24 仕事納め・冬のにおい
【仕事納め】
「メイド、ただいま」
五月先生、お出かけでした。
「お帰りなさいませ」
「うー、寒かった」
「ご苦労様でございました」
五月先生、急いでお着替えします。
「んー、おコタあったかい」
そして、おコタへ直行です。
「五月様、お茶どうぞ」
「うむ」
ズズズズ……。
「お茶菓子は?」
「もう直ぐお夕飯です」
母と子の会話かいっ!
五月先生、あったまった体を伸ばします。
「んぁー、これで仕事納めだ!」
「え、もうでございますか?」
「うん。編集さんに挨拶行ったら、本当に挨拶だけで終わったし」
次のお仕事もらえなかったのですね。
「そうですか……」
「うん……」
「なら……書斎の大掃除しましょうか」
「ん……」
お部屋をきれいにすれば福が舞い込みますよ。
きっと、ね……。
【冬のにおい】
メイドさんはにおいに敏感です。
「春は沈丁花、夏はすいかですかね」
いいにおいは大好きです。
「秋は金木犀と秋刀魚。冬は何でしょう?」
銀杏とマニキュアのにおいは苦手です。
「五月様ぁ」
「あ?」
五月先生、しかめっ面で答えます。
「い! い、今お忙しいですか?」
「何だ、手早く済ませ」
「あ、え〜っと、冬のにおいってどんなかなぁ〜と思いまして……」
メイドさん、引きつり顔で尋ねます。
「冬のにおい?」
「は、はい……」
「冬のにおいか……それは……あれだ、あれ」
「な、何でございますか?」
とんでもないもの出てきそうです。
「コタツの中の靴下のにおい」
「ひ! くつ……した……」
メイドさん、条件反射で鼻をつまみます。
「日を改めます」
「ん、そうしてくれ」
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