30話

 迷子になった直後、人気のないところでイジメ現場を目撃した。

 イジメをする連中は、ネクタイを締めず、シャツのボタンを全部外し、中から柄の悪いシャツを着ている。耳と鼻からピアスを付けている。規則を破って服装の乱れはよくない。

 全員髪の毛を全部染めていた。

 それから奴らの掛けているのは、全員カラーなソーラー・レンズをしたソーラー・グラスで、爆笑しながら再び少年を痛みつけている。


「よし、今度は俺が蹴ってやるぜ!」

「おうよ!」


 赤いソーラー・レンズをしたソーラー・グラスを掛けたアリス星人が、気持ち悪そうな嘲笑した表情で、少年を殴ろうとした。


「大変ですわヨシノ! これって……イジメですわ⁉」

「見ればわかるだろう⁉」


 僕は、エリスと一緒に学園の紹介で回った途中で迷子になったところで、突然裏校舎で不良グループが少年をイジメているのを目撃した。


「ヤバいぞ、アイツらまた殴る気だ」

「そんな……アッ⁉」


 エリスがそういった途端、さっきのアリス星人の不良が、傷だらけの少年を足蹴りした。


「オイ! なんか言えよコラッ!」

「止め……ごめ……」

「聞こえねーぞコラ!」


 苛立つアリス星人の不良は、少年の顔をまた蹴った。

 泣き崩れる男子生徒は、赤毛で真面目そうな顔付で、しかも少年の足元から丸いソーラー・グラスが落ちている。おそらく彼のだろう。

 きっと、殴られて外れて落ちたのだろう。奴らが少年を痛みつけて笑う僕の心から怒りが溢れ出る。


「エリス」

「はい?」

「アイツら……マジでムカつく……」

「ヨシノ?」


 あの頃を思い出す。

 僕がまだ家族が生きていた頃には、ハルタが虐められているのを見かけた。

 いじめっ子連中を全員、喧嘩してしまい、主犯格の顔を何度も殴った。全員容赦しないでボコボコに制裁した。

 ところが、先生に見つかり、問題を起こして説教された。

 でも、ハルタが虐められた事を両親に全部話したところでめてくれた。

 弱い者いじめをする人間は最低だ。


「こうなったら……奴らをボコボコにしてやる」

「ちょっと待ってくださいよ! そんな事をしたらー」


 エリスは僕の腕を掴まるように、疾呼しっこを上げた。


「誰だテメー!」

「「!?」」


 イジメていた不良グループが、僕とエリスが気づかれてしまった。


「ヤレヤレ……バレちゃったじゃないか。エリスのせいで」

「私ですか!?」


 エリスが大声を上げたせいだ。

 不良たちは睨みついた顔で、荒げた声でコッチを向ける。


「オイオイ……こんなところでデートか? アー」


 最初にガン付けるように接近してくる不良は、

 一人の背の高いアリス星人の男子がコッチに近づいてくる。

 ツンツンとした髪型、紫のTシャツを着て、ズボンは少し上げていて、顔は不細工面、それに赤いソーラー・レンズをしたソーラー・グラスを掛けていた。

 一方エリスは、不良が近づいてくるのを怯え、僕の背後へと隠れる。


「それはですね、アンタの顔が……」

「アーン? 俺の顔に何が付いているのか?」

「アンタの顔を思いっきり潰すほど殴りたいんですけど」

「ハッーブヘ⁉」


 僕は足を素早く、不良の顔の頬を思いっきり蹴った。

 不良はロケットのように吹き飛ばされ、2~3回転するように不良たちの方へ転がり込む。

 赤色ソーラー・レンズのソーラー・グラスが外れてしまい、地面に落ちて割れてしまう。


「「タロ―‼‼」」


 不良たちは殴られた不良タローが吹き飛ばされるのを絶叫した。

 僕はそいつ等を文句を言う。


「おっと! お前ら弱い者イジメはいけないな」

「誰だテメー! 仲間の顔面を蹴飛ばしやがって!」

「それは……その……」


 不良を殴った以上、何も言い返せない気持ちだ。

 アイツらは睨みつくようにコッチに向ける。

 もう後戻りが出来ない覚悟を決めて、不良たちの方へ近づく。


「オイ! なんか言えよコラ‼ アー」


 次にヴィーナス星人の不良が怒鳴る。黄色いソーラー・レンズのソーラー・グラスを掛けていて、ロングヘア―をした金髪の男が睨みつけた。


「それはですね……」

「なんだよ! 言ってみろやー‼」

「お前らがウザいから殴った。だから次はお前を殴る」


 とんでもない適当な事を言ってしまったんだ。

 すると、目の前にいるヴィーナス星人の男子が、怒気をする顔で苛立っていた。


「ンダテメー! 殺すぞコラ――‼‼」


 ヴィーナス星人の不良は、右手からグーパンチの拳を、自分に向けて殴り掛かろうと襲ってきた。


「ヨシノ! 避けて‼」

「甘いね」

「ナッ⁉」


 僕は横を傾くように、スローモーションを感じ取るように、ヴィーナス星人不良の拳を見事に避ける。


「避けんじゃねー!」

「無駄無駄」


 またもや殴りかかってくるが、気軽に交わし続ける。

 すると、その不良は脂汗あぶらあせを流しながら、プルプルと震えた。


「クソッタレ―! 避けんじゃねー‼」

「イヤ避ける!」

「殴られねえだろーがー!」

「そう……なら今度は、僕がお前を殴る番だ」

「はぁブヘッ⁉」


 ヴィーナス星人の顔を、右のほお辺りで見事にキックをお見舞いし、その不良はグルグル回るように転がっていく。

 奴はピクピクと震えながら、右頬に物凄くれていた。


「さて……残ったのは」

「ヒッ⁉」


 青いソーラー・レンズをしたソーラー・グラスを掛けたエルメス星人の男子生徒で、しかも僕と同様に背が低く、キャップ帽を被っていて、ズボンはひざまで上げて、かかとを潰して履いていた。顔にはニキビだらけで、死んだ魚の目をしている。


