19話 

「レンズが……光って……」

「私もです?」


 突然僕とエリスの掛けているソーラー・グラスのレンズが、色鮮やかに輝き、襲い掛かるアルフレッドは動きを一瞬で停止する。


「目がー! なんて眩しいんだ!」


 動きを止めたアルフレッドは、驚愕した顔で、閃光の眩しさを防ぐ為、両手で人工ソーラー・グラスの手前に両目を隠す。


「アレ……?」

「なんだ!?」


 それにソーラー・グラスだけでなく、僕とエリスの所持している武器も光っていた。


「ウワッ!?」

「十字架が!?」


 僕の武器である刀のタネちゃんと、エリスの武器である十字架が、急に磁石のように飛び出て、療法とも宙に浮かんで、粒子粒に変化する。


「消えましたわ?」

「イヤ……砂に変化したみたいだ!」


 粒子粒になった武器が、混成するように発光はっこうして、大きく変化する。


 光が収まると、粒子粒の武器がゆっくりと着地する。


「なんだ……これは……?」

「私の十字架と、ヨシノさんの刀が……?」


 エリスの十字架と僕の刀のタネちゃんが合成した。これって新兵器の誕生なのか。


「刀と十字架が合体した!」

「嘘でしょう……まさかこれが、ソーラー・グラスの適合者同士を力を合わせて合体兵器が一致したのですか?」

「合体兵器?」

「ソーラー・グラスの適合者同士の武器が合体する能力です!」

「それって……誰でも合体兵器になれるのか?」

「ええっ、親しい友達と仲間と兄弟姉妹、後……恋人……も……」

「エリス、どうしたんだ?」

「なんでもありません!?」

「はあ~?」


 エリスは慌てて手を振って、顔をトマトのように赤く染まる。次にモジモジした態度をした態度を取りながら、一体何を考えていたのか気になる。


 エリスの十字架と僕の打刀のタネちゃんが合体兵器になった武器は、見た目によると、RPGに出てくるロングソードに変化した。


 こんなにも人一倍の大きい、どうやって戦うのか、素振りや剣術の知らないエリスは無理だろう。僕なら戦えるけど、この十字架はエリスの武器だ、本人じゃないと、認識出来ないかもしれない。


「私……剣で持った事と、戦った事も一度もありません」

「エリス、僕と一緒に戦えるはずじゃあ……」

「私は戦闘タイプじゃありません。それならヨシノさんだけで十分でしょう」

「でもエリスの十字架が、本人でないと……」

「でも……」


 このロングソードを、僕かエリスのどちらが手にして、所持するのを早く決めないと、こうなったら悩んでも仕方ない。


「エリス、僕と一緒にロングソードを持ってくれないか?」

「はい……?」


 合体兵器を手にするなら、僕とエリスの二人で一緒に戦えるはずじゃないか、一緒のソーラー・グラスの適合者なら、


「待ってくださいいい! まさかヨシノさんと二人で! 私はシスターですので、私とヨシノさんは子供ですので、即刻電撃結婚は早すぎます!」

「なんの話だ―!」


 エリスが慌てる表情をする。いきなり結婚式のケーキ入刀するのを思っているのか。今の状況では、彼女の勘違いが多すぎる。


『ヨシノさんとエリスさん、合体兵器おめでとうございます!」

「「タネちゃん!?」」


 十字架ロングソードから、タネちゃんの声がした。ピクピクと振動するように、ボイス音で会話した。


『ヨシノさん、昨日でソーラー・グラスを着用したばかりに、こんなに早く合体兵器を発動するとは、まさかお二人さん、ラブラブのハッピーエンドは、まだ早いですよ!』

「「違う(です)!」」

『冗談ですよ』


 笑壺えつぼな言葉を言うタネちゃん、どれだけ僕とエリスをカップルに指定された。


『合体兵器のお祝いしたいですけど、まずは悪党を倒すのを先決ね』

「「そうだった(ですわ)!?」」


 向こうから、額に血管が浮き上がるアルフレッド、まぶしさで潰された目を回復したアルフレッドが、僕らをものすごく激怒した顔で睨んでいる。

 

