43話
「お前ら……人をからかう癖は飽きないのか?」
「テメーは! 昨日の俺達をボコボコにした野郎!?」
最初に指を刺して気づいたのは、赤色ソーラー・レンズのソーラー・グラスをかけたブ男アリス星人。
昨日、僕とエリスと一緒に、学園案内の途中で迷子になって、とある裏校舎でいじめ現場を目撃した僕は、少年を傷ついた罰として、三人組を容赦なくフルボッコをお見舞いした。
「なんでここにいるんだ!」
「小学生じゃないか!」
黄色いソーラー・レンズをしたクロノス星人男子に、僕の事を小学生呼ばわりにされた。こいつら三人、僕が転校生だとは知らないのか。
「誰が小学生だ! 誰が! 僕はれっきとした中等生だ!」
三人に逆らうように、叱るように怒号を上げた。
三人組は、僕の事を小学生だと勘違いし、僕は正真正銘の中学三年生だ。
「うるせえな! その身長差で見ると、小学校の高学年の年齢じゃねえか!」
「そーだそーだ! 子供が来るところじゃねえ!」
「早く自分の教室に戻って、勉強でもしてな」
「な……なんだとーーーーー!」
僕の悪口を言いたい方題。もう我慢の限界だ。こうなったら、また痛い目に合わせてみるかと、そいつ等を黙らせようと腕まくりをして、三人に近づこうとしたら……
「ヨシノ! 暴れてはいけません!」
「!?」
突然耳に通すように、背後からエリスの声が聞こえて、僕は一旦と手を止めて、後ろを振り向くと、プンプンと顔の頬を膨らますようにしたエリスの姿がいつの間にかいた。
「全く! あなたって人は!」
「エリス……」
「一瞬でヨシノが慌てて行くのを、後を追いかけたら……」
説教を始めるエリス。どうやら、エリスも僕の後をつけてたのか。まるで刑事ドラマのように尾行される犯人になった気持ちだ。
「授業中に暴れまわるのは、他の生徒達にご迷惑ですわ」
「ウッ!?」
「暴れ出したら、昨日も風紀委員に連行されますわ」
「ウッ!? そうだったな」
危うく暴れ出すところだったよ。エリスの言う通りだ。昨日、いじめっ子三人組を容赦なくボコった直後、騒ぎに駆け付けた風紀委員がやって来て、三人組じゃなくて僕を拘束され、問答無用で連行される。説教と反省文を書かせられた、どうしてあいつらじゃなくて僕が罰を下すんだ。心の底から貫く。
「それに……あなた方三人は、昨日の
今度は三人組に向かって、文句を言いつけた。
「んだよー! テメーには関係ねえよ!」
「女子に説教なんて……怖くねえぜ!」
「そうだそうだ」
三人組は、エリスの説教を聞く耳持たず、歯向かおうとしたところ……
「ン? この女子は?」
クロノス星人の男子は、謎めいた顔で、エリスの方をへ直視する。
「思い出したぞ! コイツは昨日奴と一緒にいた女子女子じゃねえか!」
「そうだ! 確かに!」
「いたよな!」
三人組はエリスと一緒にいたことを気づいたよな。余程忘れていたのか。
「お前ら……エリスを空気扱いするな! エリス! こんな奴らの耳に通すな!」
「え!? 私はヨシノさんとずっと一緒にいた事を、今頃気づいたのですか!」
「そっちかい!?」
エリスの突っ込むところが天然過ぎる。そんな事をしている暇じゃない。
虐められた少年を目は、僕とエリスを見て〝パアー〟としながら一安心した顔をする。捕らわれの身となっている姫様が、勇者が助けに来た場面のようで、期待する表情だ。
顔の傷跡は少し残っていて、頬を赤くしている。
「お前ら! 彼に何するつもりなんだ!」
「俺らはコイツと一緒に、練習を付き合おうとしているだけでーす!」
「そうだな」
「そうだよなあ!」
「……」
その少年は舌を向くように黙り込む。
「練習の……付き合い……」
「そうだぜ! コイツは一年の頃のクラスメイトで、二年に進級で引き離れたんだぜ」
「だからこうして、実技授業の練習相手を付き合いをしているだけだぜ!」
「相手がいないから、手伝ってやろうと思っているから」
一年の頃の知り合い? もう一度少年の顔を再確認すると、どう見ても怖気付いた表情をしていた。僕の視線から見ると、三人は友達には見えない。
お前らの気持ち悪い嘲笑(ちょうしょう)な顔を見ていると、なんだか苛立つ。それってつまり……
「練習するなら……お前らクズな三人でいいだろう」
「「「ハッ!?」」」
僕には分かるよ。その三人組はお見通しだ。この少年を練習台に利用する気だ。練習相手と言うより……ストレス発散じゃないか。
「練習相手と言うより、コイツを一人に使って、三対一で
「「「アンッ!?」」」
三人組は睨むような顔つきをする。やっぱり少年を練習台にするつもりだった。こんな図星を見抜くとは、ヨシノの鋭い感覚は、どんな手でも逃れられない。
「さてと、お前らみたいなクズトリオで、練習すればいいじゃないか」
「ハアッ!? お前何言ってんだよ!」
「相手なんかいねーよ!」
「そうだそうだ」
そのクズ三人組は、苛立つ声で歯向かうように逆切れした。
「そうか……」
「コイツだけで十分だろう」
「そうだな」
「……」
「まさか……少年以外の他に……お前ら三人はつまり……本当は弱いじゃないか?」
「「「アーーーン!?」」」
僕はその三人に毒舌のように言い返し。再び三人は苛立つような態度を取る。
「お前らってさ……女にももてないし、付き合うアピールも言ったけどアッサリ断れたり、自分より弱いをしたり、そんな人間は……せこすぎて最低だよ」
ヨシノの言った通りですわ。
「上等だコラァ!?」
「
「コイツお仕置き決定!」
あの三人組、
「ヨシノ……」
背後にいるエリスは、オドオドした態度で心配をかける。
「大丈夫だよエリス。こいつらを倒すには……」
「ちょっと待ちなさーい!」
「「「「「!」」」」」
突然、僕が話そうとしたところ、アッチの方から実技授業の担当教諭の女教師が、怒るようにこっちに近づいてくる。どうやら、誰かが僕とそのいじめっ子三人組の
「ヤベーぞ! 早くずらかれ!」
「「オウ!」」
いじめっ子三人組は、先生がやって来たので、その虐められた少年を突き飛ばす。
「イタッ!?」
その少年は、床にぶつかるように転がっていく。
「大丈夫か!?」
「大丈夫ですの!?」
僕とエリスはその少年が心配して近づき、怪我をしていないか確認する。三人組は慌てて逃げ出そうとするが……
「逃がさないわよ!」
「大人しくしな!」
「「「ゲッ!?」」」
逃げ出すいじめっ子の前に立ち塞いだのは、五組のクラスメイトで、
ピストルを持ったダレスと、注射器を持ったシアの姿が、三人組の前に立ち塞いだ。
「テメーら五組! 退けよバカ!」
「退かしてどうするの」
「それは……」
「先生から逃げ出すなんて、バカな真似なんて出来る訳がないだろう」
「やんのか!」
ブ男のリーダー格は、ダレスに向けて攻撃を加えたところ。
「あなたたち……」
「「「ギクッ!?」」」
三人組の背後からは、女教師に追いつかれ、もう逃げられない運命だ。
「話……聞かせてもらいましょうか」
「「「ウッ!?」」」
脂汗をかきながら、三人組は問答無用で容赦なく観念した。
「それにあなた方二人共も」
「はい」
「わかりました」
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