10話

  デート当日、僕は朝早く起き上がり、朝食を済ませ、顔を洗って着替えと支度の準備に取り掛かった。


「罰としてデートか……」


 デートは生まれて初めてのデート。アニメとゲームのように現実のイベントになるとは思いもよらなかった。


 学校は事件性の影響で休校になった。昨日はあんな騒動になってしまい、報道と記者会見で授業どころじゃない。


「さて……着替え終わった。鏡を見ないと」


 服装を着用し、鏡の前に立って自分の姿を注目する。


 上には緑色の長袖のシャツと白いジャンパーを羽織って、下は紺色の長ズボンを履いている。間違いなくデートにピッタリだ。


「デートするのにオシャレが必要だとお師匠様に聞かされたな」


 ファッションのセンスを教えてくれたのはお師匠様。昔はデートするのにファッションの勉強して、それに何十回も失恋話も聞かされた。


 それにお師匠様が『デートをする場合はファッションが一番』と思い残している。


「ちょっと……似合ってるな……」


 自分のファッション携帯端末センスを少し恰好を認識すると、出る時間が過ぎている。


「ヤバい! もうこんな時間……遅刻だ!」


 僕は慌てて携帯端末をポケットに入れて、カバンからノートパットとペンを入れた。テーブルか置いてある赤い丸眼鏡を手に持つ。


「ソーラー・グラスを掛けて行こう。緊急時の場合になったらひつようだから ……」


 ソーラー・グラスを掛けて、玄関へ向かう。靴を履いて、玄関のドアのロックを解除して外に出た。


「待ち合わせは駅近くだな?」


 僕は日差しを浴びながら青い空を眺め、今日は人生初デートだ。






「ギリギリセーフ……」


 待ち合わせ場所に到着した僕は駅近くの広場で


「エリスはまだ来ていないな?」


 待ち合わせの時刻はもう過ぎているのに、エリスの姿は何処にもいない。


(それにしても……周りの広場……カップルが多いな……)


 周囲には男女と男同士と女同士の二人組がいる。付き合っているカップルである。この広場はデートスポットとして有名だ。全ソレール系から来た人間が訪れている。


 広場の真ん中で建てられている二人の軍服を着た男女の銅像には……実際にあった出来事。


(昔……戦時中の時に敵同士の兵士二人が恋に落ちたって聞いた事がある……)


 ソレール宇宙戦争の最中、連邦軍の青年兵士とレジスタンスの美少女戦士が仲間とはぐれてしまい、偶然この広場で遭遇し、戦闘態勢に入るが……二人は好意に落ちた。しかし二人は敵同士……戦火の中……戦闘中の爆風に巻き込まれ、二人は死ぬ直前でキスを誓った。二人は火に包まれて絶命する。


