第56話 去る者追うべからず? いいえ。追いますよ、力ずくでも。

 

 俺はアズラを『女神の腕』で治療しながら、自分の破れた鼓膜や傷口もヒールアスで回復していた。

 瀕死だった状態から、完全治癒により血色が良くなっていく。


 もしスキルレベルが上がっていなかったら、再使用期間が間に合わなかったと考えただけでゾッとした。

 今回は完全に『セーブセーフ』を発動するべき敵だった。俺は慢心してたんだ。


「ごめん、アズラ。俺を護ってくれてありがとう。でも、こんな自殺みたいな真似は二度とやめて欲しい」

「俺こそすまない。今回の戦いで姫の背中を守る事すら出来なかった。もっと強くならなきゃな……」

 アズラは何処か思い詰めた顔をしていた。そこへ、ディーナ、コヒナタ、ビナスが駆け寄って来る。


「主様よ! さっきのは何じゃ? 凄すぎて近寄れんかったよ!」

「我も初めて見たぞ、あんな力は!」

「さすがレイア様です。格好良すぎでした!」

 三人が褒め称えてくる。俺は賞賛に対して、頭を掻きながら照れつつ応えた。


「『神覚アレ』は短時間しか発動出来ない特殊な技なんだ。ナナが居ないと無理だし、見ての通りもう立てもしないよ」

 俺は足腰に力が入らず、地面にへたり込んでいる。


「成る程のう。主様の切り札か……妾と初めて会った時の黒い姿よりずっと良かったがなぁ」

 ディーナは竜の山での事件を思い出したのか、険しい顔をしていた。その横では何かを閃いた様にビナスが『しめたっ!』と満面の笑みを浮かべながら、目を輝かせている。


「おっほん! 旦那様? 立てないならば我が背負ってやろう! 背に乗るがいい!」

「いや……治癒もしたし、アズラに頼むからいいよ」

「なっ! なんだとっ! 我の背は嫌か⁉︎」

「なんか自分より小さい女の子におんぶを頼むのって、男として抵抗あるかな」

「ぐぬぬっ!」

 ビナスが唇を噛んで悔しがる。ツインテールをプルプル揺らして可愛い。


「私もレイア様を支えたいです……」

 今回の事件で何も出来なかったコヒナタは、一番ヘコんでいた。そして、この時ある決意を抱いていたのだと後に知る。

 俺達はハマドの洞窟へ来た本来の目的である、『狼の誇り』の三名へ視線を向けた。


「とりあえずあの三人をどうにかしなきゃ。コヒナタ、予備の服を出して? まず身体をアクアで洗ってあげよう。あの姿じゃシュバンに帰せないよ」

「なら男二人は俺が見よう。そちらの女性は頼む」

 アズラの指示を受けた後、冒険者三人を洗って清潔な服に着替えさせた。


 身体が衰弱していた為、少しずつ火魔術フレイムで温めた水に簡易調味料を混ぜたスープを作り、口元へ流し込む。


 ーー俺は何があっても塩干草は欠かさないのだ。


 まだ意識は取り戻していないが、ディーナの背に乗せて王都シュバンへ戻る。依頼を達成させた以上、あとは冒険者ギルドに引き継ぐ事にした。


 __________



『冒険者ギルド内部』


「スキルイーター討伐というのは流石に冗談でしょう⁉︎ 災厄指定魔獣なのですよ?」

 マーリックは愕然とし、信じられないと言った表情のままレイアに迫った。


「いや、冗談じゃないよ? 『狼の誇り』を捕らえていたのはそいつだし、精神を破壊するように弄ばれてたね。今後元の生活に戻れるかは本人次第だよ。問題は証拠がない事かな」

『星墜ち』により、素材どころか大地ごと叩き潰してしまったと困っていた所へ、コヒナタが駆け寄る。


「これが身体の一部で証明になりますよ? こんな事もあるかと保管しておきました」

「おぉ、妾達が倒した分身体の破片じゃな? やるのコヒナタ!」

 ディーナがコヒナタの頭を撫でると、頬を赤く染めながら照れて笑っている。


(どこの可愛い妹選手権チャンピオンの方ですか?)

