23話
「私たちの学園に転校するのですか!」
「当たり前だろう!」
僕は仕方なく、ソーラー・グラスに適合した以上、ソーラー学園に転校するしかない。
ハルタの暴走を止めるには、義理の兄である僕だけだ、もう怖気付く暇はない。
「それなら……いますぐシアさんの転校手続きを登録しているサリアに連絡を」
エリスは、ソーラー・グラスでサリアに連絡を取ろうとした。
「待ってくれ! 転校手続きをするなら……エリス! お前に渡したい」
「私ですか!」
エリスは、衝撃的に驚愕する。
「どうして私ですか⁉」
エリスは気になる目で僕の顔を直視し、両手で赤い
「最初に初めて出会った時、ソーラー・グラスを渡してきただろう」
「そうですが……」
エリスは、茫然とした顔で、外したソーラー・グラスを凝視する。
最初にソーラー・グラスを渡したのは……エリスだ。
初めてエリスと出会ったのは、一昨日、学園の帰宅途中で、謎のドジっ子シスターがいきなり現われた。
しかも腰まで伸びた黒髪の女の子を見たのは初めてだ。
「最初は、不審で怪しい物を転売だと、思って逃げたから、ソーラー・グラスを渡されたのが……テロリストの奴らに捕らわれた時に……」
「それを言わないで!」
エリスは
警戒心で逃げ帰ったけど、次の日、テロリストの奴らから学園を占領されて、一人だけ逃れるのは出来ないので、救助に行った際に拘束されて、体育館の窓から突き破ったのは、シスターであるエリスが飛び込んできた。
「全く! 私が吹き飛ばされて侵入してしまうとは……何たる恥を掻きましたわ!」
「落ち着けって‼」
原因は、科学部が発明した『人間ロケット砲』のおかげで、エリスは飛ばされて侵入に成功した。巻き込まれる途中で、体育館倉庫から逃げ込んで、エリスにソーラー・グラスを渡されたことを思い返す。
それから適合が一致して、僕のオリジナル武器である〝タネちゃん〟と出会い、彼女の刀バージョンのおかげで、テロリストたち全員、捕縛することが出来た。
エリスが、ソーラー・グラスを渡したおかげで、僕も適合者になってしまい、危険から逃れた。
「それで、エリスが渡したソーラー・グラスのおかげだ」
「ヨシノさん」
嬉しさで微笑みな顔をするエリス。余程ソーラー・グラスを渡して、良かっただろうか。
「ありますわ……今から送信します」
エリスは、レンズ越しから書類が映し出され、指先を
「おっ……来ましたか」
ソーラー・グラスのレンズ越しからメールが点滅し、届いた書類メールをクリックして開いた。〝転校届〟のペーパーが映し出された。
「最初に名前と生年月日と出身地……年齢を記入してしてください」
「わかった」
僕は、ソーラー・グラスで、自分の名前と生年月日を記入した。次に、出身星を『アリス星』、出身地域を……僕の実家の住所にした。
そして、ヨシノは最後の一覧を書こうとした、ところが、彼が急に指が止まる。
「……」
「ヨシノ?」
僕は、指を止まったのは。なぜなら……転校届の最後に書かれていたのは、保護者の一覧の名前だ、
しかし、僕には家族が誰一人もいない。
「保護者の名前……書かないのですか?」
「僕の父さんと母さん……大分前に死んでるよ」
7年前の事件、父さんと母さんを含むオオウチ家は、子供以外全員亡くなっている。
それなのに、保護者を誰にするのか記入できない。
「それなら、あなたを引き取ってもらった、お師匠様にすればよろしいでしょうか?」
「お師匠様……?」
エリスが放ったアドバイスとは、お師匠様を保護者に記入する事だ。
「でも……お師匠様は他人だし……」
「何言っているんですか! あなたを引き取ってくれたのは、あの人しかいないでしょう!」
「……」
僕は何も言えなかった。エリスの言う通りだ、確かに7年前、施設病院の頃からずっと、身寄りもいない僕を引き取ってくれたのが……お師匠様だった。
一緒に厳しい訓練と筋トレなどを鍛えたり、語学や数学と歴史の勉学と頭脳を励んだり、一人で寝るのが怖い時期もあった。それでお師匠様が一緒に寝てくれた。
「お師匠様が……お母さんみたいだった」
「そうですわ! だから記入しても構いません!」
「わかった! じゃあお師匠様の名前を書く!」
僕は、指で文字を動かし、保護者であるお師匠様の名字を書いた。
「お師匠様……イヤ、〝ルビ・デグリ・アルマティ〟……僕のお師匠様」
転校届の保護者欄に〝ルビ・デグリ・アルマティ〟を記入した。
「エリス、記入欄を全部埋まったけど、何処に送信するんだ?」
「もう一度私に送信してください」
「わかった。けど……お前のアドレスがわからないけど」
「もちろん……アドレスを教えますので、ちゃんと登録してください」
エリスは、ポケットから取り出した紙切れを僕に渡した。
「わかったよ……」
僕は、エリスの紙切れを手にして、それを開くと、メールアドレスが書かれていた。
ソーラー・グラスでエリスのメールアドレスを登録した。新規メールに転校手続きのメールを入れて、エリスのソーラー・グラスに送信した。