 アルフレッドの手に持っている長太い合金の棒が、いつの間にか握りしめている。もしかしてアイツは自分の武器を具現化したに違いない。


「よくもやってくれたな……貴様らー! 絶対に許さーん!」


 アルフレッドは怒り狂った表情で怒声を上げた。


「これが俺様の武器である合金の棒で、硬い物と骨が砕けるんだぞ!」


 アルフレッドの掛けている人工ソーラー・グラスの残った右レンズから、砂嵐のように映し出され、その棒から熱気があふれ出る。


 このまま身体を殴打されたら、臓器と骨を破壊される。筋肉質と骨折だけじゃあ、済まなそう。


 アルフレッドの顔は青白く。目の瞳孔が合わず、まるで廃人のように変貌してしまう。


「これでお前らの頭の骨を砕いて、脳みそを潰して……やるー!」


 アルフレッドは、武器である太い合金の棒で襲い掛かろうとする。


「こうなったらエリス、力を合わせよう!」

「ですが私にはー」

「選択する暇あるか!」

「ちょっと!」


 エリスの手を掴み、ロングソードを一緒に掴んだ。


「アレ……?」

「力が……? それにオーラ―が……?」


 身体中の神経質に通じるように、段々と力が溢れて行く。


『ロングソードを持ちましたね、ヨシノさんとエリスさん! お二人の力を合わせて、この厄介者を倒してくださーい!』


 タネちゃんが僕とエリスを応援してくれるのはありがたいけど、隣にいるエリスは、顔の頬から赤く染まり、恥ずかしがる表情をしていた。


 それに僕も、胸の心臓がドキドキするように振動する。


「力がパワーアップしますわ、ヨシノさん、力を合わせてジャンヌさんとゼニガタ先輩の敵を討ちましょう!」

「二人はまだ死んでいないけど……」


 それに隣に寝込んでいるモニカとジャンヌが、先ほどアルフレッドの攻撃を食い止める為、怪我を負ってしまい、息はしているけど、一刻も早く病院に運ばないといけない。


 エリスの目から、燃え盛る炎が映し出され、まるで熱血マンガ主人公キャラに似ていて、その台詞を真似している。僕はエリスと一緒にロングソードを構えた。


 すると刀から発光が星の輝きみたいに出現した。


「凄いですけど、ソーラー・グラスの能力ですね」

「ああっ……」


 僕はエリスと一緒に、ロングソードを持ちながら震えが止まらない。身体の力がみなぎっていく。これが合体兵器の力なのか。


「死ね――!」


 アルフレッドが突進するように、持っている合金の棒を、僕とエリスに向けて殴り掛かって来た。


「イヤー!」

「クソッタレ! タネちゃん!」

『お任せください!』


 僕とエリスは目の前の棒に当たってしまう。衝撃な音が聞こえ、合金の硬い棒を思いっきり殴られて、痛く……なかった。


 僕とエリスは強打されるどころか、殴られていなかった。


 目を開けると、アルフレッドの持っている棒が、タネちゃんのロングソードで素早く防御した。いつの間にか僕らは戦闘状態に切り替えていたのか、これがソーラー・グラスの合体兵器の凄さだ。


「なんだと!?」


 アルフレッドは仰天な顔をする。


「あんな大きな凶器を防御するなんて……」

「一緒にを合わせたおかげだ」

「はいです!?」


 エリスは緊張感を言いながらに声を上げる。


『エリスさんの顔、赤くなっていますけど、まるでカップルのお付き合いですね』

「「うるさい(ですわ)!?」」


 どうしてタネちゃんはいつも、人をからかう口癖を言うのがわからない。


 さっきの言った言葉を、リア充みたいな呼ばわりにされるのはごめんだ。


 刀と十字架の合体兵器であるロングソードを手放さないように、しっかりと把持はじする。


「クソッタレがー!」


 アルフレッドは咄嗟に後方を下がって、断念もせず、またもや再戦さいせんするように襲い掛かってくる。


りない奴だなオイ!」

「ヨシノさん、どうすれば……急いでいる時に」

「でもアイツは本気で殺す気満々だ」


 ヨシノは警戒するように、アルフレッドの攻撃を攻めてくるのか、確認するように、防御する態勢たいせいに入る。


「手も足も出られないですわ、どうすれば……」


 考える一方、どうすればアルフレッドを一発で倒せるのか。


『では合体兵器で、必殺技で止めを指してください』

「「!?」」


 その時、タネちゃん(ロングソードver)が、驚愕なアドバイスを言ってくれたよ。


「どうやって合体兵器に必殺技を出せるのか教えてくれ!」


 僕はタネちゃんをお願いするように、合体兵器の必殺技の出し方を話す。彼女は素直な口調で教えてもらった。


『はい。その必殺技を出すには、二人で一緒に協力し合い、合体兵器の必殺技が発動します』

「ですが、私にはヨシノさんと初めて会ったのは、一昨日しか―」

「エリス!」

「はいっ!?」


 ヨシノは神経質しんけいしつ態度たいどで、私を目を合わせるように直視する。


「会った事と知らないなど関係ない。僕はエリスと同じなんだよ!」

「同じ……?」

「僕とエリスは、家族が誰一人もいない!」

「家族?」

「家族を失った僕と、家族と故郷の記憶がないエリスは、僕たち二人は孤独で生きてきたんだ!」

「はい……」


 ヨシノの言う通り、私とヨシノは、家族のいない孤児こじである。


 ヨシノさんは家族を失い、私には家族どころが故郷の事も全く覚えていない。


「僕は大事な家族を目の前に殺された。それからお師匠様と出会ってから、僕は強くなったんだ。でもお師匠様は、忽然こつぜんと消えてしまい、さよならも言わずにどこかへ行ってしまった」


 僕の心の傷をいやしてくれたのは、彼を引き取って養子ようしにした、元ソーラー学園の教師をつとめ、お師匠様と名乗る女性と出会い、彼をきたえる為に、様々な地獄じごくの訓練をして強くなった。


 しかし中等学校入学直前に消えてしまい、彼はまた孤独こどくな人生を歩んでいた。


「一昨日出会った頃、お前は結構ドジっ娘な奴だけど、可愛いところも好きだ!」

「えっ!?」

「今日のデートで、お前の過去の話を聞いた際に、家族と故郷の何も知らずに生きてきたエリスが可哀そうだと思ったんだ!」

「でも、私はヨシノさんと違って、家族は―」

「わかるよ! お前の黒髪を見てると、アイツと同じ苦しみを思い出すから、エリスを守りたいから!」

「ヨシノさん……」


 僕はエリスに向けて、手を差し伸べた。


「だからエリス、一緒に力を合わせよう!」

「はい!」


 エリスは僕の手を思いっきり掴んだ。


「エリス!」

「ヨシノ!」


 僕とエリスは、お互いに顔を間近に合わせるように目に直視する。


 右手をやさしくにぎった。


「エリス……ずかしいけど、いいかな……」

「私は……シスターですから……一度なら……」


 僕は緊張感きんちょうかんをしながら、エリスを唇をそっとして、ヨシノさんと口づけをした。


 その時、ソーラー・グラスのソーラー・レンズから、交戦のように輝きを保ち、力がみなぎっていく。





















































 

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