「お……俺には……関係ー」

「関係ないって言うのは、なしだからな」


 さっきまでイジメていたチビ男が怯えるように慌てていた。

 僕はゆっくりとソイツに近づく。

 そのエルメス星人の男子生徒が、畏怖いふした表情で逃げ出そうとした。


「殺されー」

「おっと、逃がさないぞ」

「ヒエッ⁉」


 僕はチビエルメス星人の不良の頭を手で逃がさないように強く握った。

 チビ不良は号泣しながら、両手で頭を抱え込むようにバタバタと暴れ出す。


「ごめんなさい! 殺さないでー!」

「謝っても済まさないな」


 イジメを起こした奴らを、罰としてお仕置きしてやろうとしたその時。


「ヨシノー! 避けてー!」


 突然、背後にいるエリスが大声を向けて、何やら危険を攻めているような気がした。


「何⁉」

「クソがー!」


 頭部の後ろから何やら硬い物に殴られた。振り向くと、さっきのアリス星人の不良が、手に持っている木の棒で、背後で僕の頭を殴った。


 僕はそんな簡単に倒れず、バランスを整える。頭の後ろ確認して手を触れると、ヌルヌルとした感じがした。

 気になって見てみると、手には赤い液体がベットリ付いていた。


「血じゃねえか……」


 これは……自分の血だ。








「ヨシノ! あなたたち……なんてことを!」


 ヨシノを殴ったアリス星人とヴィーナス星人の男子生徒に文句を言った。


「うるせーな! さっきの仕返しだ!」

「殴られた恨みは容赦しねえな」

「そうだそうだ」

「あなたたち……本当に最低ですわ」

「「「ンだとコラー!」」」


 私は卑怯ひきょうな三人に軽蔑けいべつし、不良は怒鳴って逆切れして、私に近づこうとした。


「テメーら、待てよ」

「「「!?」」」


 その時……背後姿のヨシノが、自分を殴った不良に声をかけた。


「背後で殴るなって……卑怯だよね」

「なにが言いて―んだよ!」

「それに血がこんなに出ているじゃないか」

「ハッ⁉」


 するとヨシノは、不良の方へ向くと、頭から顔まで出血していて、彼らより物凄く冷酷感を現す。


「こんなに大量な血が出たら、間違って死んだらどうする」

「それは……」

「ヤベーかも」

「死ななかったなら……」


 不良たちは脂汗を流しながら沈黙し、ヨシノが死んでいたら後悔するだろう。


「なら……覚悟を決めて、歯を食いしばってね」

「はーブホー!」

「ホゲッ!?」

「ゲハッ!?」


 ヨシノは三人組不良の顔を、鼻の真ん中辺りで、順番にグーパンチでお見舞いした。


「ヒーーー!!」


 私はあっけなく絶叫し、不良三人組は壁にぶつかり、両手で殴られた鼻を抑えている。余程殴られて痛かったのだろうか。

 三人組の不良は怖気付くように腰を抜かす。

 するとヨシノは、その三人組に近づき、怖い表情をしながら嘲笑している。両手から指先にパキパキしながらこう言った。


「さあて、お前ら全員……ボコボコにしてあげるぞ」


 鬼のような形相で、ゆっくりと三人に近づいていく。


