新しい転校先! ソーラー学園‼
25話
「ここが新しい学校か……」
ワンボックスのソーラーカーが停車し、ドアが開き、ゆっくりと車から降りた。
しかも以外に大きいなこの学園、運動場はとても広く、自然で緑豊かな木や茂みが多く、校舎や体育館みたいな建物がハイテク並みだ。
「ソーラー学園の広さのサイズを言います。長さ2.5マイル(4㎞)、幅も同じく2.5マイル(4㎞)です」
「どれだけ広いんだよ!」
本当にデカすぎだよ、さすが初等部・中等部・高等部の一貫なマンモス学園だ。一体どれだけの学生がいるんだ。
「では最初に行くところは、理事長の挨拶を伺いましょう」
「職員室で先生のじゃなくて、理事長の挨拶が先なのか?」
「ええ……転校する最初に訪れるのは、理事長の挨拶をしなければいけませんわ」
エリスの説明を耳に通して聞くと、このソーラー学園に転校初日の最初に訪れるのは理事長、その次に職員室に訪れて担任の先生に転校の挨拶をする、その次に先生と一緒に自分の新しい教室に行くのが順番だと主張している。
「まずは最初に理事長が居られる本館へ行きましょう」
「何処にあるんだ?」
「ここです」
エリスが指を刺した方向に視線を目にすると、トーエのビルと類似している20階建てのビルだ。
「ここが理事長がいるのですか?」
「ええ、ですが学園長は出張中でいらっしゃらないのですわ、理事長室にいらっしゃられますわ」
「何をしているんだ?」
「お茶をしていますわ」
「それはサボっているだろう!」
理事長室でティータイムなのか、学園一のお偉いさんが休んじゃダメだろう。
するとエリスは、僕の手を掴むように引っ張り出す。
「ではヨシノ、理事長のところへ行きましょう」
「イテテ! 少しは優しくしてくれよ!」
エリスは僕の手を痛くする程、強く握りしめながら引っ張られるように本館へ向かった。
本館の入り口に入って、すぐさまエリスが受付を済ませ、エレベーターで最上階に辿り着く。豪華なドアの前に、電子看板に点滅している【理事長室】と文字が記載されていた。
「ここが理事長室なのか?」
「はい」
エリスはスマイルな顔付きで僕を直視する。
しかも緊張感が溢れる程、身体中に冷や汗が出そうだ。
「理事長って、いったい誰なんだ?」
「油断をしないでください。初対面であるあなたには挨拶が大切です!」
「わかっているって」
理事長の挨拶をきちんとしないと、決しておかしな行動を控えたい。
けど、ソーラー学園の理事長は一体どんな人なんだろう。ハゲ気味頭のセクハラなオッサンか、それとも規則に厳しい年配の女教師、もしくは……お師匠様みたいな軍服を着た鬼教官だろうか。
「ヨシノさん、呼び出しのインターンホーンのタップボタンを押せば返事がきます」
「わかった。押すぞ」
僕は、ドアの隣にある呼び出しタップボタンを、指に触れて押し出す。ブザーの音が鳴り響き、すると声から流れて来た。
『誰かの?』
音声から流れて来たのは、とても幼い女の子の声だ。
「理事長! 転校生のヨシノ・オオウチを連れてまいりました」
「へ?」
『そうかい、入り給え!』
理事長……一体どういうことだ、ロックが解除する音が聞こえ、目の前のドアが開きだした。
エリスは、ギュっと握るように僕の手を掴んだ。
「ヨシノ、入室してください」
「わかった」
エリスの言う通りに従い、僕は理事長室へと入室した。
理事長室に入ると、壁には何十人かの顔写真が飾られていた、歴代理事長だと思った。
豪華な机から、背後姿で椅子に座る理事長だ。しかも大きなガラス窓の景色を眺めている。
「おお……よく来たな……ヨシノ・オオウチ」
理事長は女だ、すると座っている椅子を回転するように振り向いた。僕は衝撃で驚愕した。椅子に座っていた幼女であった。
「なっ……⁉」
「ほほう……お主がルビの奴に拾われた輩とは」
「はい‼」
僕はハッキリと返事した。しかも理事長の顔を確認すると、クリッとした丸い目、桃色の唇に、赤いリボンで結んでいる赤毛のサイドポニーテールをしていた。
それから彼女の顔には、赤い大きな丸眼鏡を掛けていた。レンズからレインボーのように輝き、ソーラー・グラスに間違いない。彼女も適合者だ。
