18話

「ク……お前、適合者じゃないのに……どうして強い……」


 奴に顔を殴られ、腹を蹴られ、すぐに動きも出来ない。奴は嘲笑う顔をしている。


 大男の掛けている人工ソーラー・グラスのレンズには、研究で合成したソーラー・レンズはとても危険過ぎる。


「あなたはどうしてこんなことをするんですか! アルフレッド・ボールドウィン!」

「そいつの名前はアルフレッドなのか!」


 随分偉人みたいな名前だなこの大男は、するとアルフレッドは見下す目をした顔つきに変貌する。


「それはだな……復讐だ! この嫌な記憶がよみがえる町の人間を殺し、最後には町全体を丸ごと焼き払い、次にソレール全惑星を革命を起こす、いわゆるクーデターだ!」

「クーデター!」

「そんな馬鹿な計画を起こそうと!」

「ああ……そうだ!」


 アルフレッドの目的は報復、全ソレール系惑星を占領する気か、まるで昔の連邦と同じ行為じゃないか、それに僕が住んでいる町の住民を殺戮、町全体を焼き尽くしたら、このままだと町の住民と、病院にいるシアにも被害が及ぶ。


「お前……この町の出身だったのか?」

「ああっ、随分昔に住んでいたんだぜ!」

「この町に何か恨みでもあるのですか?」


 エリスはアルフレッドの復讐が気になり、質問に答えた。


「あるぜ! お前らにいいことを教えてやるぞ!」


 アルフレッドは怖気付いた顔で、自分の過去を語った。


「俺様はな……お前らみたいなクズのせいで、人生が滅茶苦茶になったんだぜ!」

「人生?」


 アルフレッドは苛立つ声を出して、自分の人生の破滅した昔を語った。


「俺の親父は、この町のソーラー連邦のアリス星支部の収容施設刑務所長だった、裕福で何不自由なく暮らしたんだぜ、でもあの戦争のせいで圧勝されたせいで、俺様の地獄が訪れたんだよ!」

「この廃墟になっている収容所の所長の息子なのか!」

「聞いた事があります。この施設の所長の名前は確か……アルバトロ・ボールドウィン、まさかあなたがアルバトロの息子ですの?」

「そうだ! よくわかったな小娘!」


 アルフレッドの父親であるアルバトロ・ボールドウィン、この廃墟になっている元収容所の元所長、ソレール宇宙戦争の事だな、コイツもお師匠様と同じ年齢なのか。


「戦後間もなく、親父は拘束されちまったんだぜ! それで俺様は反逆者呼ばわりにされたんだぜ! 苦しみで味わった奴らに報復され、俺のお袋は目の前に殺され、俺だけ地獄の日々な毎日を送ったんだぜ!」

「ううっ……」

惨過むごすぎですわ!」


 アルフレッドの悔しさ委と憎悪な表情を取る。お師匠様から聞かされた事がある。当時の旧連邦の職員と軍人である親族は、戦後間もなくして報復を受けて、殺されたり、財産を略奪されるという事態が起こった。


「俺は最初に襲ったのは、俺を傷ついた奴らにナイフで刺した。そしたら問答無用で刑務所送りにされたぜ!」


 最初に悪事に染めたのは、アルフレッドを虐げた人間を傷害するのが始まりだ。


「それから何年かして、俺は刑務所から脱走に成功した。星外へ逃亡し、親父の影響でテロリストの傭兵に志願した。盗みやタタキ《強盗》などの略奪、女子供例外なく殺して、後は物足りず、仲間を売って報酬が手に入った。しばらくしてリーダーになれたんだぜ! いくつかの人間が集まる密集した場所での爆発、大量の血が流れたんだぜ!」