 女神がそう問いたくなる程に、ーー幼女が可愛い。


 ちなみにビナスは宿で留守番をしている。ギルドには魔王としての顔を知っている人物が多く、パニックを避ける為だ。

 目の前にいるギルドマスターなど、きっと失神するだろう。


「本当にスキルイーターをDランク冒険者が倒すなんて……前代未聞です……」

「とりあえず報奨金をくれ。純金貨二十枚キッチリな!」

「と、とんでも無い! それは冒険者救助の報酬です。Sランクの、しかも災厄指定級を討伐したなら純金貨百枚はくだらないですよ? メリーダ! 今の討伐懸賞金は幾らまで上がっている?」

「はい! 純金貨百三十二枚ですね!! 先程の依頼と合わせて百五十二枚となり……す、凄いです! ギルドポイントも53500ポイントを追加されて一気にBランクへ昇格となります!」


 レイアは驚きと共に感動を露わにする。コヒナタの方を向くと、互いに黙って頷き合った。


「しゃ、借金返済だああああああああああああああ!!」

「主様が喜んでおる! 良かったのじゃぁ!」

 続いてディーナと抱き合いながら歓喜する。巨乳に思い切り頭を埋めた。


(後はこの国を出るだけだな!)

 女神は柔らかさに包み込まれながら、今後の動きを既に思案していた。


「じゃあ早速受け取りと昇級を頼むよ。今日は疲れてるから明日またここに来るね?」

 だが、レイアの要求を受け、メリーダは俯いて困った顔をする。


「本来、Bランクの昇級試験はAランク冒険者様が行うのです。今回の事件で今は……他のAランク冒険者も現在はクエストに出ていまして……」

「あぁ、成る程ね。じゃあ昇級はまた今度でいいよ! ギルドポイントが貯まっていればいつでも受けれるでしょう? みんなもいい?」

「あぁ、問題ないさ……」

 三人が同意して頷く。アズラは一人、何か別の事を考えているようで上の空だった。


 その後、メリーダからポイントの更新をされた新しい冒険者プレートを受け取る。


【紅姫レイア 17歳 職業女神 Dランク ギルドポイント55984 討伐魔獣Sランク1】


「あれ? なんか討伐魔獣ってのが増えてるよ?」

「Aランク以上の魔獣は討伐した数が記載されるんですよ。プレートをギルドへ提示した際に、冒険者の力を示す証拠にもなりますから。まぁDランクで信じて貰えるかは謎ですが……」