幼き顔付きをして、背や体格がとても小柄だ。しかも極端の幼女である。ごの人が学園の理事長なのか。
「まず最初に自己紹介をしよう。儂がソーラー学園の理事長を務めているヒメコ・ミコシバ……略してヒミコじゃ! 以後……よろしく‼」
「はい⁉ よろしくお願いします‼」
いきなり最後の台詞であだ名を言ったぞ、ヒミコというあだ名かよ。
僕は決してロリコンではない。彼女はこんな体型で犯罪に巻き込まれるのが心配だ。心の底で祈りたい。
それに一つ気になっていたのは、彼女の着ている服装だ、中世ユートピア皇国の神話で伝わっている。
人間や動物などを危害を加えて命を奪い、悪さを振るう化け物と怨霊、女性だけ魔術で結界で封印又は、
幻の惑星のアースラーも、巫女様も住んでいたと伝達していた。
そんな理事長が巫女様とは、一体何処の名家の出身なのか気になるなあ。
「なんだお主? 儂が幼女なのがそんなに珍しいのかい?」
「とんでもありません!」
理事長は、ジト目をした表情でこちらを直視して警戒する。僕は決してロリコンではない。オタクである僕の他に、ロリコン属性のオタクが大勢いた。
「じゃがのう、儂はお主より年上じゃぞ!」
「そうですか!」
「オオウチ君!」
「なんじゃあ⁉ そんなに驚くんじゃないぞ‼」
「すみません……」
あの幼女理事長が自分よりも年上! お師匠様より滅茶苦茶若過ぎだろう。しかも外見は幼き少女、中身は老婆だ。とんでもないロリババアじゃないか。
「そうか、儂をロリババアを思うのかい?」
「とんでもありません!」
「儂の目は誤魔化せないからじゃのう」
「ウッ⁉」
心を覗かれるなんて、あの理事長はなんて鋭い感覚なんだ。
「理事長! オオウチ君をからかわないでくださいよ‼」
「エリスよ……そんなに叱るな、それにオオウチ……言い過ぎたからすまんすまん」
理事長はエリスに叱られ、僕に向けて謝罪した。
すると理事長は、奇妙なことを言い話した。
「お主よ、具現化したオリジナルの武器がおもしろいではないかい、刀だけでなく人間の女の子に変身するとは、名前を付けるとはお主が初めてじゃ」
「どうして知っているんですか?」
理事長が口にしたのは、僕のオリジナル武器の〝タネちゃん〟の事だ。普段なら刀から人間態に変身すると、僕と同じ年齢の女の子の容姿になったから、名前を付けたっていいじゃないか。
「どうやって調べたんだ?」
「もう一度言うぞ、儂はな……なんでもお見通しじゃよ」
「どういうことだ?」
一体〝お見通し〟という言葉は一体何を示しているのか気になる。
すると、僕の右隣にいるエリスが説明した。
「ヨシノさん、ヒミコ理事長のソーラー・グラスの能力はですね……予知能力ですわ!」
「予知能力⁉」
予知能力って確か……未来が視える事じゃないか。
つまり、ヒミコ理事長の予知能力は、ソーラー・グラスの適合した影響なのか、もしくは生まれたから予知能力が見えてしまったのか、それとも両方か……。
「オイオイ……そんな怯えないでくれ、そんな暗い未来を視ないから安心せい」
「……はい」
面白そうな態度を取る理事長。ところがエリスが不機嫌な顔付きをしてヒミコに声を掛ける。
「理事長‼」
「わかっておるエリス」
またもやエリスに
「全く説教するのは勘弁してくれ、失敗続きや拉致される未来を視た影響かな?」
「私の未来を視たんですか! どうして話して止めなかったのですか!」
「そんな事でお主を止めようと思うのか」
「何故ですか?」
「もしも……儂がエリスを現場へ行かせなかったら……オオウチの奴はここに来られなかったぞ」
「え……⁉」
「そこにいるオオウチはいなかったぞ。エリスがいなかったら……」
「理事長の言う通りだな」
確かに、理事長の予知能力のおかげで、僕とエリスと出会わなかった。
もしエリスがいない場合、数週間前に起きた、アルフレッドのテロリストが引き起こした学園を丸ごと立てこもり、人質にされた生徒と教師は殺されていたはずだ。
「エリスよ、お主のおかげでヨシノ・オオウチがここに来られたんじゃぞ」
「それは勘弁してください!」