 戦後間もなく……二人の男女二人の白骨死体が見つかり、当時の市長と町の住民は二人を無事にあの世で幸せの為……銅像が建てられた。


「お待たせしましたー!」


 銅像を眺めたら、背後からエリスの声が聞こえてきた。


「遅いぞ……もう何時だと……」


 後ろを振り向くと……エリスの容姿に驚愕する。


 しかもシスターの修道服ではなく、銀色のワンピースに桃色のスカート、それにカーディガンを羽織っている。女の子に似合う赤い靴を履いている。


 エリスは何もかぶっていない。シュールを外し、腰まで伸びた長い黒髪か綺麗に晒している。


 シスター・エリスと思えぬ。壮絶な美少女に変貌した。気合い入りすぎだろう。


「遅れましたけど……申し訳ございません……」

「お前……エリスなのか?」

「そうですわ! 正真正銘のエリスですわ!」


 見覚えの態度……やはり本物のエリスだ。昨日……サリアという下級生にデートの準備に服装を選んでくれたのか。


 それなのに……なんでソーラー・グラスの丸眼鏡を掛けているの。


「なんでソーラー・グラスを掛けたままなの?」

「ソーラー・グラスを絶対に手放してはいけないのですわ」

「メガネは顔の一部でも言いたいのか?」

「失礼ね!」


 エリスは頬を膨らませ、凝視する目で僕に睨みつく。不機嫌になってしまったらデートは失敗に終わる。こうなったら……。


「じゃあ……何か食べに行かないか! お腹すいちゃったな~……」

「朝ごはん食べてないんですか?」

「イヤ……食べたけど」

「ヨシノさん……お腹が破裂しますわ!」

「大丈夫……僕の胃袋はブラックホール並だから……」

「それは驚きました!」


 エリスはびっくりした顔で僕を見つめる。


「せっかくだから僕の驕りだ。連れてってやるぞ」


 僕は温顔しながらエリスの手を掴んだ。


「ヨシノさん……手を離してください! 一人で歩けますから」

「一緒に手をつないで歩かないと……迷子になったらどうする……」

「はい……」


 エリスは一瞬で顔をレッドトマトのように赤くなる。広場からショップタウンにあるレストランタウンまで歩いた。





「キー! あの泥棒猫! ヨシノ君に手をつないで……」

「こんな事をしたら大変です」

「静かに! 気づかれないように黙って……」


 僕はシア先輩と一緒に広場から離れた森の茂みの場所に隠れて二人を監視する。

 

 シア先輩の顔は鬼のような形相でヨシノ先輩とシア先輩の二人を遠目で黙視する。


「この眼鏡……明らかに便利だね? 携帯と同じだね」

「ええ……ソーラー・グラスは特殊な武器や能力の適合するだけではありません。携帯端末のように電話やメール、インターネットと動画やゲーム、アプリなど……何でもできます」

「携帯端末と同じ工夫だね」

「はい」


 僕たち適合者が掛けているソーラー・グラスは元々……軍と警察などの治安用に使用された兵器に使われていた。


 時が過ぎると……ソーラー・グラスを掛けて不満になる人間が多く、手放す人間は少なくありません。


 当時のソーラー学園の科学や発明の能力の生徒達がソーラー・グラスの適合者の為に、娯楽や生活が出来るソーラー・グラスを開発する。


 電話や通信が可能する眼鏡型端末式のソーラー・グラスが完成する。


 他にはアプリが起動できる……パソコン、メール、インターネット、動画、ゲーム、音楽、メモ張、カメラなどの様々な機能が誕生、ソーラー・グラスの適合者の為に創り出した。


「適合者の暇つぶしにはいいけど……緊急時の場合はどうするの?」

「もちろん……強制的にストップします」


 任務とトラブルの場合……ソーラー・グラスの適合者を強制的に画面が変わり、武器が現れる事もある。


「そう……あ!? ヨシノ君が移動する。見失う前に追いかけるわよ」

 

 シア先輩は立ち上がり、茂みに飛び出すように歩き出す。


「待ってくださいよー!」


 僕は覚悟を決めて……気づかないようにエリス先輩とヨシノ先輩の後を追いかける。






 

「ここがレストランと言いたいのですか?」

「そうだけど」


 ショップタウンでデートに食事する場所を選んだのは……『ロックスペースハンバーガー』、所謂いわゆるハンバーガーチェーン店。全ソレール系惑星にて大好評のハンバーガーショップである。


「ハンバーガーですか?」

「そうだけど……そういえば、昔のソレール宇宙戦争でこの食べ物の事を知られたのをお師匠様から聞かれたよ」

「どんな話ですか!」


 いきなりエリスが気になるように括目する。僕は仕方なくハンバーガーの話をする。


「ハンバーガーという食べ物が誕生したのは……数十年前のソレール宇宙戦争で、長と名乗る人が……肉と野菜をパンで包んで調理した料理。戦った人の為に」

「そうなんですか! 素晴らしいですわ! それで……このハンバーガーチェーン店会社の社長は……」

「元兵士の料理人」

「軍人さんですか!」


 終戦後……クロノス星人の元兵士の料理人が、これを商売出来るとクロノス星に戻って、ハンバーガーを調理してレストランを経営、すると買ったお客が病みつきになるほど美味しく、それが爆発的にヒットして、彼は飲食店チェーン店の会社を設立、多星籍企業として全ソレールに広まった。

 

