45話

 問題を起こした三人組のめ事で、実技授業を担当するサイトウ先生の提案で、僕らはクソトリオの言い争いを解決するために、対戦させられる事になった。

 そう決めた直後に、実技授業の時間が段々と潰れ、説教が終わった途端とたんに、授業が終了してしまった。


「どうすればいいんですか、オオウチ君」

「仕方ないだろう」


 僕はエリスと一緒に、一旦教室に戻って、机を合わせて対戦について、作戦会議を考えていた。


「なんで私が対戦のチームにならなきゃいけませんの?」

「いいじゃないか、エリスと一緒に組めば負けないだろう」

「そうではありませんわ!」

「参加するのが怖いのか?」

「違います!」

「相手に襲われるから?」

「いいーそれもありますわ」

「そうだな」


 僕を攻めるように明言するエリスは、三人対戦のチームを、僕が勝手に入れたことで嫌になるほど不満か、相手は卑劣ひれつで最低なクソトリオのクズに襲われるのを認める。


「それじゃありませんわ。相手は強いですわよ」

「大丈夫。僕がボコったから安心だよ」


 昨日、僕がクズトリオの喧嘩で圧勝し、全員僕のフルボッコでお見舞いした。対戦相手で気軽に戦えるはずだった。


「違います。相手は四組の生徒ですわよ!」

「四組?」


 あの三人組は別のクラスじゃないか。

 どうして、違うクラスについて、エリスは危険を感じた顔をするんだ。


「それが何か?」

「何かじゃありませんわ! 四組は五組に適いませんわ!」

「どうして?」


 クラス別で戦う勝負対決なのに、エリスは不安そうな顔付で汗を掻く。

 クラスが違うのにどうしてなんだ。


「私達が通うソーラー学園のクラスは、偏差値で分けられています」

「そうなのか?」

「ええ」

「私たち五組は、最低でも成績は最底辺ですわよ!」

「最底辺!?」


 偏差値でクラス分けなんて、聞いた事がない。


「どうして最底辺なんだ?」

「ソーラー・グラスを適合した生徒はですね、能力の最大と、具現化した武器の強化が、偏差値で決められますわ」

「そうなのか?」

「そんなに知らなかったのですか! バカですかあなた!?」

「バカとはなんだよ! 少しは教えてくれよ少しは」

「わかりましたわ」


 偏差値でクラス分けを知らないおバカ《ヨシノ》さんの為に、私は仕方なく、クラス分けについて助言する。


「入学した生徒には、ソーラー・グラスの能力と武器の判断を確認し、それを調査した結果、クラスで分けられますわ」

「そうなんだ?」

「一組、二組、三組、四組、五組……いくつのクラスが分けられますわ」

「多いな」


 一体、教室がどれだけあるんだ。


「それに転校したら、どこのクラスに転入するんだ?」

「それはですね、学園側が、その目標の子供をソーラー・グラスで確認できますわ。もしくは、任務に行動した生徒と、同じクラスになる可能性もありますわ」

「本当かよ?」


 納得いかないな。ソーラー・グラスを直用して、適合した直後に、任務を担当した生徒と同じクラスに転入が出来るのか。


「それは置いといて、対戦について作戦を考えないと」

「そうでしたわ!」


 肝心かんじんな時に忘れるとは、今日の実技を担当するサイトウ先生に、そのクズトリオと対戦を申し込まれた。


「そう思わないのですか、サイトウ君」

「ハイ!?」

「いたのか……」

「ハイ! ずっとです!」


 僕の隣には、クラスメイトのススム・テヅカ、彼がクソトリオにいじめられた少年で、僕のチームで対戦を、僕が勝手に組んでしまった。

 今までいることに気づかなかった。


「済まないな。お前も巻き込まれてしまって、本当にごめん!」


 ヨシノは頭を下げて、さっきのテヅカ君にチームを入れたことで謝罪する。


「いいですよ! そのぐらいは」

「元々ヨシーオオウチ君のせいですわよ!」

「済まない!」


 僕が勝手に申し込んだせいで、四組のクソトリオいじめられたクラスメイト男子のテヅカをチームに入れた直後、クソトリオ三人は、嫌な嘲笑う表情でOKしてくれた。

 でも、僕はとても気に入らない。またあの三人組は、対戦の途中でテヅカを痛みつける満々だ。


「君ってすごいね、昨日、僕が酷い目に合っている最中に、君がやって来て、三人相手を素早く喧嘩が強くてカッコよかった」

「それほどでも……」


 どうやらテヅカは、昨日のことを覚えているよ。さんざんボコボコにされているのに、僕があのクソトリオを、倍にフルボッコでお見舞いし、僕の事を怯えているかと、ハラハラドキドキして緊張した。

