第4話 「ステータスとやらが涙で霞んで見えないけど、天使は無慈悲に舞い降りる」
一通り泣き叫んで頭がすっきりしたら、俺はすぐにその場を離れた。
こんな魔獣とやらがうようよしてる場所にいたら殺されかねないと判断したからだ。実際、見たこと無いからピンと来ないんです。
(本当にそんな存在がいるのか? オーラは確かに邪悪な感じがするけどねぇ……)
「時間的な問題かな? とりあえずやれる事をしよう! 女神様はレベルや経験という言葉を使ってた。きっとステータスも見れるはずだ」
目に集中して『ぐぬぬっ』と身体に力を込めた。無くした前世の記憶の知識が教えてくれる。この言葉を唱えろと。間違いないと確信があった。
俺は右手をかざし、ちょっと中二病的な自分が思う、かっこいいポーズをとりながら叫んだ。
「ステータス! オーープン!! …………何も起きない?」
「煩いですマスター、黙れ」
もう一度叫ぼうとした直後、脳内へ直接声が響く。変な感覚だけど、不思議と違和感は無かった。どうやら俺のステータスはどうやら反抗的らしい。しかし気にしない。満面の笑顔で許そう。
「マスター、か……」
その甘美な響きに酔いしれていた俺からすれば、ツンデレだろうが悪く無い。寧ろ可愛い声で罵られるならご褒美だ。
「うるさくしてごめんな。ところで君は?」
「レイア様のサポート専用ナビ『天使ナナ』です」
「ナビ? 冒険の道標でもしてくれるのか?」
「あんたみたいな人生の迷い子の道標なんて、死んでも嫌だよ?」
ーー何この子酷いわ! それに返答超早くね? 躊躇いや迷いが一切無いな。
「私に出来るのはマスターのあくまでサポートだよ。脳内にステータスを見せたり、スキルを説明したり、マッピングしたり、完全記憶能力を持っていたり、演算したり、その他、色々サポートする機能があるよ」
その他色々が凄く気になったが、今はいいだろう。
「うん、もはやサポートのレベルを超えてる気がするけど味方ならいいか! あとで人生の迷い子って言葉に対して、二人で話し合う必要はあるだろうけどね?」
「私はナビなので、マスターと合わせて一人です」
この子、百パーセント感情がある。追求から逃げようとしたしね。
「じゃあナナ、まずはステータスを見せてくれる? 自分に何が出来るか知らなきゃ、戦いにもならないよ。」
脳内での会話に慣れてきた俺は、ようやく本題に入った。
「了解です。マスター」
その瞬間、目の前の空間に板と文字が浮かび上がる。実物では無い、縦四十センチくらいの長方形の電子板は、触れられそうな程にリアルな作りだった。
脳内の情報を視覚化しているのが分かる。こりゃあ便利だ。
__________
【名前】
紅姫 レイア
【年齢】
10歳
【職業】
女神
【レベル】
1
【ステータス】
HP 320
MP 515
力 46
体力22
知力 122
精神力 95
器用さ 30
運 スキルが発動していない為、数値化できません。
残りSTポイント50
【スキル】
女神の眼Lv1
ナナLv1
【リミットスキル】
限界突破
女神の微笑み
セーブセーフ
天使召喚
闇■■■
【称号補正】
「騙されたボール」知力-10
「1人ツッコミ」精神力+5
「泣き虫」精神力+10体力-5
「失った相棒」HP-50
__________
「なぁ、ナナ。色々と聞きたい事があるんだけどいいかい?」
「セクハラとパワハラ意外、なんなりとどうぞ?」
レイアは紳士的な自分の問い掛けに対しての、ツンツンナビの返答に軽く苛ついたが耐える。
(俺は大人、マスターなのだ)
「女神様って弱いの? このステータスどう見ても強くは見えないんだが……この世界の平均値を知らないから、なんとも言えないんだけど」
「弱いのはマスターだよ。そりゃレベル1だし。この世界じゃ村人はステータス平均値40位ね? やったじゃない、村なら長になれるよ!」
(我慢、我慢だ俺……)
「じゃあ、スキルは後々検討していくとして、称号補正って何かなぁ? 正直マイナスにしかなってないし、不名誉だから消せるなら消したいかなぁ、ーーなんて思うんだけど」
ナナが鼻で笑ったように、即答する。
「称号はあなたの人生を語る証よ。いい事すればいい称号がつくし、名誉や伝説に連なる称号は、補正値も高いの。逆に悪い事や、不幸な事が一定の数値を越えたら、マイナスの補正値がある称号がつくよ。マスターは凄いね! 転生したばかりで、もう四個も役に立たない称号がついてるよ! 目指せ称号マスター笑」
レイアは思った。口には出さないが【リミットスキル】の『天使召喚』は、きっとこいつを呼び出すスキルだ。それまでに強くなってあらゆる手を使い、ナナを苛め倒してやろう、と。
(旅先で、縄は絶対用意しておこう)
初めてのサポート専用ナビ、『天使ナナ』とのファーストコンタクトは、レイアの我慢一択だった。
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