人を深く愛することは、やっぱり素敵。
素直にそんなことを思わせてくれる、細やかで暖かい物語です。
主人公と、彼。
彼のジャージのポケットからは、しばしばいろんなものが出てくる。何も知らない人が見たら、明らかにゴミ箱に直行してしまいそうな、ちっちゃなもの。
けれど——そこには、一つ一つ、物語がありました。どうして、彼のポケットまでやって来たのか。
彼がポケットにそれらを大切にしまった理由。そして、その理由を知りたいと思う主人公。愛する人の心を細やかに感じ取り、思いを分かち合い、笑い合う。人を愛するって、こういうことだ——彼の心の中にある「愛情」の大きさと、その彼を愛する主人公の真摯な思いに、思わず涙がこみ上げます。
さらりとした中に、愛情の深さと細やかさのたっぷり詰まった、キラキラと輝くような物語です。