ラブ・ブレイク〜愛し抜く覚悟〜
「私が危ない状況って……一体どうゆうこと?」
突然、自分を拉致監禁した相手、さやかの口から出た、あの時も、今も自分が危険な状況にいると言う言葉に疑問を持つ
玲奈、
「それって突然何の連絡もなく私の前から消えたことと、そして今私を監禁していることと関係があるの?」
ついさっき、さやかのことを絶対に許さない、言い訳なんて聞きたくないと言っていたにもかかわらず、
あまりに気になることだったため思わず聞き返してしまう玲奈、
対して今回、玲奈を誘拐し、玲奈に一生消えないトラウマを植え付けた張本人であるさやかは、
「ええ、まずそこが間違っているの」
玲奈のトラウマの根源を間違いだと否定した、
「……?……どうゆうこと?」
急に間違っていると言われ、頭にハテナマークな玲奈、
「端的に言うと、あなたは今、ある人物に囚われているの!それは私達が中学を卒業した次の日から、ずっとよ!」
「……そんなわけないじゃない!だって私は現にこうして高校へ通っているんたし……ねぇ?ちゃんと話を聞いてるんだから、あんまりふざけたこと言ってると怒るよ?……もう怒ってるけど……」
「ごめんなさい、そう思うのは仕方のないことだわ……でも、冗談を言っている訳ではないの!お願い、信じて!」
必死に訴えるさやか
「この一年、私も死ぬほど辛かった、もう玲奈とは会えないんじゃって、本当は私も離れたくなかった、でも、こうするしか……私にはどうすることもできなかったの!」
本当に辛そうな顔で、申し訳なさそうに言うさやか、
「どうして?」
どうして、さやかは、私に恨まれ、嫌われ、裏切り者扱いされてまで、
何より大切な、ずっと一緒にいようとまで言い合っていた親友のハズの自分を置いて消えてしまったのか、
それほどまでに、そのまま自分とさやかが一緒にいると自分が危ない状況にあったのか、
そもそも、自分とさやかが仲良くしているだけで、自分が危ない状況になる理由とは何なのか、
聞いてしまったからには理由までは聞こうと思い、先を聞く玲奈、
対して、
何か覚悟を決めた様子で答えるさやか、
「いい?これから私が言うことをよく聞いて!とても信じられないかもしれないけど、私が今まで玲奈にしてきたことは全て玲奈を守りたかったからしたことだって、知って欲しいから、正直に話すわ!だから、信じて欲しい……私は、もう一度だけ、玲奈とやり直したいの!」
さやかが必死に訴えてくる様子を見た玲奈は、一瞬、その言葉を言うのをためらったが、覚悟を決め、応える
「わかった!私、さやかのことを信じるよ!話を聞いたからと言って、さやかのした事をすぐには許せないけど、さやかとこのままってのは、私も嫌だから、さやかが私にあんな事した理由、教えて欲しい、私、どんなことでも信じるから!」
一度裏切られたとはいえ、やはりさやかのことを信じたい、
だからもう一度だけ、さやかを信じよう
そう、心に決め、さやかともう一度、やり直そうと、仲直りの握手を求め、手を出す玲奈、
それを見たさやかは、
「ありがとう玲奈!本当に、ありがとう!」
目に一杯涙を浮かべ、玲奈の手を取り握手、
その後すぐに
ヒシッ‼︎
と今度は一方的ではなく、お互いに抱き合う二人、
(ちなみに玲奈を縛っていた拘束だが、手足を縛っていた縄は、玲奈の知識と経験により、二人が抱き合う数秒前には解かれ、地面にポイされている)
何はともあれ、
こうして、
一度は離れ離れになった玲奈とさやかは仲直りしようと、互いに一歩、歩みだしたのだった。
–––––––––––––
「それで?とても信じられないような事って?さっきの私が誰かに囚われているとかなんとかに関係あるの?」
話は戻り、さやかが玲奈を置いて消えた理由の説明を求める、
さっきさやかはとても信じられないようなことだと言っていた、
でも、
今ならどんなことでも信じられると、前向きに話を聞く、
「それは……」
さやかが口を開くと同時に、
バンッ‼︎
と、
二人にいた部屋の扉が、外から来た何者かの手によって、勢いよく開かれる。
それまでお互いの目だけを見て話をしていた玲奈とさやかだが、
突然の事態に何事かと、音のした方を二人同時に見る。
そして、
扉を開けてやってきた人物を確認したさやかが、
「どうやらそれは本人に聞くのが一番早いようね……」
そう言って、扉を開けて二人のいる部屋に入ってきた相手–––––あゆみを指す
「玲奈‼︎無事なの⁉︎」
鬼気迫る様子で玲奈の無事を確認するあゆみ、
「あゆみ‼︎」
私を助けにあゆみが来てくれた!
