人の心には神をも超えて信じるものがある!

その後、


無事、学校まで何事もなく登校、何事もなく授業を受け、お昼休みを迎えた私達、

(本当に何事もなかったかは聞かないでください、言うまでもないんで)





あっ、桜は自慢するだけしたから帰ってもらった、





今は私の家でお留守番中です。






そして私達は現在、机を囲んでお弁当を食べてます。(私達と言っても私とあゆみの二人だけどね!)



……理沙はまたどっかに行っちゃった、



なんか最近気づくといなくなってて、いつの間にか帰ってくるんだけど何やってるんだろう……




時々アザを作って帰ってくるからお姉ちゃん心配です。



それはまた追々理沙に直接聞いてみるとして、



私が今、あゆみを前にして考えていることは、






––––––––––––––––––







” もはや私達の間に会話は意味を持たない”


時に玲奈はそう思う、


「ん〜〜〜」



という訳で私、桐谷玲奈は、現在、この目の前にいる、我が愛するクラスメイト、柚原あゆみちゃんにキッスを求めて猛アタックしている訳なのですが…


「…何やってんのアンタ…バカじゃないの?」



「あぁあゆみ様〜!いつにも増してキレのいいやつ、ありがとうございますぅ〜‼︎」




まぁこんな感じで、なかなか愛は伝わりません、



会話には、きっちり意味がありました。






私とあゆみの仲もそれなりになってきた訳なのだから、そろそろ先へ行ってもいいんじゃないかって思うのですが、なかなかうまくいかないものですね、


どーしたものでしょう、



「…何もわざわざこんな人目のあるとこでしなくてもいいじゃない…」


ボソッと


あゆみのつぶやきを聞き逃す玲奈ではなかった。


「えっ⁉︎今なんて?それってつまり⁉︎」

「ばっバカ‼︎違うわよ⁉︎いちいち聞いてんじゃないわよ⁉︎このクズ‼︎」


「もぉ〜素直じゃないのぅ、分かったわよ!あ・と・で……ね?」



「ふっ…ふん!知らない!勝手に一人でキ…キキキキスでもなんでもしてればいいわ!この変態!」



あれ?



先に考えてつぶやいてたのは誰だったかしら?





「ん〜‼︎かわええやつじゃの〜このこの〜」


「やっやめなさいよ!うっとおしい!」



まとわりつく玲奈を、シッシッと払うあゆみだが、本気で振り払う気は無いらしく、力は入っていない、




つまり、


なすがまま、されるがままね〜


はぁぁぁ〜、ついにあゆみが私を受け入れてくれる気になったのね?


「嬉しいわぁ〜新婚旅行はどこいきたい?私はね〜」


「調子に乗るな!阿保‼︎ボケ‼︎死ね‼︎」


「うっ……そうよね?こんな気持ち悪いやつ、嫌いになるよね?分かったわ、死んでくる、そして霊となってあゆみの側にずっといるね?」


ショボン、

と落ち込んだ様子であゆみに背を向け、教室から出て行こうとする玲奈、


さらっと死ぬとか霊になって取り憑くとか恐ろしいことを言うあたり、さすが玲奈である。





「ちょっ、ちょっと玲奈⁉︎別に私、本気で玲奈のこと死んでほしいなんて思ってないわよ⁉︎だから…」

「なーんて、うっそ〜!私があゆみの言うことで本気で傷つくわけ無いじゃない!だから安心して!あゆみからの罵倒ならご褒美以外のなにものでもないからいくらでもウェルカムよ!」


フハハハハー!

痛くも痒くもないわー!


