もうやめて!とっくにあゆみのライフはゼロよ⁉︎

私達が通っているこの高校には他の学校なんかにもよくある『学園七不思議』

なるものがある。


「ねぇ、しってる?あのね?これをこうしてこうするとらこうなるっていう話、アレ本当らしいよ?」


「えー⁉︎うっそだー‼︎」


「あははっだよねー?もし本当でもそんな恥ずかしいこと、できないよねー?」


「でもそんなことするだけで”何でも願いが叶う”なら私、ちょっと考えるかも」


「あはは、マジ〜?」


フッと

通りすがりに同学年の女子生徒が言ったことが何だか異様に耳についたあゆみ、





–––––何でも願いが叶う––––––





もし、本当に願いが叶うなら、私は、


……玲奈と……



「って、ありえないし‼︎」


何を考えたのか、両手で顔を隠しブンブン首を左右にふるあゆみ、




その後、


あゆみが不思議な話を聞いてからしばらくしての、とある日の昼休み、


その日はたまたま玲奈が先生に呼び出されて不在、あゆみは一人でさっさとお昼を食べ終えて暇していた。






…どうやら玲奈が立ち入り禁止場所巡りをしていたのがバレたらしい…


しかも、玲奈を見つけて連行しようとした先生相手に玲奈が猛反撃して逃亡、


「あゆみとお昼を食べるのー!」と叫んでいたらしい、


その後、玲奈を捕らえるべく学校の先生方が総出で玲奈捕獲部隊を結成、それを迎え撃つ玲奈とで凄まじいバトルを繰り広げたんだと…


(マジで何やってんの玲奈のヤツ…)



はぁ、と一つため息をしたところで、

そういえば、

いつか聞いた噂話があゆみの頭をよぎる。



「何でも願いが叶う…かぁ〜…」



あっ、あくまで興味よ⁉︎




そう思いながらもやっぱり気になり、丁度暇だし?試してみようじゃない⁉︎


と、いうわけで、


噂話の内容を試してみることにしたあゆみ、


話を聞きつけた玲奈が、いいところで自分の居場所を探しだし、恥ずかしい所を見られるのを避けるため、足がつかないように出来るだけ人目につかないように教室を抜けるあゆみ、



こうゆうときだけボッチでよかったっておもうのよねー、



と自分がボッチだった時のスキルが役に立ったと思ってしまいガックリ肩を落とすあゆみ、


その後、人気のないことを確認していた(しっ、下見とかしてないわよ?)教室へたどり着いたあゆみ、


キョロキョロと挙動不審な動作をしたのち、どうやら周りに人がいない事を確認したらしく、教室へ入る。




「ん?あれは?」


だが、あゆみが挙動不審な様子で人気のない教室へ入って行く所を目撃した理沙、




その教室は理沙がちょっと一人になりたい時に入る教室だった。


いやー、ボッチの考えることは同じですなー、



少し感心しながら、せっかく二人で話ができる状況なのだからこの機会にあゆみとも仲良くなれたらな、とあゆみを追って教室へ入ろうとして、


止まる、


……そういえば、どうしてあゆみは一人でこんな所に?



いつもならすぐに玲奈がやって来るのに、



もしかして玲奈から逃げてきた?



だとしたら私が玲奈の所へ行って玲奈を止めてあげたほうがいいのしら?



と考えながら、とりあえず教室の中のあゆみの様子を伺い、それからその後の行動を決めようと考える理沙、


しかし、


「……⁉︎…」


少しドアを開き教室の中を覗いてみた所で完全にフリーズする。




そこには……、


最近噂になっている学園七不思議、その内の一つにして恥ずかし過ぎて誰も試せなかった、例の儀式に類似する、あの恥ずかし過ぎる動きをしているあゆみの姿が、


どうやらあゆみもこの噂を聞いたらしい、そして今日は玲奈に隠れて人気のない教室でそれを試してみようという考え

の元、この教室へ入っいったという所らだろう。


そしてついにその儀式の最難関ポイント、言ったものも、聞いたものも、恥ずかしすぎて悶絶必死の、恥ずかしいセリフを大声で叫ぶ、という所で、一人で恥ずかしくなったのか顔を真っ赤にしてイヤイヤするあゆみ、


これは……


今の様子のあゆみを玲奈が見たらベロ出して喜びそうだわ、



その様子を物陰からそっと見ていた理沙が思うと、



「ベロベロベロベロベロ…」

「うわっ⁉︎気持ち悪‼︎何だこいつ⁉︎」

「しっ‼︎関わっちゃダメ‼︎」



どこかから何やら聞こえてくるが、聞こえなかったことにしよう、


って、


あいつ(玲奈)、本当どこにでも湧いてくるのね、本当にあたし達と同じ人間なのかしら、



半ば諦めた様子で心の中でそっとつぶやく理沙、



「ふふふっ…あゆみのためなら幽霊にでも妖怪にでもなってやるわよ?あーいいもの見れたわ、ごっちゃんです‼︎まぁ、理沙のためにでもなれるけどね!」


じゅるり、


と、

いつの間にか理沙の背後にいた玲奈が理沙の背中にもたれかかるような体制で話しかけてくる。(ちょっと⁉︎よだれ垂れてるよだれ‼︎)


