34話

「どうすればいいんだ」


 僕は悩んでいた。食事を食べ終わった直後、インスタント食器をごみ箱に捨てて、テレビを見ている最中に、エリスが「お風呂に入ってください」と言われ、仕方なくお風呂に入った。


「うーん」


 湯船でゆったりしながら、僕は水の中で、ブクブクと口で泡を吹く。


「いけね、女の子に入ったお湯を飲むところだった」


 エリスが入ったお湯、とてもいい香りだ。しまった、僕はとんでもないエロい妄想を考えてしまうとは、ボォーとしてしまうところだった。

 湯船から上がって、シャンプーで髪を洗った。

 泡立てる中、ちゃんと髪を洗って、シャワーの蛇口を捻って、シャワーを浴びて流した。曇った鏡を拭いて、自分の顔を見る。


「……」


 僕は何をしているんだろう。このままエリスと同居するのか、そう考えながら立ち上がる。

 風呂場から出ると、洗面所にあるタオルを手にして、濡れた身体を水気を取るように拭く。

 手足や腰と肩の隅までちゃんと拭き取った。選択箱の上にある下着を履き、後はパジャマに着替えた。


「フーさっぱりした」


 風呂から上がって、身体中綺麗になって、とてもリフレッシュになった。置いてある赤い丸型のソーラー・グラスを掛けた。

 居間に行くと、エリスの姿は何処にもいない。寝室に行ったかな。


(風呂上りと言えば……)


 台所の冷蔵庫のメロンサイダーを取り出す。テーブルの椅子に座り込んで、ボトルのふたを開けて、ゴクゴクと一気飲みした。


「プハー! 生き返るー! これで二本目だよ」


 この部屋にあるメロンサイダーはいくつあるんだ。余程人気なのか、冷蔵庫に冷やしたメロンサイダーは最高だ。

 メロンサイダーを飲み干した後、空のボトルをごみ箱に捨てた。


「さてと、寝るとしますか」


 椅子から立ち上がって、寝室へ向かおうとしたところ、何か忘れた気がした。


「いけね! 寝る前に歯を磨かないと」


 忘れるところだった。歯を磨かないと虫歯になってしまう。よくお師匠様に聞かされたよ。もう一度洗面所に戻って、鏡の前に立つ。


「歯ブラシはここにあるんだっけ……あった」


 棚から探すと、新しい歯ブラシが出て来た。袋を破いて取り出す。次に歯磨き粉も取り出す。

 歯磨き粉を出して、歯ブラシでゴシゴシと前歯や奥歯の隅々まで綺麗に磨いた。


「グチュグチュ……ぺッ」


 最後は、水をの入ったコップを口にすすいで、うがいをして口から出すように捨てた。


「綺麗になりました」


 鏡の前でイーとしながら自分の顔を見つめる。


「さてと、今度こそ……寝ますか」


 歯磨きを終えた後、電気を消して洗面所から出て行く。





 寝室のドアの前に立つと、胸に振動の音が耳に聞こえる。


(胸が……ドキドキする)


 ハラハラドキドキする緊張感で、ドアノブを握りしめる。


「エリス……またハプニングになるな」


 寮の部屋に入った直後、風呂上がりのようにならないようにしないといけないな。もしも無言で寝室に入ったら、またハプニングを起こしてしまう。


(こうなったら、ノックで返事をするか)


 ドアを叩いてノックをし、向こうに声を掛けた。


「エリス! 僕だよ!」

『ヨシノ?』


 ドアの向こうから、エリスの声が聞こえた。やはり寝室の中にいた。

 すると足音が聞こえ、ドアの方へ近づいてくるよな。


『ヨシノですか?』

「そうだけど」


 ドアの方にいるエリスも返事して来たよ。もう一度、ドアをコンコンと叩くように、慎重に返事をした。


「エリス! もう寝たいけど、入ってもいいかな?」

『ごめんなさい。少しは着替えの最中ですけど、終わり次第に声を掛けますので、少々お待ちください」

「わかった」


 まだパジャマを着替えていなかったのか。

 エリスが着替え終わるまで、ドアの前で立つように待ち続けた。

 しばらくたって、壁にある時計を確認すると、数分が経過した。


『もう入ってもいいですわー!』

「ああ」


 エリスが声を掛けて来た。どうやらパジャマを着替え終わった。

 ドアノブを引いて、寝室に入った。

 寝室の部屋は、ベッドが二つもある。橙色だいだいいろの明かりを照らしている。


「ヨシノ……どうですか?」

「エリス!?」


 隣のベッドには、エリスはもう寝る準備を整えているらしい。


「パジャマなのか?」

「おかしいでしょうか?」


 エリスはベッドから立ち上がって、着用しているのは、ピンク色のパジャマ姿に、リボンを付けた白いカーディガンを羽織っている。

 エリスの着ているパジャマは、とてもお似合いで可愛すぎるだろう。


「似合ってるよ」

「本当ですか!?」


 顔を赤くなるエリス、僕も心の底から恥ずかしそうな彼女を見ると、胸がまだ振動を感じた。


「一緒ならいいけど……」

「居心地悪いんですか?」

「イヤイヤ……大丈夫」

「そうですか」


 空気読めよ自分! 