 マーリックの説明を聞いて、レイアは苦い顔をしながら眉を顰める。


「そんな事、俺達に言われても困るっつーの!」

 多少ギルドの対応に不満はあるが、問題は後回しにして立ち上がった。


「とりあえず明日また来るから、報酬の件しっかり宜しくね!」

 明日の予定は忙しくなりそうだと、『紅姫』の面々は冒険者ギルドを後にした。


 ___________



 俺がディーナとコヒナタにくっつかれながらカナリアの宿へ戻ると、ビナスが瞳に涙を溜めたまま、布団に包まって拗ねている。


「私だけ留守番とかどうなの? 仲間外れとか良くないよ? 寂しいよ。寂しいんだよ……」

 また素の口調が零れ、歳相応の美少女に戻っているビナスの頭を撫でた。


「ごめんね?」

『女神の微笑み』を発動すると、ビナスは満面の笑顔を向けてくる。チョロい。


「ゆ、許してやろう! 次回からは我も連れていくように気をつけるんだぞ!」

「いや、この国にいる間は無理だからね? 明日借金を返したら、シュバンを出ようと思ってるんだ。今更だけど魔王の座をどうやって、ミナリスさんにぶん投げるの?」

 俺は具体的な方法を聞いていなかった事に気付き、ビナスに質問した。


「妾も勝手に主様に付いてきたし、何とかなるんじゃないかぇ?」

「竜王様に、魔王様に、女神様にその騎士様……今更ながら私なんかが付いて行っていいんですか?」

 宿で言っていた『本来ドワーフ王の命より重いとされる鍛冶神ゼンの巫女』であるコヒナタは、長年の封印により自分の価値に卑屈さを抱いていた。それも致し方がないか。

 俺は気楽なディーナと真面目に悩むコヒナタを、両腕で一気に抱き締める。


「二人は絶対にもう離さないからね。何処に行くにも一緒さ!」

「ねぇ? それ私にも言ってよ。やってよ……」

 抱きしめられて照れる二人を涙目で睨みながら、ビナスが嫉妬から唇を噛んでいた。拳を握り震えている姿も中々に可愛い。

 ついついからかってしまう。暫くは惹かれている事は黙っておこうと決意した。


 __________


 十分後。漸く泣き止んで、落ち着いた魔王娘は勢い良く立ち上がり、手を掲げる。


「実はミナリスにぶん投げるのは無理だ! 仮にも我は魔王! そんな勝手が許される訳がないだろう? だから……」

「「「だから?」」」

 レイア、ディーナ、コヒナタの三人は一斉に首を真横に傾げた。


「逃げるしかあるまい! 既に置き手紙は残してある! 旦那様と愛の逃避行だ!」


「いやいやいやいやいや……」

 女神は手を降って拒絶の意思を示し、馬鹿な子を嗜める様な眼差しを向けながら絶叫した。


「なんでいきなり逃亡生活編が始まるのさ⁉︎ 俺は普通に冒険者をやりながらキャッキャ、ウフフしたいの! 絶対やだ! ノーモアエスケープ!」


「なん、だと……もしや我を置いて行く気か⁉︎」

 女性陣は魔王に向けて憐憫の視線を送り、優しく、とても柔らかく語りかけた。


「短い間だったけど……楽しかったよ? 俺、ビナスの事嫌いじゃなかった……」

「妾もじゃよ。良きライバルに巡り会えたと喜んでおったのに、無念じゃのぉ……」

「ビナス様と過ごした日々……絶対に忘れません!」

 哀しげな口調だが内容は残酷極まり無かった。


「ちょっと待ってよぉぉお⁉︎ そこは一緒に逃げてくれるとこでしょう! 一緒にスキルイーターとも戦ったじゃん⁉︎ なんでそんな酷い事言うの⁉︎ もう魔王とか飽きたの! 男の振りもやなの!! 面倒くさいの! 冒険したいの! 見捨てないでええええええええ! ゲホッ、ゲホッッ!」


 レイアは必死過ぎて咳き込むビナスを見ながら思った。

(この国、今までよくもったな……)

 吃逆を起こす程に号泣する魔王を他所に、今まで沈黙しながら一人別の事を考えていたアズラが口を開く。


「魔王様……いやビナス! 俺に継承権をくれないか? そうすれば俺が魔王に名乗りを上げ、ビナスは姫達と共に行ける」

 突然何を言い出すんだと、その場にいた全員がアズラに視線を集めた。しかし、その表情は真剣そのもので、茶化す雰囲気なんて微塵もない。


 レイア達は黙って話を聞く事にした。涙を啜りながらビナスが返答する。


「確かに現在継承権を持つ三人の中に魔王へ名乗りを上げる者はいない。アズラが継承権を主張して名乗りを上げ、我が引退を宣言すれば自由を得られるか。だが、他三人は認めないだろうよ。勝てるのか? ミナリス、キルハ、ジェフィアに」

 アズラは右手を掲げ、迷う事なく答えた。


「勝つんだ! そして俺は魔王になり、力を手に入れてみせる!」

「成る程。目的は禁書の間か……止めておけ。確かに我は禁術を幾つか覚えているが使わん。今は自らの身に封印をかけて、敢えて使えないようにしている。この意味がわかるだろう?」


