【第2章 ビッポ村での出会いと誓い】

モノローグ 「それは儚い夢のような日々でした。」

 

 多分、ここはまだ夢の中……


 目の前の銀髪の美しい小さな女神を見つめながらそう思った。


 歩けるはずがない。


 椅子に座りながら、ご飯を食べれるはずがない。


 手を繋いで貰えるはずがない。


 抱き締めて貰えるはずがない。


 笑われるはずがない。


 笑えるはずがない。


 怒られるはずがない。


 怒るはずがない。


 私が……私が……私が……


 __________


 助けて欲しいと叫びたいのに、声も出せない私を貴女は助けてくれた。


 酷い事を言ったのに優しく頭を撫でてくれたわ。


 お礼に作ったお菓子は涙を流して食べていたけど、その後顔色が良くなくて心配したの。


 二人で作った花冠は宝物になった。


 初めてキスした時は、心臓が破裂しそうに高鳴って苦しかったけど、嬉しかった。


 剣を構える貴女は凛々しくて、何故か涙が出たわ。


 とっても幸せな夢を見たの。


 隣で寝てる貴女も一緒に見てくれているかしら?



 だから、どうか泣かないで小さな女神様。貴女の微笑みをもう一度見せて。


 それだけで……


 私は本当に生まれてきて良かったと思えるのだから……

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