「……!…⁉︎…」




突然の予測してない事態に声にならない悲鳴をあげる理沙


(何⁉︎いつの間に背中に憑かれてたの⁉︎っていうか今、あたしが心の中で言ったことがバレてた⁉︎)


「もぉ〜‼︎野暮じゃない理沙‼︎一人であゆみを覗こうなんて‼︎まぁ、あゆみを覗いてる理沙を見つけたおかげであんなレアあゆみ見られたから感謝してるけど?」


となんか言ってくる玲奈、


さっきのエスパーはまぐれだったのかしら?


と、理沙がホッとした所で、


「あっ、そういえば」


ゾクッと


玲奈の纏う雰囲気が急激に変化したことに背筋が凍る感覚になる理沙、



「友達の考えてることくらい、私なら余裕でわかるわよ?それが大切な親友なら特に、ね?」



「玲奈……」


ポッと

自分の顔が熱くなるのを感じる理沙、


そうゆうものなのかな……

と、

玲奈のことばに思わず納得しかけた理沙だったが、



いやいやいや‼︎



「ないからね⁉︎いくら…その…仲良くっても相手の思ってることなんて分からないからね⁉︎」


「そーかなー?……じゃあ、今理沙が考えてること、当ててあげよっか?」


なんか、悪いイタズラでも思いついた子供みたいな、無邪気な顔で理沙の目を真っ直ぐ見据えながら、理沙に迫ってくる玲奈、


えぇ⁉︎本当にわかっちゃうの⁉︎言われちゃうの⁉︎私が…その…玲奈と、あんなことやこんなことをしたいって考えてること‼︎


目をそらさなきゃ、


必死に玲奈と目を合わすまいと顔を逸らそうとする理沙、


でも……


あぁ…そんなこと…できない‼︎

もぉ〜可愛すぎるよ!玲奈ぁ〜‼︎


顔近い顔近い‼︎襲われちゃう〜!



もう…いいかも…




理沙が何か新しい扉を開きかけたところで、


「なっ⁉︎ななななななな何やってんのよあんたらはー‼︎」


今にもキスしそうな超至近距離に顔を近づけ合っていた理沙と玲奈を見つけたらしいあゆみが顔を真っ赤にして怒鳴りながら二人を指差してあわあわしてる。


「っていうか玲奈!あんたさっき先生に連行されてったんじゃないの⁉︎」


と続けるあゆみ、


「ふふふ、あゆみの可愛いい姿が見たくて逃げてきたのよ?全く、あのクソ先行共、私とあゆみが二人でムフフできる場所を探してたら急にやってきて連行しようとするのよ?

何が、『ここは立ち入り禁止だ!職員室までこい!説教だ!』よ、私とあゆみの仲を引き裂こうなんて、何人たりとも許されるものじゃないわ!ムカついたからぶっ飛ばしてやったわよ‼︎」


なんか燃え上がる目をして静かな怒りをあらわにする玲奈、


一方、さっきまで物凄い勢いだったあゆみは、玲奈と理沙が物陰に隠れて何かしていたことから、


「えっ⁉︎もしかして…あれ…見られてた⁉︎」



という、二人の絡みを目撃したこと以上に最悪の事態に思い至ってまい、一瞬フリーズする。


だが、


いやっ、そんなハズ、ある訳ないわ‼︎そうよ‼︎ここは職員室からかなり離れてる教室なのよ‼︎私が教室に入ったのが三分前、いくら玲奈が化け物でも三分で私を探し出してあれを見るなんてできる訳がない‼︎


と思い至り、すぐに復活して、何とか会話を続けようとする。



「いやっ、それは立ち入り禁止場所に入った玲奈が悪いと思うわよ⁉︎」


うん、頑張ったね、あゆみ、


そしてそれには全力で賛成よ、先生もよくやった、


とあゆみの意見に内心で全力で賛同する理沙、


「でもあんなことしてよくこんな早くに解放されたよね?」


普通なら無事でいられたこと自体、不思議に思うような大事を起こしたにもかかわらず、まだ昼休みも終わっていない内に解放されるとは、


本当、懐深いなー先生、


と感心する理沙、

だが、


「ハッそんなわけないじゃない‼︎振り切って抜けてきたに決まってるでしょ‼︎あいつら、私が抜けたことにすら気づかないでいやんの!今頃私の残像に説教してるわよ?あのノロマ共‼︎」


プププ、やってやったぜ!