 当時の社長であるロックは会社名を『ロックスペースフードカンパニー』と名付けた。


「聞いた事もない食べ物をレストランを出して……多星籍企業になるとは」


 恐ろしそうな表情で『ロックスペースバーガー』を直視するエリス。


「じゃあ……店に入ろうか」

「もちろんですわ!」


 さっそく店の中に入った。順番が多く、最後尾にちゃんと並んだ。ようやく僕たちの番……


「お次の御並びのお客様~こちらへどうぞ~」

「「はーい」」


 店員に声を掛けて、レジの前に立って注文をする。


「ダブルバーガーのセット、ポテトはラージ、飲み物はメロンサイダー、ミニチキン五個!」

「そんなに食べるんですか!」

「当たり前だ! お前も注文しろ」

「じゃあ……私はハンバーガーセットと、お飲み物はミルクレッドティーを」

「わかりました。こちらでお召し上がりですか、お持ち帰りですか?」

「「ここで食べる(わ)」」

「はい。少々お待ちくださーい。お先にお会計を……890ダースです」


 ポケットから取り出したマネーパットでタッチしてお会計を済ます。隣で注文受け取る。


「あそこのテーブル席、空いていますわ」

「ラッキー」


 僕とエリスは外側にある木製のテーブル席を座る。持っていたトレーのセットをテーブルに置く。


 僕は手に持ってダブルバーガーを頬張るように口に入れる。前にいたエリスはプルプルと震えながらハンバーガーを手に持った。


「ヨシノ君……手に持って食べるのは汚れますけど、普通の人はこういう事をしますの?」


 エリスはハンバーガーの食べ方を全く知らない。彼女は本当に食べた事が一度もない。僕は仕方なく食べ方を教えた。


「ちゃんと包みを掴んで食べな」

「アドバイスをしてくれるなんて、それでは……頂きます」


 エリスは手に持ったハンバーガーを試食するよう口に入れた。するとエリスは静まり変えるようにし、独白な小声が聞こえる。


「お……お……」

「お?」

「おいしいですわ―――!」


 エリスはムシャムシャ頬張るようにハンバーガーを口に入れる。顔には幸福に廻られたように涙をポロポロと流す。左手で左頬を撫でる。本当に初めて食べて嬉しそうだな。


「こんな食べ物は生まれて初めてですわ! ハンバーガーって、とっても美味しいです!」

「それはよかったな」


 僕もダブルバーガーを丸ごと食べて、ポテトとチキンを全部平らげた。


 そしてエリスもハンバーガーを食べ終わり、口の周りが汚れていて、エリスはナフキンで口を綺麗に拭いた。


「ハンバーガー最高です!」

「よかったな……メタボになるぞ!食べ終わったし、出るとするか」

「はい」


 僕は二つのトレーを手に持ち出す。ゴミをゴミ箱に捨てて、トレーを台に戻した。エリスはウキウキした表情で待ちながら、一緒に店を出た。






「あいつ……ヨシノ君に迷惑かけて」


 私はソーラー学園の先輩に内緒でヨシノ君とあの女狐と一緒にハンバーガーショップで食事するのを苛立ちをする。私は嫉妬心を抱いていた。隣の席に座っていたアンジロウが急に声を掛けてきた。


「シア先輩、ジュース零れています!」

「あ……いけない。私ったら!」


 ハンバーガーショップで購入したジュースを、私は手を強く握りしめていたら、ジュースが溢れて零してしまう。


「先輩……迷惑行為をしていたら……」

「う……あ! ヨシノ君が動き出す!」


 外のテーブル席に立ちあがるヨシノ君とエリスという黒髪女が移動する。


「追うわよ!」

「ちょっと待ってくださいよ……まだ食べ終わっていませんから」


 アンジロウはハンバーガーとポテトを手に持って立食する。


 私は決して妨害する訳じゃない。ヨシノ君を守る番、店を出た私たちはヨシノ君の後を追いかける。ヨシノ君と女狐が行く方向は、アミューズメントの方へ向かっている。







「ヨシノさん! 気になる場所があります」

「何処?」

「これは……子供たちが娯楽する遊び場ですか?」

「そうだけど」


 僕はアミューズメント近くで歩いていると、エリスはゲームセンターに一驚する。


「中に入ってみるか?」

「はい!」


 興味津々だな、僕は気になるエリスの為に、仕方なくゲームセンターに入る。


「若者のほとんどがゲーセンで遊んでいるけど」

「ヨシノさん! これは一体何ですか!」


 エリスが指を指したゲーム機器は……クレーンゲームだった。


「クレーンゲームだよ」

「クレーンゲーム?」

「人形とフィギュアとぬいぐるみなどの景品をキャッチするゲーム。クレーンで景品が取れたり、取れなかったりするゲームなんだ」

「そうですか」

「あの……エリスさん……?」


 突然エリスがクレーンゲームのガラス越しにセミのように張り付いて景品を眺めていた。


 それの景品は、今話題のアニメ作品『おたくのテレビ』のレギュラーキャラ、オタクショタのユキヒラのフィギュアの箱が置かれていた。


「これ……欲しい……」

「え? これが?」

「可愛い……」

「へ?」

「この少年可愛い! 私この少年も好みですわ!」


 エリスはユキヒラのフィギュアが気に入ったらしい。今“も”の言葉が聞こえた。エリスはもしかして、完全なショタコンに違いない。エリスはスカートのポケットからマネーカードを取り出した。


