11話

 ソレール系全惑星には8つ以上の惑星がある。ヴィーナス星、ジュピター星、クロノス星、エルミス星、ウラヌス星、ネプテューヌ星、プルート星、そして……僕が今住んでいるアリス星。


 ソレール系全惑星には様々な人種がいる。


 モンゴ人……アリス星人、プルート星人が中心。白い肌と褐色肌の様々な肌の色を持つ人種。


 ネグ人……ジュピター星人のガニメデ人とエウロパ人、エルミス星人が中心。褐色肌で熱帯惑星出身が多い。


 コーガ人……ヴィーナス星人、クロノス星人、ウラヌス星人、ネプテューヌ星人が中心。無色肌


 このソレール系には人種だけではない、髪と目の色で外見で出身惑星とその民族がわかりやすかった。


 アリス星人……赤色の髪、ユートピア人は赤毛、タルシス人赤茶色の髪の毛、イスぺ人は深紅色の髪の毛、ベラス人は。


 ヴィーナス星人……金色輝く金髪、ナフカ人は黄色い髪の毛、デミス人は橙色の髪の毛、アフロティーナー人はレモン色の髪の毛、テティス人は矢吹色の髪の毛。


 ジュピター星人……自然に導く緑色の髪の毛、ガニメデ人は黄緑色の髪の毛、エウロパ人は青緑色の髪の毛、イオ人は濃青色の髪の毛、カリスト人はクラン色の髪の毛。


 エルメス星人……海に染まる青い髪の毛。


 クロノス星人……土と大地の茶色い髪の毛。


 ウラヌス星人……ミランダ人とアリエル人とホペロン人とティタニア人は全員青緑色の髪の毛。


 ネプテューヌ星人……サファイアの青色の髪の毛。


 プルート星人……白い雲と雪の白銀色の髪の毛。


 しかし目の前にいるエリスだけの容姿だけ違った。顔はモンゴ人の顔付きと腰まで伸びた長い黒髪。彼女は一体どんな出身惑星と民族は聞いたこともない。


「お前……その黒髪は生まれつきなのか?」

「はい……」


 エリスは急に悲しげな表情の顔をする。


「ヨシノさん……私の幼い頃を語りますので、ちゃんと聞いてください」

「わかった」


 僕は悲願な態度をとるエリスの昔話を耳を通す。


「私は昔……何処の誰なのか記憶がありません」

「それって……単なる記憶喪失なのか?」

「はい……生まれた時から6歳までの頭に浮かばなくて、目覚めた時には……教会でした。私は拾われました身でして」


 エリスは自分の幼少期の過去を全て話す。彼女はプルート星のアースラー教会本部で保護された。


「そこでお前はシスターとして育てられたのか」

「はい。私を見つけて拾われてくれたシスターから聞きました。私はプルートの雪山でカプセルみたいなベッドで眠らせていました」

「そのベッドは何処に?」

「多分……プルート星のとある研究所に……」


 安眠していたカプセルベッドは、教会から訪れたプルート政府の研究員によって押収され、星立研究所に保管していると口にした。


 エリスは恐る恐るにして身体全身が怖気付くように震えている。


「私には本当の両親と故郷は思い出せないのです。私は怖かった。自分が誰なのか、拾われたアースラー教の信者としてシスターになりました! だから……」

「エリス……もういい、その辺にしときな!」

「え……」


 これ以上……エリスの暗い過去を聞いてるみたいだ。女の子を悲しませずに慰めるのは男の役目だ。


 僕は無我無心でエリスに抱き着いた。


「ヒャ!? ヨシノさん何するんですか!」

「お前の辛い事はわかる。お前の髪の色を見ていると、アイツを思い出す!」

「え……?」

「僕の家族はアイツに殺された。アイツと同じ黒髪だった!」

「黒髪……アイツ」

「そう……アイツは僕の弟のハルタに」

「弟さんいたのですね……」


 エリスは蒼白な顔をして僕に見つめる。


「聞いてくれるか……僕の過去を」





 昔、僕が当時、オオウチ一族の御曹司だった頃、経済社長である父が養護施設で養子として引き取られたのが、僕の弟のハルタとの出会いだった。


 ハルタは少し違っていた。彼の髪の色が黒髪が珍しかった。でも僕は弟の事が大好きだった。


「彼も私と同じ黒髪だったんですか?」

「そうさ……」


 僕はあの頃の事件の事も語った。ハルタが親戚と一族のひどい仕打ち、事件直前に起こった事、そして……ハルタが祖父の誕生日パーティーで全員皆殺しにされた。


「それに……」

「あ……」


 僕は前髪に搔き上げる。エリスは蒼白した顔で驚愕する。


「その額にある傷は……」

「ハルタに斬られたんだ……」


 ハルタが所持していた刀に額を斬られ、死ぬほど致命傷を負った。でもその傷は痣として残っている。


「可愛そう……弟のハルタさんはどうして冷酷な殺人鬼に?」

「アイツが立ち去ろうとした直前、こう話していた。『この世界に隠している秘密』……」

「秘密……」


 ハルタが語ったソレール系の秘密はわからずじまいだ。


「それで僕と子供だけが生き残った。お師匠様と出会ったんだ。ホラ……ゼニガタ先輩が恐れていた教師だよ」

「そうですか、だからあなたは強くなったんですか」

「うん。けど……お師匠様は2年前に忽然と消えた。僕を気絶させて何処かへ」

「そうですか。一体何処で何をしていらっしゃるんでしょうね、あなたイヤ……先生は」


 エリスはお師匠様の言い方を先生に呼び変えた。やはりソーラー学園の元教師だな。