「イヤーーーーー!」

「殺さないでーーーーーー!」

「命だけは……命だけは……!」


 三人組の不良は、顔をクシャクシャしながら泣き崩れ、ヨシノに向けて土下座した。彼に謝罪するように命乞いをした。

 しかし、ヨシノは聞く耳持たず。


「許さん!」

「「「ぎゃああああああああ!!!!!!!!」」」


 ヨシノは一斉に不良三人組を襲い掛かった。

 断末魔に叫ぶ不良三人組の絶叫を聞きながら、私は目にした地獄絵図の風景を眺めながら、怯える仕草で何も言えません。







「すっきりした」

「ヨシノ……」


 それから十数分が経過し、僕はいじめっ子の不良たちを全員一掃した。

 イジメられた少年より、最も倍返しにして、気分爽快きぶんそうかいにスッキリした。


「ヨシノ……やり過ぎですわ」

「だって、アイツらが悪いんだもん」

「あなたの方がもっとやり過ぎですわ」


 エリスは騒ぐように、僕に説教する。

 後ろに倒れ込んでいる三人組の不良は、顔が変わるほどボコボコにブ男に、身体中は傷だらけで、着ている制服は、破れる程にボロボロにした。

 三人組は失神し、もう戦闘不能状態になった。


「さて、オイ……大丈夫か?」

「聞いていますの!」


 エリスの説教を無視して、虐められていた少年の方へ近づいて声を掛ける。

 彼はポカンとした顔で僕に直視する。


「あの……あなたは……」


 少年は言いかけた途端に、何やら走ってくる足音が聞こえた。


「お前ら! そこで何をしている‼」

「「!?」」


 向こうから大きな声がした。後ろに振り向くと、大勢の男女の生徒がいた。


「お前ら……ここで何をしているんだ!」


 最初に話を聞いて来たのは、青い縁のソーラー・グラスを掛けたアリス星人の男子生徒が、睨むようにコッチに接近してくる。


「この人たちは……風紀委員ですわ」

「それって、つまり……学園を守って指導する生徒達だろう」

「はい」


 この学園の風紀委員、全員の腕に巻いているところのワッペンを付けている。文字から【風紀委員】と記載されている。


「大丈夫……それよりアイツらー」

「ソイツも連行しろ!」

「「はい!」」

「アレ?」


 すると突然、二人組の風紀委員男子生徒が僕に近づき、一斉に両手を掴まれる。


「ちょっと待ってくれよ! 僕はその連中をー」

「話をするなら、取調室までだ!」

「そんな!」


 少しぐらい話を聞いてくれよ、僕は暴れるように文句を言うが、


「連れてけ!」

「「はい!」」

「オイー!」


 その男子生徒は、状況の出来事を聞かず、僕は拘束状態で風紀委員に引き釣り込まれるように連行してしまう。


「ヨシノ……待ってくださーい!」


 後ろから慌てて僕を追いかけるエリス。僕はタダ……人助けをしただけなのに……














 




 


 







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