と、あゆみに飛びかかる玲奈



「フザケンナこの阿保ー!」



あゆみの渾身の右ストレートが玲奈の顔面にめり込み、そのまま床に沈む阿保一名、


「……ぐっ……我が生涯、一片の悔いなし……ありがとう……ございます……」



という断末魔を残し、

ガクッと白目をむいて意識が飛ぶ玲奈、







完全に意識を失っている玲奈を見下ろしているあゆみは、






「悔いくらい、いくらでもあるクセに、なに言ってるのよ?ホント、バカなんだから」


やれやれといった表情をしながらも、足元に倒れている玲奈を抱き起こそうとしゃがむあゆみ、


瞬間、



玲奈が白目をむいていた目が戻り、一杯に開く、


キラーンという擬音が聞こえてきそうなほど目を輝かせた玲奈が急に上体を起こし、しゃがみ込んだあゆみの首に手を回し、抱きつこうとする。



それに対し、あゆみは


思いっきり頭を仰け反らせると、



「…フン…‼︎」



ヘッドバッドを繰り出した!



ゴッチーン‼︎


という、硬いもの同士が音がぶつかり合った時になる、鈍い音が教室中に響く



「いった〜い!これめっちゃ痛い!」



星が回っているのか、目をチカチカさせたあゆみが、額を押さえ、痛そうにさすっている


玲奈は


「ブクブクブクブク…」


「オイ!床に倒れてるやつ泡吹いて失神してるぞ!」


白目むいて泡吹いて気絶していた。




「ヒィ〜、エゲツネェ〜」


「生きてんのか?アレ?」



「救急車呼ぼうか?」



あちこちから声が聞こえる。


「あぁご心配なく、こいつ化け物だからこの程度じゃ死なないわよ?」


そう言うと、玲奈の足元に周りこみ手近にあった玲奈の片足を掴むと、そのまま引きずって教室から出て行くあゆみ、






玲奈の服装は現在、制服のスカートである、


つまりパンツ丸見えなワケだが気にするそぶりも無しに引きずっていくあゆみ


…恐るべき鬼畜の所業である…。


その日、頭に大きなたんこぶをつくって、泡を吹いて気絶している女子生徒一名と、死んだ魚のような目をして、その生徒の格好も気にせずに足を掴んで校内中を引きずり回す鬼畜一名が現れたことが、学校中に噂として広まり、後に学園七不思議の八つ目として、都市伝説と化すのだが、これはまた別の話である。







–––––––––––––––








玲奈をダウンさせたあゆみだが、


そんな状態のまま、あゆみが向かったのは、とある空き教室、


そこに現在気絶している玲奈を引きずり込み、掴んでいた足を離す。


誰もいない空き教室で床の上に大の字で寝ている玲奈とそれを見下ろすあゆみ、



だが、その表情はいつものムッとした感じではなく、


なんだか、とてもいいことがあった後のような、笑みが浮かんで我慢できない時のような、ニヤけた表情をしている。



「ここなら……」


そう言うと、今だに白目をむいて床に伸びている玲奈の横に座り込むあゆみ、



「私、玲奈に恥ずかしいこと一杯されて変になっちゃったかも……」


そっと頭を抱えるような形で、玲奈の上体を抱き上げ、玲奈の顔に自分の顔を近づけていくあゆみ、


そして、




「ん……」


目を閉じ、冒頭の玲奈と同じよにキスの体勢になるあゆみ、




その距離はみるみる縮んで行き、

ついに二人の唇が触れ合うという瞬間、








–––––––––––––––






「……っていう夢を見たの!」




保健室にて、


元気よく叫ぶ玲奈の声が廊下まで響く、



同時、


バチコーン‼︎


という


おそらく誰かが玲奈の頭を思いっきりしばいた音が聞こえる、


「なっ、何アホみたいな妄想を堂々とほざいてんのよバカ!」



あゆみが顔を真っ赤にして叫ぶ、


「イッターイ!別にいいじゃない⁉︎夢の話なんだから‼︎」


頭を押さえながら訴える玲奈、


「お黙りなさい‼︎アンタはよくても私は死ぬ程恥ずかしいわよ!何よ!アンタと私が……その……キッ…キスしてる夢なんて!あっあり得るわけないじゃない!誰がアンタなんかと……」


言いながら、ますます顔が赤くなってゆくあゆみ、


「……?……‼︎」


あゆみのその反応をみて、玲奈が何かしら思いつく、


「……もしかしてあゆみ……何か私に後ろめたいことでもあるの?」


瞬間、


あゆみが固まる、


そして


「あ、あああああるわけないじゃない!この勘違い!アホ!ボケ!ナス!」


あゆみが小学生レベルの悪口を言ってくる時はだいたい図星なのだ!