「じゃあ……一昨日おとといの事も」

「ああ、ハルタの事を思い出すから、お前に可愛いって誤魔化したんだ。恥ずかしい思いにさせてゴメン!?」


 僕は真剣に嘘を付いたことを謝罪した。黒髪をハルタの記憶に浮かぶ。するとエリスは……。


「いいですわヨシノさん。ただし……嘘つきは泥棒ですわ。でも今回は許してあげますわ」

「いいのか?」

「はい。私と同じ黒髪でトラウマになるのは何も言い換えません」

「エリス……」


 許してもらえたのは嬉しいけど、折角のデートが


「もう話はいいのですか?」

「ああ……おかげさまで……ん?」

「どうしたんですか?」

「どうしたのですか?」


 エリスは目を丸くして僕を見つめる。向こうから不審な人物を目撃する。


(あそこにいるのは……)


 ショップタウンから離れている出入口の先にパーカーを羽織った少年がこちらを直視している。


 すると少年は僕が気づかれてしまい、振り向くように走り去って行く。


「悪いエリス! デートは一旦中断しよう」

「どうして!」

「理由は後で話す。それに……シアとアンジロウ! もう出て来てもいいぞ!」

「「ギクッ!?」」


 背後のゲームセンター出てきたのは、二人組の少年少女だ。エリスの後輩のアンジロウと僕と同じクラスメイトである委員長のシアである。


「アンジロウ! それにシアさん……どうしてここに!」


 エリスは仰天した顔で二人を見る。するとアンジロウとシアは僕に近づいて話しかけてきた。


「ヨシノ先輩、どうして僕らの事を!」

「いつ気づいたの」

「広場の場所で最初から気づいていたよ」

「えー!」

「ホラッ! もうバレバレでしたよ」

「ウウッ……」


 シアはもう返す言葉もない。デートの集合場所の広場で、アンジロウとシアが森の茂みでコソコソと隠れているのを最初から気づいていた。


「それなのに、なんで早く言わなかったのですか?」

「いいじゃないか……気づかない振りしておもしろいから」

「おもしろいって……ヨシノ君のいけず~」


 顔をトマトのように赤く染めるシアはポカポカと身体を軽く叩く。


「っと……今はそれどころじゃない。シアとアンジロウ……エリスと一緒に帰ってくれないか、僕はこれから急用が……」

「急用ですか?」


 不審者を見かけたと語ったら、エリス達が巻き込まれる。だから少し誤魔化し、僕は男の後を追いかけようとする。するとエリスは僕の背中の服を掴んでいた。



「ヨシノさん。急用なら後で連絡した方がいいでしょう。まだ時間がありますので……」

「悪いな……じゃあな」

「ヨシノさん! あっ……」


 エリスは服から引き離され、僕は全速力で逃走する男を追いかけた。


(アイツ……まさか昨日のテロの残党じゃないか)






「足早いですね……」


 アンジロウは視線をヨシノ君に直視した。


「ごめんなさい。折角のデートを台無しにしてしまって……」

「いいんですよ。これは任務ですので、私は……」


 謝罪するシアさんに説得する。次の瞬間、突然私の背後に誰か私の肩を軽く叩かれた。


「君たち……ちょっといいか」


 後ろを振り向くと、巡回中の男性警察官の三人が声を掛けてきた。


「はい……なんでしょうか?」

「昨日の事件でお伺いしたいのですが」


 警察官は昨日の私達が捜査した事件を職務質問の聞き込み、するとアンジロウは警察官の前に出る。


「その事件とは、中等学校が立てこもりの事ですか」

「ああ……そうだけど」

「僕たちはソーラー学園の生徒ですから」


 警察官に身分証明書を渡した。一人の警察官は手元の携帯パットで確認を取っている。


「君たち……あのソーラー学園の生徒なのか?」

「いやあ……巡回中でご苦労様です」

「いえいえ」


 アンジロウは恥ずかしがるような仕草で警察官に話す。


「じゃあ、話は早いけど……」


 隣にいる痩せた警察官はポケットからスプレーを取り出す。彼はアンジロウとシアさんに向けて煙を吹き出す。


「キャア!」

「ウワッ!?」


 アンジロウとシアは煙を吸い込む。二人は手で煙を叩く。


「なん……あれ……なん……だか……ねむ……」

「これ……は……エリ……すせ……んぱ……い……にげっ……」


 アンジロウとシアさんはスローモーションのように倒れこむ。


「アンジロウ……シアさん! あなたたち……キャアー!」


 今度は私の方へスプレーを駆けられ、三人のお巡りさんの顔を見ると、彼らの顔にはガスマスクを装着していた。


「まさか……ヨシ……ノ……サ……ン」


 私は意識を失うように足のバランスを崩すように倒れ込む。


「よし……あの小娘一人を連れていけ」

「黒髪の女を拉致るのかよ」

「仕方ねえだろう。俺達の仲間を拘束したメスガキだぜ!」


 警察官三人組は嘲笑した表情をする。もしかしたら彼らは……テロリストの残党。


(まさか……昨日のお仲間……)


 私は一人の大柄な偽警察官に担ぎ込まれるように何処かへ連れていかれた。












 






 




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