 隣にいるエリスは、羞恥心なりがちだよ。

 頭から熱風を噴射した感じで、会話は長くは続かなかった。


「もうベッドに寝込みますわ!」

「寝るのか?」

「はいです」


 エリスは、自分のソーラー・グラスを台に置いて、ベッドに上がり込み、横になって布団に潜り込んだ。


「電気消すぞ」

「はーい」


 壁に設置してる電動スイッチを押して、電気を消した。

 真夜中の部屋は、漆黒しっこくの闇に包まれたみたいだ。

 僕もソーラー・グラスを外して、隣にある台に置いた。ベッドに寝込んで布団に被った。


「ヨシノ……お休みなさーい! ムニャムニャ」

「お休み……エリス」


 お休みの挨拶を言って、エリスはぐっすりと寝てしまった。

 明日から新しい転校先ソーラー・学園の学園生活が始まる。

 自分の学生証は、明日の朝にメールが届くはずだ。

 僕は、目をつぶるように、眠りに付いた。


(いい夢が見られますように)


 






 目が覚めると、窓から明るい太陽の光が輝いていた。

 カーテンから照らす陽光は、目の前に当たり、目がチカチカしそう。


(もう朝か……)


 ベッドから起き上がろうとしたら、右手から何か柔らかい感触がしてきた。


「アレ? 右手に何か?」


 気になって右を向くと、そこには……


「フミュ……ムニャムニャ……」

「!?」


 脱ぎ掛けのカーディガン、上から半分露出したピンクのパジャマ、長い黒髪、間違いなく隣のベッドに寝ていたエリスが目の前にいた。


(なんでだ!? どうしてエリスが僕のベッドに?)


 さらに驚いたのは、僕の右手に掴んでいるのは、エリスの巨乳だ。


「!?~」


 僕は仰天して、セクハラ行為をしたのは初めてだ。女の子の大事な胸を触るとは、なんて酷い事をしてしまった。


「このままだと……」


 イヤ! 落ち着けよ自分! 対策を考えないと、脳みそで頭を使え!

 最初は胸を手から離れないとしたところ……無事に。


「ファア~もう朝ですの~?」

「!?」


 突然、エリスが目覚めてしまった。まだ手は退いていないのに!


「ふにゅ!? なんだか胸がくすぐったいですぅ~?」

(ヤバい!)


 僕は一瞬で手を退かした。心の底から思い込み、エリスの胸がとても柔らかった。


「アレ?」


 目覚めたエリスは、起き上がるようにキョロキョロと周りを見始めた。

 右から隣のベッドで寝ていたはずなのに、どうしてヨシノのベッドにー


「え……?」


 左に向けると、私の知る白髪プルート星人赤毛アリス星人のハーフであるヨシノの姿がいた。


「一体……ン?」


 下を向くと、上半身は脱ぎ掛けで、ブラジャーがずれて胸が丸見え。下半身はズボンがずり下げて、パンツ丸出しです。露出姿になっていた。


「これは……どういう……ことですか……」

「イヤ! それは……その……」


 何も言えない。どうやってエリスに誤解を話せばいいのか。

 エリスは、顔を赤く染まり、身体中プルプルと震えあがった。前髪が顔を隠すように立ち上がった。

 台の置いてある自分の銀縁ソーラー・グラスを手に持って、顔に掛けた。エリスは布団で自分の身体を巻くように隠した。


 ――お祈りしますか……

 ――すみません! 許してください……

 ――……

 ――話し合おう!


「天罰ですわー! 〝神の鉄槌ゴッド・ハンド〟‼」

「ギャー!」


 突然エリスがソーラー・グラスの能力を発動し、巨大な手が出現、僕に向けてグーパンチを喰らわせた。虫みたいに踏み潰される感じで、身体中をぺチンと叩かれた。


(どうして……こうなった)


 ペチャンコになった僕は、ピクピクと身動きもとれない。







『アララ……なんてことを』


 私はヨシノ・オオウチのソーラー・グラスのA.I……〝タネちゃん〟である。

 名前は主人ヨシノ・オオウチが付けてくれた。

 目覚めると、別の場所にいたので、何日ぶりの意識を取り戻して、久しぶりに主人ヨシノ・オオウチに会おうとしたら、嫌らしい現場を目撃し、挙句あげくの果てに、巨大な手に潰されるヨシノさん。


『一体……何事なんだろうね? 学生証あ届いているのに』


 ちなみにヨシノさんの学生証の新規メールが届いたところで、これからは大変な目に合いますね。



















 


 












 

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