だが、


「優しい玲奈ちゃんはあえて触れないでおいてあげるわ、」




玲奈が優しく言ってやると、




「……ん……ありがと……」




素直に礼を述べるあゆみ、



あら珍しい!



「いつか、話せる時がきたら教えてね?待ってるから」



「わかった……」



お〜よしよし


とあゆみの頭を撫でてやる玲奈、


なすがままのあゆみ、




「……⁉︎……」


とそこで何かに気づいたあゆみ、


「って言うか……」


「……?、何かしら?」

「何自然に人の頭撫でてんのよ!このアホー!」



あっ訂正、



こうゆう普通の時も割とアホ、いただきます。


「アホ!いただきましたー!ありがとうございまーす!」


今日も、なんだかんだで平常運転な玲奈と、あゆみなのだった。







ちなみに、



どこからが夢だったのしら?





知る者は、あゆみだけである。







–––––––––






話は変わって、




「そう言えばあゆみ、この前、空き教室で何やってたの?思い出すだけでもニヤけてくるんだけど?」



いきなり


何気ない調子で問うた玲奈なのだったが、


あゆみは


「……」


顔をゆでダコみたいにして固まっている。


「ねぇ?」

「うっさい!黙れ!死ね!」


即答するあゆみ、


先ほど、優しい玲奈ちゃんは言いにくいことはあえて触れないでおいてあげるなど言っていた気がするが、


普段、恥ずかしがり屋のあゆみが一人であんな見た方も恥ずかしくなるようなことをするとは考えられない、


そのため、



こればっかりは聞かないでいることはできない玲奈は、優しくない玲奈ちゃんに変身する。




「えぇ〜⁉︎、そんなこと言っちゃっていいのかな〜?私、あの時のこと、隠しカメラで全方位からバッチし撮ってあるんだけどな〜……」


瞬間、

あゆみの表情が固まった。


「なっ…なんですって⁉︎」



アゴが外れるんじゃないかってくらい開いた口が塞がらないあゆみ、



「何って、あれよ、アレ!……あゆみがア〜ンな事や、コ〜ンな事をしてる、恥ずかし〜映像よ?…そーだ!今度、理沙も誘ってその映像の鑑賞会をしま…」


「も〜やめて〜‼︎わかった!言うから!お願いします!その映像、消してください!」

「えぇ〜?どーしよっかなー」


自分が有利なことをいいことに、完全に調子に乗っている玲奈、



「何よ⁉︎理由言うだけじゃ足りないって言うの⁉︎」


絶望の色を隠せないあゆみ、


「足りないな〜、全然足りない!消して欲しいって言うなら……そ〜ね〜……今度、私の家に遊びにきてもらおうかしら〜?」



そんな罰ゲームみたいな言い方して悲しくならないのかしら?



というツッコミなどする余裕もなく、




人前でもかなりキモイことをしてくる玲奈だ、もし、そんなやつと二人っきりになったら……




想像するだけで顔が青ざめるあゆみ、


でも、あの恥ずかしいことをしていた時の映像を消してもらうためならそれくらいの危険はおかさなければならない、と考え、



「……わかったわ……今度ね?」


渋々玲奈の出した条件をのむあゆみ、


玲奈は


パァァー、と顔を輝かせ、


「ホント⁉︎約束よ?」


超嬉しそうに言う玲奈。



「ええ……、約束……」



なーんて、絶対に守るものですか!何があっても逃げ切ってみせる!