 アルフレッドは自分の過去の罪を犯したテロ行為などを全て暴露した。それにジャンヌの家族を失った爆破した場所までも含めて語っている。


「俺様は最高だったぜー! 俺よりも悲しい絶望に染まる顔は、笑いが止まらねえぜー! ギャハハハハハハハハ!」


 アルフレッドは死神みたいな狂った顔にし、人の心をむさぼって嘲笑ちょうしょうする。僕はソイツの犯した罪を、嫌で怒りが溢れそうになりながら歯を食いしばる。これじゃあ逆恨みだろう。


「ふざけるな! お前の暗い過去ならわかっているけど、自分をした過ちの後悔をしないのか!」

「フン、そんなの所詮しょせん、忘れるだけだろ!」

「ふざけやがって!」


 僕は我慢の限界で、アルフレッドに殴りかかろうとした。


「無駄だ!」

「ガハッ!?」


 しかし腹辺りに殴られて返り討ちに合い、アルフレッドの掛けている人工ソーラー・グラスではかなわない。このままだろ、僕たちは殺されるのか。


「クソ……」


 刀を拾い上げようとしたら、アルフレッドが近づいて、足で僕の手を踏みつける。


「おっと、お前……何度やっても無理だぞ!」

「グッ‼」


 僕の腹を強く踏みつけ、足の圧力が刺激的で、腹の筋肉質の痛覚が感じる。


「ヨシノさんから離れなさい、この野蛮人‼」


 エリスは僕を助ける為、右手に持っている十字架で、アルフレッドに応戦した。


「甘いな……」

「ウグッ!?」


 しかしエリスはすぐに顔を殴られ、アルフレッドは嫌な嘲笑の顔をしながら、エリスの首を掴まれるように絞められる。


 エリスは苦しみそうな顔で抵抗したが、何もビクとも出来ない。


「苦し……やめ……」

「ヤメロー!」

「ヒヒヒッ……もっと苦しめ!」

「クソ―!」


 声を出しても止めないアルフレッド、すると突然小さな光るものが光線のように飛んでくる。アルフレッドに当たってしまう。


「グア―ッ!」


 光るものはアルフレッドの掛けている人工ソーラー・グラスの右レンズに見事に命中した。レンズの破片が飛んで、首を絞めようとするエリスを引き離すように拘束を解く。右目をこするよに破片を取り除いていく。コロコロと転がってきたのは、銀色の丸い硬貨である。


「ヨシノ! 急いで非常ボタンを押せ!」

「ゼニガタ先輩!」


 どうやら風紀委員のゼニガタ先輩が、銭投げでアルフレッドに向けただろう。エリスを助ける為に投げたに違いない。するとアルフレッドは苛立つ顔でゼニガタ先輩を睨んだ。


「貴様ー!」


 アルフレッドは怒りを上げて、ゼニガタ先輩に殴りかかろうとした。


「待ちなさい!」

「誰だ!?」

「今度は私が相手よ!」

「何!?」


 アルフレッドに立ち向かったのは、ジャンヌだった。大剣を手にしてゼニガタと一緒に行動して、奴のおとりになって戦闘に取り掛かる。


「早く! 私が奴を押し付けるから、急いで非常ボタンを!」

「わかった!」


 僕は急いで非常ボタンがある、緊急用の赤いスイッチの方向へ走った。


「クソガ―! 裏切り者のくせに! どうして俺様のテロ組織に潜入したんだ!」

「それは……あなたが犯した罪の償いを報いる為よ! 私の両親を奪ったからよ!」

「両親?」

「数年前の事件、あなたが起こしたヴィーナス星での爆発テロ! あなたのせいで私の大事な家族を失った!」

「ほう……すっかり忘れてたな……」

「貴様―! 恥を知れー!」


 剣を放つジャンヌ、しかしアルフレッドはすぐに交わし、彼女は諦めずに何度も語りを振り続けた。


(ジャンヌさん……)


 ジャンヌさんのご両親は、アルフレッドが引き起こした爆破テロに巻き込まれて犠牲になってしまい、彼女はソーラー学園転校初日から、ずっと一人で生きてきた。必死でスパイクラスでの、孤独な人生を歩んでしまい、彼女は必死に勉強と努力頑張っていく。








