第16話 outro


6月の吉日。

椎奈がお世話になっていた和希さんの結婚式が行われた。

何故か俺も椎奈の付き添いとして出席してくれるように和希さんに懇願され困ってしまう。

式は滞りなく終わり新郎と新婦がチャペルのドアから姿を現した。

梅雨晴れの太陽に照らされて白いタキシードの新郎と純白のドレス姿の新婦が輝いている。

青空に色とりどりの風船が舞い上がり。

豊作と子孫繁栄を現し新郎新婦が実りのある生活が送れ食べる事が困らない様にと願いが込められたお米と、花の香りによって辺りを清めて幸せを妬む悪魔から2人を守る意味がある花弁が幸せを願う参列者から新郎新婦に一斉に振りかけられている。

風船の演出は恐らく椎奈の提案だろう。

椎奈の足は順調に回復を見せ杖も一本で大丈夫なまでになった。しかし担当医によればこれから先は未知数らしい。

そして未婚の女性が集められブーケトスが行われるようだ。

椎奈も遠慮がちに集まった女性達の後ろの方に立っている。

新婦が背を向けてブーケをトスした。

すると女性達の体が後ろに動き椎奈がよろけた。

慌てて椎奈の腰に手を回すと椎奈が俺にしがみ付く。

ブーケは宙を舞っていて椎奈が持っていたロフトランドクラッチを掴んで狙いを澄ますとオープンカフにブーケが収まった。

「シュン、ありがとう」

「し、椎奈?」

俺の首に椎奈が抱き付いた瞬間に頬に柔らかい物を感じる。

歓声が上がり新郎新婦が嬉しそうに拍手すると拍手喝采に包まれた。

未来の事なんて誰にも分らない。

それでもこうして寄り添え合えばどんな事も乗り越えられるだろう。

俺と椎奈もいつかきっと。





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ナミダノコエ 仲村 歩 @ayumu-nakamura

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