ソーラー・イン・グラス 〜修道女に眼鏡を渡されて掛けたら適合が一致して転校した僕！〜

42話

　 出入口の向こうから、実技を担当する教師がやって来た。しかも女教師だ。

「全員集合！」

　その実技を担当する女教師は、クラス全員を呼ぶために、大声を上げた。

「ヨシノ、急ぐぞ」

「わかった」

　ダレスに声を掛けられ、僕は他の生徒と同様に、素早く先生のところに集合した。

「出席を確認するぞ」

　その実技を担当する教師は、自分の掛けているシャープな縁の薄いソーラー・グラスをタップして、【五組】の名簿（めいぼ）を点滅し、出欠確認を始めた。

「五組の生徒の中に、休んでいる奴もいるな」

（サボりか？）

　欠席してる生徒もいるのか。どれだけ不参加が多いんだよ。

（サボり……または任務なのかな？）

　ソーラー学園に通う生徒は、学校側の任務で欠席扱いをしている。

　僕はその先生は若い女性で、茶髪ポニーテールの髪型を見ると、彼女はクロノス星人だ。日焼けで焼けただろうと薄黒い肌で、紫のＴシャツと白いジャージズボンを履いていて、頭から白いキャップ帽子を被っている。穏やかな顔で、元気そうな目つき、桃色の唇に、美人な女教師だ。

「号令！」

　先生は、瞬く間に元気な大声を出す。

　一部の生徒達は、休むようにキッチリと整列をした。

「起立……礼」

　五組のクラスメイト達は全員、実技を担当する教師に向けて礼をした。

「休め！？」

　挨拶を交わした後、先生は元気な声を言いつつ、腰を抜かすように座り込んだ。

「今日の実技を始めます。今日は、この五組に転校したばかりの生徒が二人いるよね……手を上げて」

　いきなり手を上げるのか、授業開始寸前にマイペースだよな。僕は仕方なく手を上げて、後ろにいるシアも同様に手を上げた。

　そういや、シアも転校生だよな。

「男子一人に女子一人……名前は……」

　そのクロノス星人の女教師は、僕とシアの顔を見たところを目にして、ソーラー・グラスの出席簿で、名前と顔写真を確認した。

　レンズ越しに出席簿を映し出すと、ヨシノの顔写真とシアの顔写真と名前を直視するように確かめた。

「名前は……えーと……男子はヨシノ・オオウチと、女子はシア・ノグチか……」

「はい。僕がヨシノ・オオウチです」

「私がシア・ノグチです」

　僕とシアは、しっかりと声を上げて先生に返事をした。

「今日からこの実技授業を参加するのが初めてかい？」

「初めてです！」

「私も……」

　素直に認めて返事をする二人。

「成る程な、二人みたいなソーラー学園に転校した学生も、たくさんいるからな。ビシバシ至極から、覚悟しな」

「「頑張ります」」

「よろしい。二人とも……何か困った事があったら、先生に相談して」

　先生に相談話か、別に悩む事は一つもない。そういう訳で、クラスのみんなは一斉に立ち上がる。

「じゃあこれより、実技授業を始めます。まだ時間があるから、自由にしてもいいから、実技の訓練が始まったら、異性や同性でも構わないからペアを組むように、時間になったら自分の武器を具現化するように、以上……解散！」

　クラスメイト達は散らばるように解散。実技の開始する直前に、準備運動を開始する生徒、すぐにソーラー・グラスで武器を具現化する生徒、友達を会話をしながら自由をする生徒もいた。

