23

 パソコンは殆ど使用したことがない。


 ネットで歴史的文献を検索し、小説の参考資料にするくらいしか利用価値はないと思っていた。


 だが、今は違う。藁をも掴む思いで、ポチポチと右手の人差し指で慣れないキーボードを叩く。


「れんあいしょうせつのかきかた、変換」


【恋愛小説の書き方】


「いや、違うな。いせいとのつきあいかた、変換」


【異性との付き合い方】


 画面に表示されたのは、アダルトなタイトルばかり。


「セックス入門、美熟女の口説き方。は?熟女?違う。俺はそんなことを知りたいわけじゃない」


 画面をスクロールしていると、【桃色恋愛カウンセラー】の文字。


 桃色?

 桃というだけで、女体を連想する。


 【桃色恋愛カウンセラー

 当サイトの管理人、桃色(ももいろ)。

 桃色が女性視点であなたの悩みにお答えします。男性、恋愛初心者大歓迎。女性の気持ちを理解し、あなたも素敵な恋をしませんか?

 これで意中の彼女も、刺激的な恋の虜。】


「いかにも、詐欺紛いな誘い文句だ。開けば有料アダルトサイトか出会い系サイトに決まっている」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る