と嬉しく思う反面、先ほどさやかが言ったことが気になり、少し複雑な気持ちの玲奈、
そして、
「随分といいタイミングで入ってきたわね、あゆみ」
仇敵にでも出会ったかのような、やたらとげとげしい言い方であゆみを出迎えるさやか、
さやかは続けて
「どうやってここが分かったの?ここは場所を知らない人間にはそうそう見つけられない場所なはずだけど?」
と、何も知らないハズのあゆみが、ありえない時間にありえない場所までやってきたことへの疑問をあゆみへぶつける、
「……」
それに対して無言でかえすあゆみ、
「そもそも、どうして玲奈がさらわれたことに気づいたのかしら?玲奈を誘拐したことは、誰も知らないはずよ?なのに玲奈を置いて一人で帰ったあなたがここへ来るなんて、おかしくない?」
と、これまた不思議なことだと、問う、
「それは……」
戸惑った様子で答えるあゆみ、
「それは、ここがあゆみ、あなたのあたまの中の世界だからよね?」
あゆみが続けるより先に言うさやか、
「だからこの世界のことはすべてあゆみの思った通りになる、私と玲奈が離れ離れになったことも、玲奈が一人ぼっちになったことも、あなたと出会い、好きになったことも、全部、あなたが望んだこと……そして、今回私が玲奈をここへ連れてきたことに、本来なら気付くことすらできなかったハズのあゆみが、今、こうして私達の目の前にいることも……」
なにか、物凄く変なことを言っているように思えるが、あまりに真剣に言っているさやかを見ているととても冗談を言っているようには見えない、
「これも、あゆみが玲奈のことを誰にも渡したくないと思っていたから、だからあなたのあたまの中の世界に囚われた玲奈を助けに私が来て、玲奈との仲が戻って、あゆみの元から離れそうになった時に、あゆみの世界がそれを許すまいと、都合よくあゆみに情報が行くように動いたのよ!」
「……⁉︎」
それを聞いたあゆみは、目を見開き驚いている。
「ここが、あゆみのあたまの中?何を言っているの?」
玲奈もさやかの言ったことが理解できず聞いてしまう、
「玲奈、今は私を信じて!」
今は信じてもらうしか無いけど、すぐに言ってることが分かるようになるから、と続けるさやか
「分かった、信じる……」
先ほどさやかのことを信じると決めた玲奈は、同時に、とても信じられないようなことだとも聞いていたため、かろうじてさやかが今冗談を言っているのでは無いと信じようと思えた。
「玲奈!そんな奴の言うことなんて信じないでいいわよ!玲奈をこんなひどい目に合わせて、今みたいな変なことを言う人のことなんて!ここが私のあたまの中?そんな馬鹿な話、あるわけがないじゃない!」
普通に考えればそうだ、
「……ねぇ、そんな人ほっといて、帰ろ?玲奈……昔は好きな人だったかもしれないけど、今は私がいるじゃない、私は玲奈さえいてくれればそれでいいわ、玲奈もそうよね?」
「あゆみ……」
さやかのことは信じたい、だって好きだから、でも、今や、さやかと同じくらいに好きな人、あゆみが言っていることもまた、信じたい玲奈、
「ダメよ玲奈!だまされちゃ!ここは間違いなくあゆみのあたまの中なのよ!」
さやかがあゆみの元へ歩いて行こうとしている玲奈を止めに入る
「何を訳のわからないことを言ってるの?あり得るわけないじゃない、そんなこと、私が超能力を使えるとでもいいたいの?バカバカしい……」
「そうね、バカバカしいわ、こんな話、でもあなたはそんなバカバカしいことを今、現実にしているのよ!」
とても冗談を言っているようには見えない、大真面目に言っているさやか
「じゃあ証拠でもあるの?私が超能力者だって、あるわけないわよね?そんなもの、作り話だもんそんなこと」
自分がまさか超能力者だなんて言われるとは思わなかったあゆみ、完全にさやかのことを馬鹿にした様子で、変なことを言っているさやかを鼻で笑っている、
今の状況は、玲奈を誘拐し、助けに来たあゆみを前に、この世界があゆみのあたまの中の世界で、玲奈はこの世界に囚われている、むしろ、自分が玲奈を助けに来たと言い張る玲奈の初恋の相手、さやかと、
さやかに誘拐された玲奈を助けに来たら、誘拐犯のさやかに、ここは自分の思った通りに全てが動く、自分のあたまの中の世界で、そこに自分が玲奈を捕らえているとか、なんだか訳のわからないことを言われ、困惑しているあゆみと、
二人の間で揺れに揺れている玲奈というなかなかにカオスな感じになってきている。
「……いいわ!じゃあ見せてあげましょう、ここがあなたのあたまの中の世界だっていう証拠を!」
言ってさやかは、
玲奈の正面に向き直り、
「え?な、なに?」
アワアワしてる玲奈の両頬に手を添えて、顔を近づけていく、
どうやら今の状況で、さやかは玲奈とキスをする気らしい、
「……さやか⁉︎」
ここで玲奈は、自分がこれからさやかに何をされるのか分かり、あまりに急な事態に困惑、
受け入れるべきか、突き放すべきか、
頭の整理がつかないまま、流れに身をまかせるかのように、さやかの近づいてくる顔を見ている、
そして、
玲奈とさやか、
二人の唇が触れ合う寸前のところで
「やめてー‼︎」
あゆみが、玲奈達三人のいる部屋全体に反響するくらい、大声で叫んだ、
––––––瞬間–––––
「え⁉︎」
現在、玲奈が見ている景色が、
すぐ目の前にまで来ていたさやかの顔とともに、物凄いスピードで離れていく、
気づいた時には、
つい数秒前には、暗いどこかの部屋にいたはずで、どこを見ても暗がりが続いていたはずの玲奈の視界が、
現在、玲奈達が通っている高校の、玲奈達の教室の景色になっていた、
それも、
さっきまでは、確かに夜の10時を過ぎていたはずなのに、
教室の窓からは、夕日が差し込み、おそらく夕方の6時前くらいの時刻になっている。
しかも、
辺りを見回してもあゆみとさやかの姿が見当たらない、
それどころか、
普段の学校なら、夕方の6時といえば、部活や、居残りの生徒の声や気配がするはずなのに、
一切、人らしい気配は無い、
そんな、
いきなり起きた、謎の事態を前に、一人ぼっちになった玲奈は、
「……嘘……」
ポカーンと、
アホみたいな顔で一人、ボーゼンとしていた。
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