9月15日

 朝集落に出て買い物を済ませた後、島の山を抜ける道路を上り初寝浦方面へ。初寝浦展望台から初寝浦を眼下に望みます。砂浜はきれいですが波は高いですね。

 この辺りは旧海軍施設が多く、ここにも防空壕などが有ります。現在も自衛隊管理の土地がいくつかありますが、名所として首無し二宮尊徳像という像が有りました。別にホラー話ではなく、昔の小学校から旧海軍が移設した、どこにでも有る薪を背負って本を読む二宮尊徳です。

 米軍占領下で米兵がトロフィーとして頭だけ持ち帰ったらしく、無残な姿を残しています。小笠原には至る所に塹壕跡などの戦跡が有りますがこれが一番戦争当時の空気を感じるモニュメントでした。


 さらに進んで初寝浦への遊歩道の入り口に着きます。距離自体は大した事は有りませんが、高低差が激しいです。山の中腹から浜まで一気に降りるルートで中々大変でした。丁度整備中の方々が作業中でしたから、もう少ししたら歩きやすくなっているかもしれません。途中オガサワラゼミに会いました。鳴いているのは道中いつもの事ですが、近くで見るとアルビノのような白い個体です。


 30分程かけて浜に辿り付くと上から見た通りの白い砂浜です。あちこちにウミガメの卵の保護を示す3本枝が刺さっていました。近くを踏み固めないように気を付けて砂浜を歩くと砂浜はふかふかの絨毯のような踏み心地でした。咸臨丸のクルー達が初めて寝たから初寝浦だと解説して有りましたが、この砂浜の心地よさがその理由かもしれません。

 船酔いが酷かったという勝海舟もここで寝たのでしょうか。実際寝転がると高級ベッドのような感触で気持ちいいです。いっそここに泊まりたいくらいでしたが、キャンプ禁止の看板が。小笠原は全島キャンプ禁止ですが、やはりここで寝てみたいという人は多いのだと思います。


 肝心の海の中は砂が舞い上がるせいか透明度が低くいまいちです。右側の岸壁にはアーチのような空洞が有り、こちらの辺りはきれいでしたが今日は波が高く抜ける事は出来ませんでした。サーフィン向けの海岸だなと思っていたら自分より先に来ていたサーファーの方に挨拶されて吃驚です。あのサーフボードを抱えてあの道を登るのかと自分の事を差し置いて茫然としてしまいました。


 行きはよいよい帰りは怖いではないですが、急坂を登り道路に戻ると、中央山に向かいます。文字通り父島の中央にある山で、道路からは大した高さでは有りません。二つの頂上にどちらも登り父島の全景を見渡します。ガイド無しで登れる山は、父島最高峰の旭山を残すのみとなりました。17日に登るつもりです。

 しかし眺望は素晴らしいですが山頂の雲の色が黒くなってきました。早めに降りようとした所スコールです。グレンラガン号と共に木陰に隠れ雨雲が通り過ぎるのを待ちます。雨は強くなる一方でこのままお握りを食べて昼食に。木陰ですら雨を防げなくなってきましたが、しばらく耐えていると雨が弱まってきました。青空も見えて来たので、安全運転で自分から雨雲から離れます。

 びしょびしょにはなりましたが、途中立ち寄った亜熱帯農業センターでは雨に濡れたばかりの植物達が心なしか元気になっていたように思えました。


 集落に降りてウミガメ保護施設の海洋センターを見学。無料ですが保護活動のための寄付金箱があるのでそちらにチャリン。各国に輸出されたウミガメの缶詰やクジラの巨大な頭骨などを見学。


 集落で食糧などの買い出しを済ませ、扇浦という浜に向かいます。シュノーケル向きの浜には見えませんが、実際砂浜なのでこちらも透明度が低く低調。左側の浜を泳ぎながらそう思って引き返そうとしたら、大型のネムリブカが目の前を横切ります。

 だから透明度低い海で急に出てきたら怖いんです。ネムリブカさん・・・

 当然写真は撮れず、右側は磯で幾分ましでした。ヤガラが別の魚に乗っかるように一緒に泳いでいましたがあれはどういう習性でしょう。不思議です。

 珍しい魚には会えましたが、これは偶々でしょう。扇浦はのんびり海水浴用と考えた方が良さそうです。


 宿に戻るといい加減日も沈み中秋の満月がでていました。小笠原も本土も月は変わりませんね。


 小笠原特産のフルーツや野菜も色々食べましたが、今回自分の中で株が上がったのはスターフルーツでした。味は甘すぎず、酸っぱすぎない梨のような中途半端な味ですが、新鮮な物は噛むと果汁が溢れんばかりにほとばしります。お勧めの食べ方は無人島に漂着して真水を探す漂流者に成り切って食べる事です。


 明日はシーカヤックのツアーに参加します。理想は南島迄のルートですがこればかりは天候に左右されるので分かりません。

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