第8話 戦艦建造概念

 これは大和だけに限った事ではないが、軍艦というものを作る場合には、同型軍艦を段階的に複数建造するケースが多い。その方が効率が良い為だ。大和型戦艦の場合には、第2号艦として「武蔵」が建造されている。これを姉妹艦、あるいは兄弟艦という。比較の為に、「長門」級戦艦とそのスペックを比較してみたい。まずは、「長門」級のスペックである。水線長213メートル、最大幅29メートル、喫水7.15メートル、公式状態排水量43580トン、最大速力25ノット、機関出力82000HP、兵装40サンチ砲連装4基×8門、14サンチ砲18基18門で、大正9年に建造されている。次に、第1号艦である大和と、第2号艦である武蔵のスペックは以下の通りである。水線長256メートル、最大幅38.9メートル、喫水10.4メートル、公式状態排水量64000トン、満載排水量73000トン、最大速力27ノット、機関出力150000HP、航続距離16ノット速力維持時7200マイル(13300キロ)、燃料(重油)搭載量6400トン、飛行機射出機2基、水上機7機(偵察観測機)、即距艤15メートル×4基、10メートル×1基、探照灯150サンチ×8基、機関「主機械タービン」4基(推進器4個)、兵装46サンチ砲3連装×3基9門、15.5サンチ砲3連装×4基12門、12.7サンチ高角砲連装6基×12門、25ミリ機銃3連装×8基24挺、12ミリ機銃連装×2基4挺、となっている。日本海軍を支える職人達も、大正10年の戦艦陸奥建造、以来の3万トンオーバーの戦艦という事で、大和型戦艦2隻の建造にあたっては、現場にも相当なブランクがあった。naval holidayによる主力艦の建造中止は、職人の腕をなまらせるには、充分すぎるものであった。ちなみに、大和は広島県呉海軍工廠で建造され、武蔵は三菱長崎造船所で、それぞれ建造された。

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