エリスは顔を赤くしながら、ヒミコ理事長に文句を言いつける。
彼女の予知能力は
「話を聞こうかオオウチ。お主が転校する以前、前の学園の入学式直後の夜に、うちの元教師であるルビの奴を知っておるじゃろう?」
「はい! お師匠様の事ですか?」
「お師匠様? ルビの事なのか?」
「はい。彼女がそう呼べと」
「お師匠様……ヤレヤレ、ルビはいつもこうだから」
ヒミコ理事長は、右手で頭を抱えて、ため息を吐いた。
「しかも、お主もルビの特訓に突き合わせていたな」
「言わないでくださいよ。思い出したくない記憶が山ほどあります」
ルビのお師匠様の一緒にいた頃、地獄の訓練や特訓など、とてもひどい目に合わされた。
「奴が何処へ行くのか聞いていないのか?」
「はい。それは……気づかないように背後で殴られて気絶したので」
「そうかい、それで奴は忽然と姿を消したと」
「はい」
(アイツ……なんという乱暴な事を……)
ヒミコは残念そうな顔をして、不満そうな表情をする。
「つまり、おし―ルビ先生の
「そうじゃの、しかし諜報部の生徒から、ルビの行方はまだつかめていないからのう、一体奴は何処へ行ったんじゃろうの?」
「さあ……?」
(お師匠様の追われる連中って……ソーラー学園だったとは)
お師匠様の全てが繋がった。ソーラー学園は彼女を連れ戻そうと必死で追跡していたとは、お師匠様は恐れて何処かへ逃げ出してしまった。僕を巻き込まれないように、音を立てないように背後でゆっくりと殴打して気絶して、あれはとても痛かった。
「その話は置いといて、ソーラー学園へようこそ。ヨシノ・オオウチ……歓迎するぞ!」
「どういたしまして」
「アレ? 学園長は?」
「学園長?」
「奴は仕事で忙しくて、しばらくは学園に戻れぬ」
「仕事って?」
「企業秘密じゃ」
「はい……?」
理事長は右目をウィンクして、ニッコリと僕に向けて笑った。ソーラー学園の学園長が不在、一体どんな仕事をしているのか気になる。
まさか、ジャンヌと同じスパイクラスみたいに、星際問題に関わる事態なのか、もしくは軍事関係や外交の仕事にしているのか。
学園長は一体どんな人物なのか、男か女なのか気になる。
「それにオオウチ、転校の挨拶は以上じゃ」
「そうですか、以上で理事長の挨拶は以上です。次に担任の先生ですけど、職員室は何処ですか?」
「中等部の職員室なら、この本館の8階ににあるのじゃあ」
「はい。職員室に訪れて挨拶してきます」
「有無」
「じゃあ理事長、私達はこれにて失礼しますので、行きますわよオオウチ君」
「わかった」
僕は、エリスと一緒にドアの方向へと歩いていく。ドアが自動的に開き、僕とエリスは一旦と振り向いた。ちゃんと理事長の顔をよく見る。
「それでは失礼します」
「失礼します」
「有無」
ヒミコ理事長に礼を言って挨拶し、理事長室から退出する。
「ヨシノ……どうしたのポカンとした目をして?」
「イヤ! なんでもない‼」
エリスは心配そうな顔をする。僕が思ったことは、ソーラー学園の理事長がロリコン巫女さんだと仰天し、お師匠様より若すぎて、あまりにもポカンとしてしまい、何がともかく頭から離れない。
「そうだ! 次に職員室を訪れないと。エリス……もう少しだけでも……」
エリスの頼み込もうとしたら、彼女はソーラー・グラスから、彼女宛てのメールが届き、それをタップしていた。
すると、メールを閉じて、今度は僕に話をしてきた。
「すみません。私は一刻も早く教室に戻らないといけませんので」
「そうか、授業を出ないといけないのか?」
「申し訳ございません。こんな時に……」
「いいよ、ここからは一人で行くから」
「そうですか……じゃあヨシノ、私は急ぎますので、クラスがわかり次第に連絡を」
「わかった」
エリスはエレベーターに乗車する。
「迷子にならないでくださいね」
「子供じゃないから」
エリスは僕に向けて手を振った。エレベーターが閉じてしまう。
「それでは、職員室へと行きますか」
僕は、転校の挨拶を一人だけ職員室に向かった。
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