「わかっている。スキルイーターとの戦いでずっと不思議だった。本来ならビナスがあの程度の魔術しか放てない筈がない。何かに魔力を封印されているのだと感じていたよ」

「以前に魔獣の大群との戦いでやり過ぎてしまってな。魔獣どころか近隣の大地を全て死の土地にしてしまった。それから魔力を『ある条件』を満たさねば解放出来ないよう封じてある。自身にも解けない様にな」


「俺は制御してみせる! 必要なんだ。騎士として姫とこれからも歩く為に! 隣に立つ為に! 護ってみせる為にだ!」

 アズラは自らの不甲斐なさに憤り、血が出る程拳を強く握りしめ歯軋りした。


 女神は黙って聞いていたが、ゆっくりと手を挙げて疑問を投げ掛ける。


「とりあえず言いたい事あるんだけど、先に何でアズラが魔王に名乗りを上げると、ビナスが引退出来るのか教えて?」

 ビナスは説明せねば判らない事柄を絞った。


「この国レグルスは代々歴代の魔王が治めるんだが、血統や家柄、世襲は関係ないんだよ。国民が求めるのは、他国より強い魔獣やダンジョンが多いこの国で、自分達の暮らしを護ってくれる『力ある王』なのだ」

「ふむふむ……」


「だから現魔王より自分の方が力があり、国を護れると名乗りを上げた者がいる事。そして現魔王がその者を認める事で代替わりする」

「成る程……」


「しかし、誰もがそんな事をしては挑む者も碌でもない事を考える奴も多く出てくるだろう? だから第一『騎士』、第二『魔術』、第三『召喚』、第四『暗部』の隊長四人に継承権を与え、その中から名乗りを上げる者があれば戦って魔王の地位を守るか、受け入れて引退するか選べるのだ。隊長も同じく挑まれるから必然と強者が揃う。我は第二魔術部隊隊長から、先代を倒して魔王になったが、今回に関しては我が認めれば引退は出来るのだ」


「そこまではわかったけど、なんでミナリスさん達と戦うのさ?」

 そこからは、アズラが一歩踏み出して答えた。


「己が仕えているのは、現魔王であって貴様では無いと他の隊長が認めないからさ。だから何かしらの結果で他三人を認めさせないと、すぐに魔王の座を降ろされてしまう」


「…………」


「一番は力だ。そして降ろされて他に名乗りがない場合に限り、前魔王が強制で王座へ戻される。他三人が引退を認めていないのと同義だとしてな。だから、俺は負けられない……」


「アズラは今まで職業に『騎士』がつかなかったから継承権を与えられなかったが、今なら問題ないだろう。しかも女神の騎士だしな。もう一度聞くが、本気なんだな?」


「あぁ、俺は必ず力を手に入れて姫を護れる騎士になる! 自信がついたら直ぐにみんなに追い付くさ、それこそ逃亡してでも、ミナリスにぶん投げてでもだ! それまでは待っていてくれ。我が姫レイアよ!」


 ーービナスとアズラが向かい合って視線を交わしている所に、レイアは再びゆっくりと手を挙げる。顳顬に青筋を浮かべながら。


「何を盛り上がってんのか知らないけど、何勝手に決めて出て行こうとしてんの? 俺主人でしょ? 駄目に決まってんじゃん。馬鹿なの?」

 既に心中では憤怒していた。自分の前からいなくなる決断を勝手に決めたアズラに、話の途中からキレ始めていたのだ。


「アズラぁ? ちょっと表でよっか? こういう時、男は拳で語り合うもんなんだよ。ちょこっと半殺しにして、目が覚めた時にはきっと次の街にいるさ」

 ディーナとコヒナタは周囲を漂う怒りのオーラに『こりゃ駄目だ』と既に降参のポーズをしている。自分達には関係ありませんと意思を示した。


 ビナスは自分の所為なのかと、オロオロしながら狼狽えている。


「姫……忠誠を違える気はないんだ! 行かせてくれぇ!」

 アズラが叫んだその瞬間、レイアは思い切り頬をぶん殴った。ステータス差を考えず、女神の膂力は凄まじいダメージを与える。


 ーーガシャアアアアアアアアアアン!!