 テヅカは、僕の事を正義のヒーローだと思っている。


「オオウチ君! 照れるところじゃありません!」

「すまん!」


 エリスは納得いかず、プンプンと頬を膨らまし、怒鳴るようにしかられる。


「名前はオオウチ君なの?」

「そうだよ。名字がオオウチで名前はヨシノ、ヨシノって呼んでくれないか?」

「わかった!」

「じゃあ、お前は何て呼べばいいんだ?」

「僕の事を、テヅカとススムと呼んでください。君みたいな友人になれるのは久しぶり」

「わかった。じゃあススム、よろしくな」

「こちらこそ」


 元気よくテヅカに握手あくしゅする。

 初めて人に握手あくしゅを交わすとは、こんなに生まれて初めてだ。転校先で初めての友達が出来るとは。思いも寄らなかった。


「それに、早く来週に向けて、対戦について考えないといけませんわ」

「「そうだった!」」


 その時、僕とテヅカは、同じ言葉を言った気がする。


「真似しちゃった!」

「コッチもだ!」

「兄妹みたいなものですわ」


 エリスの言う通りだ。僕とテヅカの事を、実の兄弟みたいだ。友情は本当の兄弟みたいだ。


「対戦相手を調査しましたわ」

「調べるの早いな!」


 エリスはいつの間にか、あのクズトリオの四組を調査していたのか。僕は秋真面目に話を聞いた。弱点があるに違いない。


「まず最初に紹介しますのは、一人目のアリス星人男子、タロウ・サコダ、彼がリーダー格で、二人と共に札付きの不良として有名ですわ」


 レンズに写し出したのは、赤色レンズのソーラー・グラスを掛けたブ男の奴だ。エリスの話によると、そのサコダは二人と共に、数々の問題を起こし、気に入らない生徒を酷い仕打ちするなど、悪い噂が絶えない。


「マジかよ。それで顔と心が汚いのか?」

「オオウチ君」

「ソイツの持っているのが、武器なのか?」

「はい。彼は容赦なくこの武器で相手を痛みつけます」


 写真の画面に映る奴の右手に持っているのは、具現化した武器は太い剣。

 サコダはその剣で、理由なく攻撃して、傷つけるらしい。


「二人目はエルメス星人のアルクスと、三人目はヴィーナス星人のデニスですわ」

「あの二人も札付きのワルか?」

「はいですわ!」


 あの二人も札付きで、奴らもサコダとと共に、恐喝きょうかつや暴行、違法な行動を起こしていると、噂をしている。


「酷いことするもんだな」

「はいですわ。色々な悪事を起こし、大変な目に合いました」

「僕も酷い目に合いました」

「それなのに、あいつらは一年の頃は五組だろう。どうして四組になったんだ?」

「それが問題ですわ?」


 あのクソトリオは元々、一年の頃はテヅカと同じ五組だったのに、二年に進級してから四組に分けられた。それが問題だ。

 そう考えた中で、謎めいたように、作戦が行き詰まるように進まない。


「聞いたぞお前ら」

「ダレス?」

「実技授業の最中に、騒ぎを起こしたのは、オオウチだったのか?」

「よくわかったな」

「サイトウに罰を与えたんだろう」

「どうして知っているの?」

「丸聞こえだよ」

「やっぱり」


 僕やエリスとテヅカが四組と対戦すると、クラス中に広まった。


「転校早々、騒ぎで四組と対戦することになったのか」

「そうだ」

「結構無茶するな」


 何も言えない状態で、どうしていいか僕は。転校して早くも、対戦を申し込まれるとは、ちなみに、二人には迷惑を掛けてしまうとは。


「元気出せよ、俺が付いてるから」

「ダレス」


 ダレスは、腰をバンバンと叩きながら、僕をなぐさめる。


「それにオオウチ」

「なんだ?」


 ダレスは、小声でボソボソとして話をする。


「どうして俺は参加出来ないんだ」

「アッ!?」


 そういや、ダレスがいたよな。これはミスったよ。対戦チームにダレスを入れるべきだった。ダレスもチームに入れたいけど……


「ごめんなダレス。チームの変更は出来ないんだよ」

「そんなあ~」


 先生から忠告を聞いた。チームに入れた人間は、絶対に参加する事、棄権きけんをした場合、即失格とする。別の人間がチームを入れることは、変更は出来ない。

 ダレスは仲間外れをした気分で、ガッカリとしてショックを受ける。


「どうすればいいんだ。どうやって特訓するんだ?」

「そうですわね」

「何をすれば」


 対戦に向けて、特訓や修業をしなければならない。


「お前ら、対戦の練習しないのか?」

「したいけれど……どうすればいいんだ」


 最初は対戦に向けての準備だ。でも、全く計画を立てていない。

 隣にいるダレスは、面白がる表情で、ニコニコとした顔をする。


「それなら問題ないな。俺が特訓の監督をしてやるから安心しな」

「本当か?」

「本当だ!」


 黒いソーラー・グラスをキラリと光、テンプルをクイッと押し上げる。


「空気読んでください!」

「そうですよ!」


 隣にいるエリスとテヅカは、椅子に立ち上がって反対した。


「いいよ」

「オオウチ君!」

「ヨシノ君!」


 僕には関係ないけど、お師匠様以外に特訓とは、勝手な行動でもいいじゃないか。


「じゃあ決まりだね、今日の放課後、校庭で特訓だから、遅れるなよ!」


 ダレスは元気よく、走り去るように教室へと出て行く。


「じゃあ……放課後に集合ね」

「わかりました」

「うん」


 今日の放課後、ダレスと特訓することに決まった。







 

 








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