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「君はやっぱりいい子だ。でも今夜は帰るよ。君が僕に抱かれたいと思うまで、もうここには来ない」
もう来ないと言われた途端、不安になった。
店長が来なければ……
食事が出来なくなる。飢えることは辛い……。
「……また来て下さい。お願いします」
「素直だね。わかったよ、また来る。恋愛カウンセラーのユーザーとは、まだ誰とも逢う約束をしていないんだね。まぁいい。今夜はゆっくりおやすみ」
店長は私を抱き締め額にキスをした。ネットリとした唇の感触に鳥肌が立つ。
「おやすみなさい」
店長は私に乱暴はしない。
無理矢理体を奪うこともしない。
私が従順に従う下僕になるまで、ゆっくりと飼い慣らすつもりなんだ。
店長が帰宅したあと食材を冷蔵庫に入れ、常温で保存出来るビスケットやチョコレート類は外袋だけ破ってゴミ箱に捨て、冷蔵庫ではなくクローゼットの中に隠した。
全て食べ尽くしたように見せかけ、生きるために保存する。
万一、店長の怒りを買い食材を与えられなくても、数日はこれで飢えを凌げる。
私に残された道は、店長と愛人契約を結び従う振りをし、店長が浴室に入っている隙に鍵を盗んで逃げ出すしかない……。
でも、一歩間違えば……
店長に体を奪われ、一生監禁される危険性がある……。
「どうすればいいの……。誰か助けて……」
絶望から、涙が溢れた。
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