12 紅葉②・ハロウィン

【紅葉②】


 新聞のチラシ、テレビのCMも、紅葉の情報満載です。

 休日ともなれば、登山靴にナップザック姿の人が増えました。

 メイドさん、駅で日帰り旅行のパンフレットを持って帰ってきました。


「五月様、わたくしたちもどっかへ紅葉狩りに参りませんか?」

「んー、そうだな……」

 おや五月先生、あまり乗り気でないご様子。


「興味ないですか」

「んー? そんなことはないが……」

「では行きましょ、行きましょ。◯◯神社とかぁ〜、◯◯園とかぁ〜」

 メイドさん行く気満々です。


「お弁当と水筒持って、ハイキングがてら、。近場ならどこがいいでしょう」

 メイドさん、パンフレットを確認します。

「んー、そうだな……」

「おむすびは梅とおかかと、あとおしゃけがですかね。あ、焼きたらこも捨てがたいです」

 メイドさん、どちらかというとそっちがメインです。


「ねぇメイド?」

「なんでございますか?」

「紅葉狩りよりさぁ」

「紅葉狩りより?」


「紅葉狩りより、もみじおろしでお鍋が食べたい!」

「・・・」

 五月先生もやっぱり、花より団子です。




【ハロウィン】


 メイドさん、玄関を装飾しています。

「でっかいカボチャだな」

「五月様、これはジャックランタンです」

 今日はハロウィンです。


「ん。今日の主役だな」

「はい」

 いや、主役は子供たちかと……。


「お前もしかして……仮装しようとか思ってる?」

「もちろんでございます!」

 するんですか? メイドさん。


「えっと、もしかして……子供に交じってお菓子もらいに行こうとか思ってる?」

「もちろ……」

「頼む、恥ずかしいからやめてくれ!」

 五月先生、頭を下げて懇願です。


「大丈夫でございますよぉ。仮装してるから、わたくしだとはわかりません」

「あ、そうか」

 五月先生納得しちゃいました。


「で、何に仮装するんだ?」

「小悪魔メイドです」

「絶対バレるだろう……」

 バレますね。

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