第21話 海軍用語集
帝国海軍に様々な隠語が存在する事は、少し紹介したが、今回はもう少し掘り下げてみたい。海軍三校という用語がある。海軍三校とは、海軍兵学校、海軍機関学校、海軍経理学校の3つの学校を指す。この3つにはランクがあり、海軍兵学校が最上位になる。終戦でなくなるまで、この海軍三校は存在した。naval holiday という用語もある。海軍の休日と直訳出来るが、意味は少し違う。ワシントン海軍軍縮条約において、日本海軍の戦艦保有比率は、対英米比で5:3とされた。これにより、日本海軍は建造予定の主力艦の建造を相次いで休止した。その事をnaval holidayという。バッタという道具がある。これも立派な海軍用語にあたる。海軍伝統の制裁に用いられた道具で、1メートル程の木の棒である。バッタによる制裁は、鉄拳よりもはるかに壮絶なものであったという。バルジという装置がある。これも海軍の専売特許だろう。バルジとは、魚雷の威力を減殺し、魚雷内部に急速注排水する為の装置である。特技率という言葉もある。特技率とは、普通科、高等科、特修科のいずれかの練習教程を終えるともらえるものであり、下士官昇進への登竜門と言われた。術科学校という教育部署が海軍にはある。兵科と機関科があり、兵科ならば砲術、航海、通信の各術科学校があり、機関科ならば工機学校があった。この術科学校を終えるのも昇進への近道であった。ラッタルというものが艦船にはある。艦船の中は狭く、横の幅はかなり制限されるため、それを解消するために設けられた梯子である。ハンモックというのも海軍ならではだろう。釣り床の事で、狭い艦船における重要な場所であった。狭い艦船は食料備蓄のスペースが豊富にはなく、食料がなくなれば大洋の魚を釣るしかない。これにならいハンモックナンバー(卒業席次)という言葉もある。カッターというてこぎ舟が、どんな艦船にもある。内火挺ともランチともいう。エンジンや機関が停止した場合、脱出に使うのはこのカッターである。また、隠密作戦用に使われた事もある。軍属なる人種も海軍にはいた。海軍の正式な兵隊ではなく、海軍の許可を得て軍の勤務に従事する人間がいた。例えば床屋などだろう。他には洗濯やコックなどもいたと言われている。もちろん、生活の為であり彼らは海軍相手に生計を立てていた。
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