 アズラは勢いそのままに部屋の窓を破り、外へ吹き飛ばされる。地面に落ちる前に体勢を整え、主人が本気なのだと理解した上で大剣を構えた。


「俺に剣を向けたな? 騎士だって、護ってくれるって言ったくせに! この嘘つき野郎!」

 瞳を若干潤ませながら、レイアも同様に鞘から双剣を抜き去る。


「絶対に必要なんだ! 無力な自分では無く、姫の騎士でいる為に必要なんだ! 頼む! 分かってくれぇ!!」

「そう簡単に、分かってたまるかああああああああっ!!」

 レイアはフェンリルの胸当ての『神速』のみを発動させ、アズラの脇へ下段から双剣を疾らせる。それは『身体強化』を発動させた大剣に円を描くように弾かれ、逆にそのまま剣の腹で胴を打ち据えられた。


「がはっ!」

「今の姫じゃ俺を止めれねぇよ。認めてくれ無くてもいい。必ず力をつけて戻る。」

 今のレイアはスキルイーター戦で『神覚シンカク』を使った影響を受け、身体強化系スキルを使えない。更にはナナが眠りについている。


 ーーこれこそが、神技『星堕ち』までも使い切った代償だった。


 戦闘の疲労と、装備のスキルしか使えない状態では『女神の腕』で完全治癒したアズラを止められない。


「まだ、まだだぁ!!」

 黒炎の髪飾りから黒炎を浮かばせ、陽動に向かわせる。


「シンフレイム! フレイムウォール!!」

 スキルの代わりに魔術を放ち、広域の大炎を連続で放った。隙を突き、双剣でアズラを気絶させる事に狙いを定めている。


「済まない。みんな……俺が戻るまでレイアを頼んだ」

 アズラは護神の大剣に『剣王の覇気』を注ぎ込んで炎を断ち切ると、飛び込んできたレイアの腹へカウンターで右拳を打ち込み気絶させた。


「ばっかや、ろぉ……」

 その言葉を最後にグッタリと倒れたレイアを抱え、ディーナに預ける。

 ーーパアンッ!!

 だが、突然アズラは激しい平手打ちを食らった。


「お主の気持ちも分からんでもないがな……男のプライドから仲間と主様の気持ちを蔑ろにしたのは変わらん。必ず戻ってくると言うなら、妾を納得させられる位強くなって来ねば食ろうてやるぞ?」

 ディーナも同様に怒っていたのだ。それに対してアズラは大きく頷いた後、雄叫びをあげる。


「当たり前だ! 俺は大切の者の為に涙しながら命を張る我が姫に、絶対の忠誠を誓っている! それを護るのが我が剣であり、誇りだ! 今一度忠誠をこの身を以て示そう!」

 アズラは跪き、気絶する女神の手の甲に口付けをかわした後、ビナスの元に向かう。


「魔術印をつけて、俺の継承権と自身の引退、魔王への名乗りを認める書簡をくれ。後は何とかする。明日から姫と共にこの国を出て、五つの人族の国のどこかへ向かう旅に出て欲しい。冒険者をしてくれていれば必ず情報を集め、きっと追い付くから……」

 女神の騎士は、悲痛な表情を隠しながら大剣を背負った。書簡を受け取った後、一人でカナリアの宿を去っていく。

 気絶しているレイアの頬を、一筋の涙が溢れ落ちた。


 ーーこの世界に来て、初めて出会った魔人の仲間。


 その別れは唐突で、目覚めてからも宿中に泣哭を響かせ、泣き続けたのだった。



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