真人は机に向かって考えた。


美奈子の様子はおかしかった。

あのハガキに理由がある。


阿賀流村。


真人の生まれ故郷。

自分の記憶はほとんどないが、美奈子は色々覚えているのかもしれない。


真人の両親のことで苦い思い出でもあるとしたら、そんなところからきたハガキにはいい顔はしないだろう。


早速、インターネットでこの会社を検索してみると、阿賀流村に関連した土産物や観光商材を扱っている会社のようだ。


観光の会社が地元出身者をUターン採用する。それはまあある話だろう。


しかし。

真人はいぶかしんだ。


手紙は真人に来たのではなく、いくらなんでも採用や転職にはもう縁がなさそうな美奈子宛で来たのだ。


社名変更とあったから、ただの形式的なお知らせハガキだろうか。

リストに片っ端から送り付けるタイプの。

であれば採用の文面が書かれているのも、万人に等しく同じ内容で行くのだから理解出来る。


しかし美奈子の反応をみると、そんなに呑気な社交辞令的ハガキだとはとても思えない。


何かある。

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