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動揺を悟られないように、野菜サンドにパクつく私。
みやこの眼差しにドキドキしてる。もともと嘘は苦手だ。嘘をついてもすぐにバレてしまう。
「さてと、そろそろ帰社しないと。編集長に叱られちゃう。じゃあね、まひる」
「あっ、みやこ。今夜は何時頃帰るの?夕飯はいる?」
「うん、そのつもりだけど。この調子だと残業になるかも」
「ご飯作って待ってる。頑張ってね」
バイバイと手を振る私。このセリフ、まるでみやこの奥さんみたい。
みやこは原稿の入った封筒を掴むと、スクッと立ち上がる。スイッチON、もう編集者の顔してる。
かっこいいな。
私のやりたかった仕事。
私のなりたかった職業。
でも、私はなれなかった……。
みやこの背中を見送りながら、自分の不甲斐なさを痛感する。
でも、生きていくためには仕事を選べない。
頑張ろう。
人生に無駄なことなんてない。
きっと全てに……意味がある。
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