と固く心に誓うあゆみなのだった、



「……で?……」


急に真剣な表情になった玲奈、


「何よ?」


だいたい答えがわかっていながらも、問い返すあゆみ、


「何って、あゆみがどーしてあんな恥ずかしいことをしていたかってことよ?」


トーゼン、覚えているわ


とでも言いたいのか、すんごいドヤ顔の玲奈(ウザい)


まさか、


『実はあれは超恥ずかしいことをやったり言ったりする代わりに、なんでも願いを叶えることができると言う、この学校に伝わる七不思議の一つであって、私は玲奈と気兼ねなくイチャイチャしたいと言う願いを叶えるためにあの日にあんな事していたのー!』



なーんて、


死んでも言えないので、



「ダッ……ダイエットよ!ダイエット!……実は最近私……ちょっと……ふっ……ふふふ太って……きた……ような気がして……」


言っているだけで、なんだがものすごい屈辱的な気分になり、段々涙目になっていくあゆみ、



最近ちょっと気にしていたことだっため、咄嗟にでたが、やはり悲しいものである。



それを察したのか、



ガシィッ!



あゆみの両肩を掴み、



「大丈夫よ!あゆみ!体重全然変わってないから!」



食い入るように言う玲奈、


「……うぅ……ほんと?」


「えぇ!ほんとよ?あゆみの変化なら髪の毛一本爪一ミリ伸びたところでバッチシ分かるから!」



グッと

親指を立ててグットラックしてくる玲奈、


その言葉にはなんだか異様な説得力があり、なぜかホッとしてしまうあゆみ、


だが、


「……それはそれとして……さすがに髪の毛一本からはキモイ……」




なぜか励まされたことに礼を言いそうになったあゆみだが、


素直に礼を言うのも癪なので、そっぽを向いて言うことにする、




それに対して玲奈は



「ふふ……ムフフ……」


めちゃくちゃキモイ顔であゆみを抱きしめてようと身体を密着させようとしていた。



キモイ顔で、



「だからその顔がキモイんじゃー!」




あゆみの叫びと共に、玲奈の鳩尾あたりに重い一撃の入った音がした。






こうして、あゆみの絶体絶命のピンチは通り過ぎたのだった。



「……ところであゆみ?」


「……何?……」


ムッスー

として答えるあゆみ、


「いつ私の家にくる?なんなら今からでも……」


瞬間、




ダッと



無言で全力疾走するあゆみ、



内心では、



(お願いしますお願いします誰でもいので玲奈の言ってたビデオデータ消してくださいお願いします……)



と、何かに必死に願いながら、




––––––––––––––––




一方、




玲奈やあゆみと離れ、一人で校内を歩いている理沙、


その表情はいつも玲奈やあゆみといる時と比べ、少し固い、



「……」



何かに緊張しているかのような、パッと見怖い表情で、自分の歩く廊下の先、ある一点を睨んでいる、



すると、




理沙の視線の先に一つの人影が現れる。


「そんなに見つめなくてもいいじゃない、私、照れちゃうわ」



現れた人物は、理沙と同じ制服に身を包み、会いたかった人に会えたといった嬉しそうな表情で理沙に話しかける、


「……あなたも、ラブパワー使い?」




MIOとの死闘以来、玲奈を狙う女の子はいなくなると思いきや、





「ええ、私も、というのは何か小物みたいでちょっと嫌なんだけど、そうね、私は美香、さやか様の命により、桐谷玲奈さんをいただきに参上しました。

あなたは玲奈さんの守護者とされているラブパワー使いの理沙さんですね?」



とまぁ、こんな感じのラブパワー使いが後から後からどんどん湧いてくる。






そう、


現在、玲奈は狙われている、


今の彼女の会話に入っていた、さやか様とやらに、


「だと言っら?」


と、理沙が返すと、



ニヤリと実に不愉快な笑みをした美香さん


「だったらここで大人しくくたばってくださらないかしら?さやか様はあなたの存在が非常にうっとおしいとおっしゃっておられるので」


理沙がどう答えるのか、知っていながらあえて聞いてくるあたり、小物臭がする。


だが、理沙も律儀に答えてやる。


「断るわ!玲奈は、誰にも渡さない!」



そして、二人同時に自らのラブパワーを具現化させる。





こうして、なーんも知らずに馬鹿やっている玲奈の陰で、


謎のさやか様なる人物から伸びる魔の手と戦う戦士がここに一人、



理沙の戦いはつづく、

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