「キャア!」


 反撃されて、ジャンヌは手に持っている大剣を放ってしまい、アルフレッドは赤黒く染める顔で、プルプルと震えあがるように苛立つように襲い掛かる。


「クソッタレが―! 死ねー!」


 アルフレッドの掛けている人工ソーラー・グラスのレンズが赤く染まるように静電気が現われ、一気でジャンヌを襲い掛かろうとした。その時。


「御用だ!」

「何!?」


 その時、巨大な手裏剣のように手錠が飛んできて、アルフレッドの足に掛けられ、すぐさまスッ転んでしまう。間違いなく彼女しかいない。ソーラー学園の鬼風紀委員のモニカ・ゼニガタしかいない。


「大丈夫か……ジャンヌ!」

「ありがとう……モニカ」


 鬼の風紀委員として生徒に恐れられているモニカは私に近づいて、手に差し伸べる。


 私はモニカの手を掴む。こんなに親しくするモニカは見たことがない。


「あのなジャンヌ、言いたいことがあるけど……いいかな?」

「なに? こんな非常事態な時に!」


 モニカは恥ずかしそうな顔で、足をモジモジしながら話しかける。


「この任務が終わったら、私と友達に……なってくれない?」

「えっ……!?」


 モニカが話した事とは、友達という言葉だった。


「何言ってるの! 私に友達なんて……」

「あるよ!」

「!?」

「ずっとあなたの事で心配したから!」

「え……」

「アンタはずっと一人だった。孤独なあなたを見てみると、可哀そうなあなたを放っておけないから、でも……一度も話せないから! だけど風紀委員の活動で無理だった」

「モニカ……私の事を……」


 あの鬼の風紀委員として恐れられていた女子生徒のモニカ、まさか私の事を心配してくれたの、転校したばかりの私に、誰一人声を掛けてくれる友達はいなかった。一緒に昼食を誘ったり、会話をしてくれる友達は一人もいなかった。私は生まれてソーラー学園で初めて友達が出来た。


 視界がおかしくてぼやけている。目元を確認すると、涙が出ていた。


「アレ……? なんで……? グスッ……」

「ジャンヌ! どうしたの? まさか私の話がおかしかったの?」

「イヤ……ちょっと……目にゴミが……ヒグッ……」

「ちょっとじゃないでしょう!」


 私に心配してくれるモニカは、オドオドしながら慰めようとしている。涙が収まって泣き止むと、私はモニカに話した。


「モニカやりましょう! ヨシノ君が非常ボタンを押すまで、精一杯頑張らないと!」

「うん。あなたと私は……

「私たちは――」


 二人で手をつなぐように、私とジャンヌは大声を上げた。


「「友達よ!」」


 二人で一緒に友達になれた。


 あっちに両足を手錠で捕縛したアルフレッドは、もの凄く激怒な顔で、手から少し出血し、勢いよく手錠を壊そうとしている。


「こんな物ー! こうしてやるー!」


 アルフレッドの両足を嵌めた手錠はあっけなく壊されてしまい、アルフレッドは息切れをして、口から煙を吐く。


「貴様らー! 今度はぶっ殺してやるー!」


 アルフレッドは突進するように私達を攻め込むように、襲い掛かって来た。


「どうする……やりましょうか?」


 頭をクシャクシャするように欠くジャンヌ。


「こういう時は……仕方がないな……」


 ため息をするモニカ、所持している武器を構え、襲撃してくるアルフレッドを応戦し始める。


「さあ……掛かってらっしゃい!」

「乱暴者の輩は成敗!?」







 僕阿ドアの近くの壁に設置している非常ボタンに辿り着く。


「ヨシノさん! 早く非常ボタンを!」

「わかった!」


 急いで非常ボタンを押さないと、アルフレッドを食い止めているジャンヌとモニカが危ない。取っ手で開くと、ボタンがたくさん設置して、どれがスプリンクラーのボタンなのかわからない。


