SS1
「ここが奴の引き取っている病院か?」
アタシはルビ・デグリ・アルマティ、元ソーラー学園の体育兼実技教諭を務めていた。理事長と学園長に辞表を出して学園に飛び出し、このトーエの総合病院の前に立つ。
どうして学園の教師を辞めた理由は……
(アイツ……どうして死んじまったんだ)
アタシの昔馴染みの逝報を聞いて、ある事件に巻き込まれて殺されたニュースを聞いて、急いで学園の教諭らと共に、現場へ直行した。
到着すると、友人の屋敷はもう既に、何も残っていない焼け跡の廃墟と化していた。
(出火原因は放火で、死因は刃物によって殺された)
目撃者の話によると、その友人宅に火事が起こり、屋敷は火の海と化し、何も残らないように焼き払ってしまった。警察組織の鑑識課に話によると、死体を解剖したところ、鋭い刃物のような物で、身体をパーツのように分解する程に切断された。これは
(誰が友人を殺したんだ)
アタシは決して、友人を殺した奴を許せない。復讐する訳でもなく、一発でぶん殴りたい。
(友人と家族と親戚が殺されるとは)
友人の親族、オオウチ家の当主の誕生パ―ティーの最中に、何者かによって
(子供だけ生き残れたのは、奇跡のように嬉しいけど……)
通夜と
(どうして生き残った子供たちが参加していないんだ?)
その生き残った子供達は、葬儀には参加しておらず、同じオオウチ家の親族のご子息なのに、普通参加するはずだ。
(
気になって探ったところ、親族の子供達は全員、誰かに引き取られて養子に出された。別々な地域、あるいは惑星にいるところだろう。
犯人は誰なのか分からずじまいだ。その子供たちが実の両親の葬儀に参加しないまま、養子になってしまうなんて、
(でも、一人だけ引き取っていない子供がいるとは……)
ところが、一人だけ生存者である親族の少年が引き取っておらず、アタシはその少年の両親を、諜報員の書生係を担当する生徒に聞き出したところ、私は驚いてしまった。
「アイツの子供とは、知らなかったな)
なんと、アタシの昔馴染みの友人の子供だったところが判明。
その少年は、まだこの病院にいるのを情報を聞き出し、このまま友人の子供を野放しにしたら、養護施設送りになってしまう。
アタシは決心した。
(今日でソーラー学園の教師を辞めて、飛び出してきちまったな)
アタシは決意をして、長年勤めていたソーラー学園の教師を辞めてしまった。
(理事長と学園長の許しが出ていたけれど、いいのかな?)
今朝方早く荷物をまとめて、アタシは理事長に辞表届を出した。しかも、彼女は驚きの顔もせず……
『まあ、お主の勝手だから好きにしてもよい。戻りたければ戻ってくるがいい』
……と許してもらった。戻るつもりはないけど、アタシは本気で教師を辞めるつもりだ。
それに比べて学園長の奴は……
『君の人生だから、頑張りなさい』
……とマイペースだよな学園長。
(教え子を何も言わずに)
その直後に学園を立ち去った。生徒にも別れの挨拶を言わずに……
「アタシが面倒を見なければいけないな」
友人の子供を放っておけない。いなくなった友達の代わりに、アタシがあの子の子育てと面倒を見なければいけない。
だから、学園の教師の仕事を捨てて、私は親代わりになる。
飛び出した直後、私は友人の子供が入院している病院へ向かった。何時間が掛かって例の病院に辿り着いた。
「病院……入りますか」
アタシは病院の正面口へと入った。
正面口の自動ドアが開き、病院のロビーから受付の看護婦に話付ける。
「ご面会ですか」
「いいえ、例の事件の少年を引き取りに来た」
「はい!?」
入院している友人の子供を引き取りに来たとご対面し、その受付を担当する看護婦は、謎めいた顔でアタシを見つめる。
「名前をお願いします」
アタシは受付に設置してる薄型レンズのPCで、名前と出身惑星と地域を記入した。職業欄も〝教師〟と忘れず、ちゃんと全部埋まったところでボタンを押した。
「終わったわ」
「少々お待ちください」
受付を担当する看護婦は、PCで私の名前を確認すると、とても信じなさそうな顔で見つめる。
「確認しましたので、身分証明書をお持ちでしょうか?」
「これだけど」
ポケットから取り出したソーラー・グラスを起動して、身分証明書を看護婦に見せたら、
「これは!?」
彼女は一瞬で仰天した顔で、私の顔を見る。
「あなたはソーラー学園教諭の方ですか!」
その受付の看護婦は、私の職業を見て驚き、慌てて私に向けて謝罪した。
「すみませんでした! 今すぐ被害者の部屋を教えます。場所は8階です!」
「そうかい、案内ご苦労様」
アタシはその入院している少年の病室へと向かい、エレベーターで入院患者や医者と看護婦などの人間がゾロゾロと入って来て、アタシは8階のボタンを押した。
8回に辿り着いて、エレベーターから出ると、少年のいる病室の前に立つ。
(少しは緊張するな……)
友達の息子を会いに来たのに、なんで緊張感が溢れているんだよアタシ。
今日からあの少年の親代わりになるんだぞ。母親らしく育ててあげないといけない。
「仕方がない。元気よく挨拶しますか!」
アタシは覚悟を決めた。自動ドアが一瞬で開き、その病室へと入室した。
「おっ! 起きてるじゃないか!」
入室した直後に、病室のベッドで寝込む白髪と赤毛の少年が、私が入って来たのを驚いた。
それが……私とヨシノの出会いだった。
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