第2話

驚きで息が詰まった。


 「……昨日あのニット着た。多分あんな暑い中ニット着たの俺ぐらいじゃねぇか」


 幼馴染の綾奈の顔がさらに真っ赤になる。俺だという証拠が出て来てしまったからだろう。

 艶やかな焦げ茶の髪、吸い込まれそうな大きい瞳。

腐れ縁でこれまで意識してこなかったが、実は可愛かったことに気がつく。


 ふと、友人と本気ではなく、軽く言い合っていた某巨人アニメのあのセリフを思い出した。確か――


 「結婚しよ」

 (あっ口に出してしまった)


 「!? ……よ、よ、ろしく……」




 昼下がり。


 「結婚したい訳でもないのに間違えて求婚したんだけどオッケーされて……言いづらくてまだ誤解はといてねえ」


 学校で、友人の智に話した。


 「とけよ!」


 かなり驚いた顔で叫ぶ。


 「まぁそうだよなぁ」


 (いや、そもそも何で言わねぇんだ? まぁ言いづらいけど、嘘をついても綾奈のためにならねぇし普段なら話してるわけで……)


 しかしすごく可愛か――あ。

 たまたま彼女と目が合う。恥ずかしそうに顔をそらしながらこちらに手を振って来ているのが見えて、

――実際に結婚したいから撤回したくないと思っていることに気がついた。


(心臓止まりそうだわボケ)


顔が熱い。

結局俺も顔をそらしながら手を振った。

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