35話
「エリス~怒らないでくれよ~」
「プンスカプーン! 私はタダ……トイレで寝ぼけてヨシノさんのベッドに入っただけですぅ~」
先ほど、エリスはプンプンと頬を膨らむように、ヤキモチをしていた、
今朝方、エリスが勝手にベッドの上を寝ていたのは、彼女はトイレに行って戻ったところ、自分のベッドと間違えて、僕のベッドへ寝込んでしまったと正直に話した。
「アレはタダの事故ですわ! 殴ったことは謝ります!」
「いいんだよ別に! 僕の方こそ」
「ですが……私の胸を触れられるなんて……」
「わー! ヤメー!」
エリスは大声でセクハラな発言するな。
ここは食堂だぞ、そんなに大声で言うなよ。
僕は慌てるようにエリスの口を手で塞いだ。
「ムゴッ!?」
「ここは食堂だぞ! 状況考えろ!」
「ムー!」
エリスは足をバタバタ振るうように暴れる。彼女の口を退くと、もの凄い勢いで、攻めるように文句を言う。
「プハー! 何するんですかー!」
「周りをよく見ろ!」
「はい?」
周囲を見回すと、食堂にいる人間は、エリスをのぞいて全員男子である。
「ここにいる連中の殆どは男子ばっかりだ! お前以外女子はいないんだぞ!」
「あっ!?」
周囲を見回すと、食堂にいるのは、私以外女子が一人もいない。ここにいるのはヨシノを含む全員男子生徒だ。そういえば、女子専用が修復作業工事の事を忘れていましたわ。
この寮に住む女子生徒は全員、他の寮で過ごしている。
「それはそうですけど、女の子が一人もいませんですの」
「見ればわかるだろう!」
食堂に辿り着いた直後、テーブル席とカウンター席には何人も埋まっていた。座っているのも殆ど男子だ。2号館の学生寮に住む女子たちは今頃、女子寮で朝ごはんを食事している。
「それに居心地悪いですわ」
「エリスにとって、無理もない」
男子生徒達は、ソーラー・グラスのレンズを光り輝きながら、顔から睨む表情と、苛立つ態度な奴らもいた。
「おい……なんだよアレ?」
「友人に聞いたんだ」
「昨日転入してきた奴だぞ」
「この寮に住むんだろう?」
「だろうな……」
「ムカつくよな」
「なんで三階にいるザビエルと一緒なんだ?」
「女子専用は修復作業中だろう?」
「それに女子は全員別の寮なのに、なんで彼女がいるんだ?」
(丸聞こえだよ!)
そう突っ込みまがいは止めといて、男子生徒達は嫉妬感が溢れる影口を言いつつ、耳がとても痛い。
「早く朝ごはんを食べましょう」
「わかった」
早く朝食を済ませて学園へ行こう。
朝食を持ってこようと、急いで列に並んだ。
朝ごはんを取りに行こうとしたら、何人以上の生徒が順番に並んでいる。
「どうして慌てていますの? 時間は大丈夫ですわ」
「エリスはいいけど、それに比べて僕は……」
「はい?」
「イヤ! なんでもない‼」
エリスと一緒だと正直に言えない。男子生徒の〝負のオーラ―〟が物凄く溢れていて、悔し涙を啼泣する連中もいた。
「順番来ましたわ」
列を並んで、次に何十枚のトレーがタワーのように置いていた。
「トレーは僕が取ってあげるよ」
「ありがとうございます」
トレーを取って、片手で二枚持って、もう一枚はエリスに渡した。
食事はバイキングになっていて、食べ物を自由に選べられる。次に皿をトレーに置いた。
僕は普通のバタートーストと、スクランブルエッグのレッドウィンナーとサラダ付き、イエローコーンスープ、飲み物はカフェオレとベジタブルミックスジュースにした。
エリスはフルーツ盛り合わせサンドイッチやベジタブルサンドイッチ、飲み物はイエローティーをトレーに載せた。
「エリスはこれで十分なのか?」
「ええ、私は挟んだ食事が一番ですわ」
「少しは肉や卵も食べてるのか?」
自由に食べるならいいけど、順番の後ろに並ぶ男子生徒は……
「なんだよアレ……」
「何いちゃついてんだよ……」
「リア充爆発しろ!」
「悔しー!」
「クソ―! 羨ましい!」
男子は悔し涙を泣きながらコッチを向く。痛々しい視線を見ないでくれよ。
「今日の皆さん……大丈夫ですか?」
エリスは不安そうな顔で嫉妬してる男子生徒を心配する。
「ハイハイ! 早く席に座ろうね」
「ちょっとヨシノ?」
僕は、エリスを引っ張るように、空いている席を探した。
空いている席が見つかり、しかもテーブル席で二つの椅子があった。とてもラッキーだ。
僕とエリスは、二つの椅子のあるテーブルに座った。その時……。
「「「「「「チッ!!!!!!」」」」」」
アレ? 苛立つような舌打ちが聞こえたような……
「なんで二人きりなんだ」