「どれを押せばいいのか?」

「スプリンクラーは、青いボタンを押してください!」

「青いボタンね、わかった!」


 スプリンクラー用をエリスが教えてくれて、僕は青いボタンを押した。ランプが照らされ、非常ベルの音が響き、男性声優のボイスが流れてきた。


『火災発生! 火災発生! 消火開始!』


 天井から数々の穴が開かれ、スプレー口のスプリンクラーが出てきた。その時一斉に水を拭き出した。警備室の周囲から水が溢れてしまい、僕とエリスは水浸みずびたしになってしまう。


「やったですわー!」

「やったて、水を出してどうするんだ?」

「それはですね、人工ソーラー・グラスの弱点ですわ!」

「弱点!?」

「グアー!」

「なんだ!」


 その時、アルフレッドの悲鳴が聞こえた。


 僕は後ろを振り向くと、アルフレッドの様子がおかしい、人工ソーラー・グラスから、黒い煙が出ている。


 しかもレンズからテレビのように、砂嵐が映し出され、一瞬で力尽きる。


「やったのか……?」

「そうです……」


 僕はエリスと一緒に、アルフレッドに近づくと、ピクピクと口からよだれを垂らし、腰を抜かしたように座り込む。ピクリと動かなくなった。


「やった……な……」

「ええ……わた……し……と……モニ……カ……と……」

「ジャンヌさん! ゼニガタ先輩!」


 アルフレッドの近くには、身体中に傷を負っているジャンヌとモニカは、苦しそうな顔で気を失うように、スローモーションで倒れ込んだ。二人が掛けているソーラー・グラスが外れて、レンズのヒビが割れて、破片が飛んで、粒子粒のように消える。


「ヨシノさん! 二人が~!」

「そんな……」


 倒れたモニカとジャンヌは、全身血が流れて傷だらけだ、アルフレッドの人工ソーラー・グラスの暴走に違いない。


 こんなに無茶な事をするとは思いも寄らなかった。


「おい! 二人ともしっかりしろ!」


 倒れ込んだ二人の怪我の手当と、腕で脈が動いているか確かめたり、息をしているのか確認する。


「脈はあるけど……息はしていない。ソーラー・グラスで二人の生体反応で調べられるのか?」

「はい。今私が調べます!」


 エリスは自分のソーラー・グラスで、レンズ越しを通してスライドしながらジャンヌとモニカの生体反応を検診する。


「大丈夫です。心臓は動いています。命に別状はありません。怪我の手当をしないければいけません!」

「そうか! よかった!」


 エリスがソーラー・グラスで調べ終わると、二人の怪我と体内の以上がないのはいいけど、まだ安心するのはまだ早い。


 一刻も早く病院へ運ばないと、命の危険がさらされる。


 急いでここから脱出しようと、ジャンヌとモニカを担ごうとした。


「クソガ――――!」


 その時怒号な大声が聞こえた。振り向くと衝撃な事を目にする。先ほど倒れ込んだアルフレッドが立ち上がり、鬼のような形相の顔をしている。


 人工ソーラー・グラスから


「貴様ら全員……皆殺しにしてやるー!」

「しぶとい輩ですわ!」

「まずはお前からだ! 黒髪娘ー!」


 アルフレッドはスピードのように駆け巡り、エリスの方へ襲い掛かってくる。


「イヤー!」


 悲鳴を上げたエリスは、足をくじいて腰を抜かした。


「エリスー!」


 僕はアルフレッドに襲われるエリスを抱き着くように庇った。


『『ヨシノ・オオウチのソーラー・グラスとエリス・ザビエルのソーラー・グラスの武器の合体を行います』』


 ピカ―――!


「なんだ!?」

「え……?」


 その時、僕とエリスの掛けているソーラー・グラスのレンズが輝いていた。

















 


















































































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