「単に前歩いてただけの他人に一目惚れした」
@sakasaman
第1話
「昨日の話なんだけど、姿勢が良くて筋肉も身長もあったから、後ろ姿だったけどすごくカッコよかった……でも顔も名前も知らないんだよね」
「十割付き合えねぇじゃん」
「近所を歩いてたから……」
「いや見かけてから一日経ってるんだろ……? どう知り合うんだよ」
少年は幼馴染の相談に呆れていた。
「お願いだから真面目に聞いてってー……恥ずかしいの我慢して相談してるんだって……」
ゴロンゴロンと顔を真っ赤にして床を転がる幼馴染。哀れになってきた。
「協力するよ。まぁここらへん田舎だしな、ある程度は絞れるだろ」
「ほんと!?」
はしゃぐ幼馴染。声がでかくてうるさい。
「服装と髪型はわかるよ」
服装は日によって変わるから基準にならない。田舎とはいえ難しいだろう。
「黒髪のツーブロックでその人黒の7分丈パンツ履いててー」
「普通じゃねえか俺も持ってるわ」
しかも髪型も同じだ。かなりありふれている。
(しかし黒とかモノクロの服は無難だからと買いすぎてしまいがちだ)
彼女が色々話しているが、これ以上話を聞くのは無意味にしか思えず自分の思考が本題から脱線していく。
(白は食べ物こぼすと面倒だから買わないようにしたいんだけど、黒とグレーだけだと服装が暗いんだよな…)
また白を買ってしまったのを思い出した。一応模様は入っているが、背中側なので食べ物対策にはならない。
(昨日この暑い季節にあのニットを着たのは暑かったな〜)
ついつい気に入った服は季節はずれでも着てしまうのだ。流石に37度の日に着るのは俺ぐらいだろう。
「聞いてる!?」
「聞いてない」
幼馴染が目をそらした。何故かさっきより顔が真っ赤で、目が少し潤んでいる。
「一目惚れの相手が着てたのあのニットなんだけど、もしかして」
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