろした。



5話。【完】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る