　すると、隣にいるダレスは、僕の肩を手で軽く触れるように叩く。

「なあなあヨシノ、よかったら……俺と組まない」

　仕方なくヨシノを誘うダレス。しかし……。

「そうしたいんだけど、少しエリスに会ってくる」

「はい？」

　ヨシノは手を上げるように、エリスのところへ向かった。

「どうすれば……いいんだよ」

「エリス、ちょっといいかな」

「なんでしょうか？」

　実技を開始する直前に、僕はエリスに話しかけると、エリスは声を掛けた直後に後ろを振り向く。

「実技授業は何をしているんだ？」

　最初はソーラー学園の実技を話すと、どういった授業を習っているのか、気になって仕方ない。

「実技でしょうか？　そうですね……」

「早く教えてくれよ」

「わかりましたからあわてないでください。実技の授業を教えますわ」

　エリスは緊張感な僕を冷静にして、実技授業の解説をした。

「実技授業は、ソーラー・グラスを適合者の子供達に鍛える授業……いわゆる訓練ですわ」

「訓練？」

「ええ、ソーラー・グラスの適合した子供たちを鍛えさせる為に設立した授業ですわ」

「体育の授業じゃないか？」

　話によると、ソーラー・グラスを適合者の子供たちに基礎する訓練を程後されている。ソーラー・グラスの体育みたいな感じだ。

「どれくらい能力の差が、高いか低いか検査する仕組みもありますわ」

「何それ？」

「どれだけの能力や体力なども比べものになりますわ」

　ペラペラと解説口を言いつつ、実技授業の内容は、ソーラー・グラスの適合者の具現化した自分だけのオリジナルの武器やその能力を鍛えさせる授業があるのか。軍隊や特殊部隊みたいな訓練じゃなくて、キャラクターを強化して育成ゲームみたいじゃないか。

「それが実技授業なのか？」

「はお。でも、鍛えるだけではありません。実技授業でどれだけ破壊力があるのか、どれだけ強化発動や必殺技などを調査する場合もありますわ」

「そうなのか？」

　具現化した自分の武器の強化と能力、実力差を試しているのか。

「それに、具現化した武器の強化外装もできますわよ」

「本当か！」

　武器が自由に強化外装出来るなんて、アニメやゲームみたいなカスタマイズする事と、同様じゃないか。

「ソーラー・グラスの武器や能力の偏差値が付けられた場合、順位が上げたり下げたり、成績のくらべものになりますわ」

「成績か……」

「順位や格差などの争い事も絶えないらしいですわ」

「ま……マジか……」

　それは大変だ。これじゃあテストや試験期間などの上昇を目指す学生みたいだ。ソーラー学園の実技授業……恐るべし。

「オイオイ……今日も練習に付き合えよ～」

「！？」

「ヨシノ？」

　何処から聞いた声がしてきて、アッチの視線に向くと、別のクラスも実技に参加するだろう。

「何ビビってだよ」

「俺らと相手になれば……練習になるだろう」

「そうだよ。オラッ！？」

　耳の奥に通すように謹聴（きんちょう）し、僕は気になって別のクラスの方へ近づいて見ると、

「あの……僕……」

「なんだよ～いいじゃねえか」

「クラスが違っても、実技参加は同じだろ～」

　別のクラスの三人組の男子が、大人しそうな同じクラスメイトの男子を囲むように絡んできた。

（アイツって……まさか！？）

「ヨシノ！？」

（昨日の！？）

　絡まれている三人組の顔を見ると、シップや絆創膏（ばんそうこう）を貼っていて、赤いソーラー・レンズのソーラー・グラスを掛けた不細工アリス星人男子、黄色いソーラー・レンズをしたソーラー・グラスを掛けたヴィーナス星人、青いソーラー・レンズをしたソーラー・グラスを掛けたエルメス星人、昨日のいじめを働いた三人組だ。

（昨日の……いじめられた少年？）

　昨日、僕がエリスと一緒に、学園案内で迷った最中に、虐められた少年と出くわすとは。

　アイツらは、昨日の少年をボコボコにしているのを目にして、僕が三人組を倍にして、全員フルボッコをお見舞いした。

　それで、僕は風紀委員に連行されてしまい、全て正直に話したが、信じてもらえなかった。また虐められている現場を目撃するのは……転校二日目で、これで二度目だよ。

（何度やっても飽きないのか……あのクソ野郎ども）

　僕は我慢の限界だった。どうやってあの三人組を気づかせようとしたら……

　下を向くと、床に落ちてあるボールを目にすると、

（ボール……これだ！）

　僕は床に落ちてあるこのボールを手に持った。

　丸いボールを手に持った直後、身体の向きを傾くように、ターゲットは三人だ。僕は投手のように投げ出した。

「イテー！？」

　三人の内一人……アリス星人の不細工男子生徒の頭を見事に直撃し、ボールに当たった奴は、両手でぶつかった頭の方へ触れる。

「誰だ―！　俺に向けてボールを投げたのは！」

　そのブ男は、床に転がって落ちているボールを拾い、怒号を叫びながら投げた相手を探している。

　つまり、仕返しする気満々だ。

　投げたのは、僕だけど……。

「僕だよ」

「なっ！？　テメーは！？」

　クソトリオは、今まで嫌な微笑から驚愕した顔に豹変した。

「「「テメーは昨日の！！！」」」

　三人は大声を上げて、歯を食いしばるような態度を取る。

「昨日はボコられたのに……まだまだ虐めるのを飽きないよね～」

　僕は投げた事を気軽な声で正直に話し、その三人組は苛立つ表情で、僕の方を見る。