エリスは、僕が送信した転校届のメールを無事に届いているのか、彼女は自分のソーラー・グラスで確認する。
「ちゃんと届いていますわ、私は急いでサリアに送信しますわ」
「わかったよ、身体は大丈夫なのか?」
「大丈夫です。手続きを終わり次第、転校する日にちと確認が出来次第、メールに送信しますので、確認を取ってください。もちろん……交通費を特別に出してもらえます」
「そう……助かるよ」
ソーラー・グラスを適合した子供たちは、転校届の手続きが終わり次第、自分のソーラー・グラスのメールが届き、転校する当日と、特別に交通費を出して
トーエに到着した際に、宇宙空港で学生と教師などの関係者が、迎えに来る事も役割だ。
「私は急ぎますので、失礼いたします」
「ご苦労様。それと……体には気を付けろよ」
「はーい!」
エリスは、楽しそうな顔で、ウキウキしながらロビーへ出て行く。
一人だけロビーに残された僕は、テーブルに置いてある空き缶を、ドリンク販売ストアマシンの隣にあるゴミ箱に捨てた。
(これからは……忙しくなるな……)
僕は、大きな窓の景色を眺めた。今日の夜空は、綺麗な月が輝いている。各惑星である星々も、それから……暗黒な惑星も含めてだ。
「今日も見えるな……アースラー」
夜空に浮かぶ暗黒の惑星を眺めた。あれがソレール系で、唯一……詳細不明の惑星と言われている『アースラー』である。
最初に発見したのは、中世のカリスト系ジュピター星人のとある科学天文学者が、謎の暗黒な惑星を発見し、〝悪魔の星〟と呼ばれていたが、数年が経つと、ヴィーナス星人の天文学の学者とプルート星人の神父が調査した結果、ソレール系で、数々の惑星全体を誕生させた神様が住む惑星『アースラー』と認識した。
戦後の間もない頃、全ソレール系の惑星が、アースラー星を調査開始したが、謎の奇妙な事故が多発して、死者・行方不明者が続出し、計画は失敗に終わるように中止した。
「僕も……アースラー星に行ってみたいな……」
昔から、よく神話系の漫画や絵本などを読書した影響で、神様が住む惑星……〝アースラー星〟だ、一体どんな惑星なのか、それが僕の夢である。
「でも……アースラー星を行くのは、まだ先かもしれない。これからは……忙しくなるぞ!」
ガッツポーズを取った態度で、夜空に浮かぶアースラー星に向けて、大声を上げた。
「眠いな……さてと、病室に戻るか」
僕は、眠気が出てしまい、自分の病室へ戻った。
あの事件から……一週間が過ぎた。
「うーん……随分寝ちゃったな……」
目が覚めると、数時間に及ぶスカイ・ジャンボの席で、座りながら眠っていた。
『投機は……大気圏の降下いたしました。乱気流の為に少し揺れますので、ご注意ください』
案内放送の言う通り、乱気流に接近し、飛行機の中は大分揺れている。でも、このスカイ・ジャンボは簡単に
僕が搭乗しているスカイ・ジャンボは、全惑星の全地域の国には、様々な宇宙生物と災害みたいな気候などの被害に及ぶ恐れが多い。
他国地域に行くには、惑星外の宇宙の中間圏の空までの移動手段。宇宙中間圏まで飛べるのが、このスカイ・ジャンボである。
何百人以上の乗客と、十数人の乗員、宇宙中間まで飛べる乗り物だ。
飛行機の中はとても暇だ。すると、スピーカーから機内放送が流れて来た。
『アリス星の首都・トーエ惑星宇宙空港に到着いたします。トーエの天候は晴れ、
スピーカーの隣に、〝ベルト着用〟のマークが点滅する。
「もうすぐトーエか」
さあ、いよいよトーエに到着だ。先に転校届の手続きを取ったシアは、一昨日過ぎにトーエに転校した。アイツは今頃、新しい転校先の学園で、授業を学んでいる頃だろう。
『投機は間もなく……最終着陸態勢に入ります。お座席のベルトをお締めくださいよう、お願い申し上げます』
僕は、席にあるベルトを閉めた。飛行機の窓を眺めると、すぐ様とビル群が見えて来た。
(7年振りだな……相変わらず)
久しぶりのアリス星の首都(ユートピア皇国の所在首都)と言われる。
『最終着陸を致しますので、機体が完全停止するまで、どなた様もお座りのままでお待ちください』
スカイ・ジャンボは、窓の真下に見える〝アリス星の巨大交通網ステーション・トーエ惑星宇宙空港〟の滑走路が見えて来た。
(少し揺れるな……)
滑走路に着陸したスカイ・ジャンボは、スピードの速度が落としている。
無事に地上に着陸したらしい。
スカイ・ジャンボは、スピードが段々と遅くなり、機体は一時停止する。スピーカーから案内放送が流れて来た。
『アリス星の首都・トーエに到着いたしました。お降りの際は、お忘れ物のないようにお
乗客たちは、すぐ様ベルトを外し、席から立ち上がり、上にあるラックから荷物を取り出している。
僕も、座席のベルトを外して立ち上がり、頭上のラックから荷物を取り出す。
「久しぶりだな、生まれ故郷‼」
トーエは僕の故郷、資産家であるオオウチ家の本拠地はここだった。7年振りに帰省した。
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