といった様子で笑う玲奈、


あぁ玲奈、後で大丈夫かしら……


と本気で心配になる理沙、


すると、


ピンポンパンポーン、と


校内放送の始まりを合図するチャイムが鳴る。


『生徒の呼び出しをします!二年の桐谷玲奈さん!今すぐ職員室へ来なさい!」


先生方がどうやら気づいたらしい、


はぁ、やっぱり、



まぁ当然の事態ではあるが、


「チィッ‼︎あいつら気づきやがったか、仕方ない、あゆみとのキャッキャウフフな愛の儀式のため、あの阿保共ともう一戦やってくるか、」


全身からなんかオーラみたいな何かを発しながら職員室へ向かって行く玲奈、


…どうやらこれから職員室で大戦争が始まるらしい…。



そして、その背中を、


やっぱこいつはただの馬鹿なストーカーのようね、といった感じのことを思いながら見送るあゆみと、


もう、どうにでもなれ

何処か遠い所を見据えながら思う理沙なのだった。






その時、


理沙とあゆみに背を向け、”職員室とは逆方向”へと歩いて行っていた玲奈が歩みを止め、クルッと振り返る。


そして、


「あぁ、言い忘れてたけど、あゆみ‼︎もちろん、最初っから最後までバッチリ見させてもらったわよ?めっちゃカワユかったかったです!心の癒しを、ありがとう‼︎」


グッと親指を立てビシッと決めながら、


なんか物凄い爆弾を投下した後、再び回れ右して、颯爽と歩いてその場を立ち去る玲奈、



……こいつ、気づいてやがる‼︎




あぁ、これはまた、顔を真っ赤にしたあゆみが玲奈を猛スピードで走って追いかけて行って蹴りの一つでもかますパターンだわ、


とこれから起こる惨劇を予測し、ウンザリする理沙、


だが、


ん?遅いわね?


玲奈の後ろ姿が角を曲がり、見えなくなっても隣にいるはずのあゆみが走って行く気配がない、


おかしい、

と思い、横を見ると、


「…うっ…うぅぅ…見られた…玲奈に見られたぁ〜」


うわーんと、


ガチ泣きしてるあゆみの姿が、



本気で恥ずかしかったらしい



まぁ、あれだしね?


なんだか可哀想に思った理沙が、あゆみを何とか慰めようと、どう言ったものか


と考えていた時、



ピロンと


スカートのポケットに入っている携帯から着信音が鳴る、


このタイミングで着信を入れられるのは玲奈しかいない、


と携帯を取り出し、メールを確認する、


「マジ?アイツ……」


そこには


『あっあとさっき言い忘れてたんだけど、あの部屋の、あそことあそことあそこに隠しカメラ仕掛けてあるから、回収しといてくれる?ウフフ、あゆみがその内あそこに行くと思って仕掛けといたんだ〜、理沙のあんなことやこんなことも撮れてるから、後で一緒に見ようねー?』


コレを先生に見せたら玲奈を一瞬で牢屋送りに出来るんじゃないかっていう内容が記されていた。



まぁ、しないけど……、


他ならない、玲奈からの頼みなため、


…後で回収するか…と心に決める理沙、


丁度、理沙が玲奈からのメールを読み終えた頃、同じく玲奈から続けて着信がくる。


『それと…あゆみ、今そこで泣いてると思うから…写メしといて‼︎そしてすぐ送ってきて!』


今にもハァハァと玲奈の荒い息が聞こえてきそうな内容、



…全く、玲奈のヤツ…


ハァ〜

と長いため息が出る理沙、



泣き崩れるあゆみに何かしら声をかけようと、理沙が言葉を考えているところで、







なんだか、さっき玲奈が歩いて行った方から、


「見つけたぞキサマァー‼︎」


「ここであったが百年メェー‼︎」




という声が聞こえたかと思うと、





ドガッ‼︎バキィ‼︎



という、




ここは戦場か?


と言いたくなるような、何かが弾ける音や、何か、硬いものが砕ける音が聞こえ始めたが、



まぁ、無視する。






先ほどの玲奈からの、あゆみの泣き顔を写メするという頼みだが、


これはさすがにそれは人道に反するのでやめておくことにする、そして、


「大丈夫?あゆみ」


優しくあゆみの肩を抱いて慰めようとする理沙、



「うん……ありがとう……理沙」


かすれる声で返事するあゆみ、


なんだか、大切な何かを失ったあゆみと、その日を境に、ちょっとだけあゆみと仲良くなれた理沙なのだった。







ちょうどその時、


「ギャァァァァー‼︎」


という、何かの断末魔のような声と、


「ウォォォォォー‼︎」


という、歴戦の戦士達が勝利の雄叫びを上げているような声が聞こえてくるが、



まぁ、


無視する。

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