「俺達を見下す気か」
「爆発しろ……爆発しろ……」
「悔しい……」
男子生徒は、悔しがるように朝ごはんをガツガツとこぼしながら食べていた。
こぼした食べ物は落ちてしまい、床を汚してどうする。少しはキチンと歯を噛んでくれよ。
「ヨシノ……さん、あの人たちは食べ物をこぼしています。一体……」
「気にしなーい! 気にしなーい!」
エリスは、睨んでいる男子を心配する。彼女はアースラー教の信者で、シスターでありながら放っておけないタイプだな。
シスターである彼女にとって、親のいないエリスは修道院に引き取られて育てられた。だから、心配する癖だな。
「それにヨシノ、学生証は届きましたか?」
「ああ、届いているよ」
ソーラー・グラスで、自分の学生証をエリスに見せる。
点滅したのは、身分証明書みたいなデジタルペーパー、自分の顔写真と、出身地など書かれて、間違いなく自分の学生証だ。
今朝方のソーラー・グラスのメールに届いた新しく出来上がった学生証である。
「今日からソーラー学園の生徒ですわ」
「それはどういたしまして」
エリスは嬉しそうな顔で拍手を交わした。
今は食事中なのに、後でいいじゃないか。
そう思いながら、朝ごはんを食べ尽くした。
「ごちそうさま」
「食った食った」
「トレーは食器の受け渡し口に置いてください」
「おおう」
食器とトレーを運んで、受け渡し口に置いた。
さてと、部屋にあるカバンを取りに戻ろうとしたら、
「「「「「ちょっと待て!」」」」」
「!?」
その時、この寮に住む男子生徒が一斉に、僕とエリスの方へ近づいて来た。
見苦しそうな顔で、話しかける男達、エリスはオドオドして怯えていた。
「なんですか、あなた達は!」
「エリス……落ち着け」
悲鳴を上げそうな表情で怯える。もしや嫉妬して文句などのクレームをしようとしているのか。
「ちょっと退いてくれるか? 急いでいるんだけど」
僕は男子生徒達を追い返そうと話したが、
「イヤ、聞きたいことがあるんだ」
「そうだ」
「聞きたい事?」
一体、男子生徒の奴らは、何を話すつもりかな。僕は気になって仕方なく男子たちに対話をするように口に出す。
「わかった。話相手にしてやるぜ」
「ヨシノさん?」
「お前今日からこの寮に住むのか?」
「そうだけど……」
男子生徒達は、僕を攻めるように真剣な態度で、声を上げるように話した。
「なんでアースラー教のエリスと一緒にいえるんだ?」
「はい?」
最初に話して来たのは、アリス星人の赤毛のパーマをした男子生徒だ。
「それって?」
「いつも友達のいないエリスが男と……」
「ふぇ!?」
「何?」
さっきパーマ頭をした男子から〝友達のいない〟と言葉が気になる。まさかエリスは独りぼっちな学園生活を送っていたのか。
隣にいるエリスは、不安そうに真っ青な顔になる。
「どういった関係?」
「恋人とか?」
益々勘違いな事を言いやがる。僕とエリスの関係を想像しているのかコイツら……。
エリスは限界になってしまい、顔はトマトのように恥ずかしがるように赤くなって、男子生徒に文句を言った。
「みなひゃん! なにかんふゅがいなことふぉ!」
「エリス!?」
「「「噛んだ!!!」」」
エリスの口調が噛んだとは、これはオタクネタになりそうだ。何を考えているんだ僕は! 今はこの状況をどう乗り越えればいいのか。
「みなさん退いてください! 私は急いでヨシノさんと一緒に、部屋に置いてあるカバンを取りにいかないといけませんの!」
「バカーーーー!」
「「「「「一緒の部屋!!!!!」」」」」
殿方の前でなんて正直に話すんだよ! 一緒の部屋に居候している事は秘密なのに、あっけなく一日で話してしまうとは。
すると、前方にいる男子生徒は……
「い……一緒の部屋だと……」
「お前……なんて羨ましいんだ……」
「クソウ……爆破しろ!」
「男女の一つ屋根の下で同部屋だとは……」
男子生徒は全員、再び悔し涙を号泣し、嫉妬感のオーラ―が倍に溢れてしまい、完全に間違いな誤解を生み出してしまった。
「エリス! 逃げるぞ!」
僕は慌てて、エリスの手首を掴むように、男子生徒を突き抜けるように食堂へ出て行った。
「ちょっとヨシノさん! そんなに引っ張らないで! 痛いですわ‼」
「あー! 例の転校生が逃げるぞ!」
「追えー!」
「あんな逃げ方……やっぱ卑怯だ!」
男子生徒達は、猛者のように追いかけてくる。
どうしてこうなったか……僕にも聞きたい。
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