39 犬の散歩・大器晩成
【犬の散歩】
メイドさん、五月様と一緒にお隣のチワワちゃんのお散歩です。
春一番も吹き、あちらこちらで梅が咲いています。
「五月様、あの交差点はどの道へ行きますですか?」
「散歩のコースは決まってるんだ。次の角を左に曲がるぞ」
「あい」
ピタッ……。
チワワちゃん、四つ角の手前で止まりました。
「ん、どうした? 行くぞ」
五月先生、リードを軽く引きます。
「動きませんね」
ジーッ……。
チワワちゃん、右側をじっと見ています。
「何かあるのか?」
ダッシュ!
チワワちゃん、突然に走り出しました。
「ほぇ、どこへ行く……」
「あ〜ん五月様ぁ〜、待ってぇ〜。あ……」
ズザザー……。
メイドさん、コケました。
「メイドぉー、だいじょぶかぁー?」
だいぶ先で五月先生が叫びます。
「膝擦りむいたです。痛い……」
キャン、キャンキャン……。
ワンちゃんの、急なダッシュに、ご用心。
教訓です。
【大器晩成】
「なあ、めいと、大器晩成ってどんな意味?」
ヒロシくん、唐突な質問です。
「はっ? ヒロシ、そんなことも知らないの?」
「うっせーなぁー。いいだろ、教えてよ」
教わる人の態度ではありません。
「大人物は世に出るまでに時間がかかるってことです」
「ふーん」
「でもなんでそんなこと聞くんです?」
「五月先生が、よく私は大器晩成だからって言うんだよ」
先生ったら……。
「はあ。五月様は既に晩の域なんですけどね……」
そのとおりです。
「ははは、そういうことか」
「おふたりさん、きっついお言葉ありがとう」
五月先生登場。
「でっ!」
「でっ!」
「私はこれからなのだ」
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