「やりますわ!」

「初めてだろう?」

「初めてのクレーンゲームです!」


 エリスはやる気満々でクレーンゲームに初プレイする。マネーカードを差し込んで、看板に書かれているクレーンの捜査の仕方を閲覧し、そしてエリスはボタンを押した。するとユキヒラのフィギュアの箱がクレーンに捕まる。


「やったですわ!」


 しかしユキヒラのフィギュアの箱をあっという間に外して落ちてしまう。


「あー!」


 エリスはユキヒラのフィギュアをゲット出来ず、悔し泣きをする。


「残念……あと少しだったのに」

「もう一回ですわ!」


 エリスはもう一度チャレンジする。100インを追加した。しかし景品はまた外れてしまう。


「まただ……」

「まだですわ!」


 エリスは諦めず、また一回、また一回、何度も何度もユキヒラのフィギュアの景品が失敗続きで何十回もコンティニューし続ける。


「キー! なんでですか! 私を陥れようとするのですか!」

「景品が取れるか取れないかのゲームだから仕方がない」

「こうなったら! ソーラー・グラスで力ずくでゲットしますわ!」

「それだけはヤメロ! 問題を起こしたら、店の人に追い出される。それに警察佐太になるぞ!」

「私はこれが……欲しいのですわー!」


 エリスはユキヒラのフィギュアが手に晴れず、叫ぶように啼泣する。


「しょうがない。僕がやるよ」

「本当ですか!」

「ああ……変わってくれ」


 僕はエリスを退かし、自分のマネーカードを差し込んで、クレーンゲームをプレイ開始した。


 移動ボタンを押して、ユキヒラのフィギュアの箱の真上を確認、次は下ろすボタンを押した。


「もしも落ちたら……」

「黙って見てろ!」

「はい!」


 オドオドにするエリスは、クレーンにキャッチしたユキヒラフィギュアの箱を、出口までゆっくりと進む、すると見事にたどり着くように手口に落ちた。


「やったですわ!」


 エリスはユキヒラのフィギュアが落とさず無事にゲットして喜悦な声援を上げる。


 下の取り出し口を開くと、『おたくのテレビ』ユキヒラフィギュアの箱を取り出す。エリスは喜びの歓喜で僕に抱き着いて来た。


「ありがとうございますですわー!」

「ヤメロ! そんなに抱き着くな!」

「あ! すみません……」


 エリスは僕を






 エリス先輩とヨシノ先輩のクレーンゲームの近くにある自動販売機の後ろでコソコソと隠れていたら、とんでもない光景を目にしてしまう。


「エリス先輩! まさかヨシノ先輩に抱き着くラブラブロマン!」

「あの女狐~!!」

「シア先輩落ち着いて!」


 前に出ようとするシア先輩、僕は彼女の両手を拘束するように止める。必死で苦労になりそうだ。


 すると、ヨシノ先輩とシア先輩がゲームセンターから出ようとする。


「ヨシノ君が……アンジロウ君! もう少しだけ!」

「これ以上はもう……バレたら即お仕置きですよ!」

「そんな~」


 シア先輩は足をバタバタと震える。


「アレ……二人が動きを止めた?」

「え?」


 僕とシア先輩はゲームセンターのドアの前にヨシノ先輩とエリス先輩の二人は外で立ち止まる。


「まさか気づかれた……」

「イヤ……何か話し始めたよ」


 ヨシノ先輩が謎めいたような顔でエリス先輩を細見するように会話する。






「聞きたい事がある」

「なんでしょう?」


 ヨシノさんは何か意見を語ろうとした。


「君は本当にプルート星人?」

「はい……そうですけど?」


 私の出身惑星を発言する。


「このソレール系には……人種が様々だけえどわかる?」

「はい?」

「お前の髪の色はなんで黒髪なんだ?」

「……!?」


 このソレール系には黒髪の人間は殆どおらず、でも……目の前にいるエリスは完全に黒髪だ。


 そう……あいつと同じ髪の色で二人目だ。























































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