12話
「待てー!」
デートの最中に怪しい男を見つけ、逃げ出す男を追いかけた。一緒にいたエリスは尾行していたシアとアンジロウと一緒だから大丈夫だろう。
それに不審者の顔には白いマスクとパーカーを羽織っている。それにメタルフレームのサングラスはソーラー・グラスじゃなさそうだ。
「アイツ……ヤケに早いな……」
男の足は全力でマラソンランナーのように疾走する。このままだと逃げられる。
(右に曲がる)
僕は右に曲がった男を追いかけて、急いで同じ方向へ向かうと……。
「アレ……いない?」
曲がったら……男の姿は何処にもいない。その道には右や左などの分かれ道が多い。まるで迷路のように迷子になってしまった。
「そうだ! 上を探せば見つかる」
僕はビルの外側の階段を屋上まで上った。屋上にたどり着くと、下で周囲を見回すように男を探した。
「いた!」
パーカーの男は左の道に曲がっていた。この先には駐車場がある。もしかしたら車で逃げられる。
「こうなったら……近道でもしますか」
僕は隣のビルへと飛んで行く。まるで忍者のように急いで追いかけた。
(逃がさないぞ)
ビルと家の屋根の上で先回りにして駐車場に辿り着く。怪しい男の前に立ち塞ぐ。
「もう逃げられないぞ!」
僕は怪しい男に近づこうとしたら突然……急に笑い始めた。
「逃げられない……アハハハハ!」
「何がおかしい!」
男は気持ち悪い嘲笑した態度で話す。
「お前……本当にクソ野郎だったとは」
どこかで聞き覚えのある声、すると男はパーカーを外し、白いマスクも取り外すように顔を晒す。僕は突然と驚愕し、それは……見覚えのある人物の顔だった。
「なんでお前が……」
この男は見覚えがある。二年前に僕が入学した直後に潰した中等学校の最悪な不良グループ、そのリーダー格の男であった。
青白い肌と死んだ魚の目のように合っていない瞳孔、リングの鼻ピアスと耳ピアスを付けていた。二年間で随分と様変わっていた。
「なんでお前がここにいるんだ! お前は問題を起こした事件性の影響で退学して家族と一緒に遠くへ……」
「ああそうさ。お前のせいで俺の人生は滅茶苦茶になった」
「それで何が言いたい!」
「お前に復讐する為に舞い戻って来た!」
復讐……それって単なる逆恨みじゃないか。僕はタダ悪ふざけをしたお前らを制裁しただけだ。
「それで僕を襲いに来たのか!」
「そうとも~全部お前のせいじゃねえか……俺の狂った憎しみは忘れねえぜ」
「逆恨みだろう!」
「うるせえな……まさかアイツらが情報してくれたおかげだな」
「アイツら? まさかテロリストの事か」
元リーダー格が語った‟アイツら”という言葉を耳に通した。するとリーダー格はウザったい顔をしながら嬉しそうな声を出しながら話す。
「そうさ……昨日のニュースで学校の立てこもり事件……俺が元々通っていた中等学校とは、しかも全員捕まったって報道された。それが倒したのはお前だったとは……」
こいつ……昨日の出来事を知っているのか、まさかコイツもテロリストの仲間なのか。するとリーダー格は嘲笑う顔で声を出す。
「お前と一緒にいる女を引き離す為に……俺を囮にした。もう今頃……他の仲間が捕らえた頃だろう」
「なんだって!?」
リーダー格はズボンのポケットから取り出した小さな携帯パットを手前に出す。すると画面越しに映し出されていたのは。
「エリス!」
車の中の後方席で眠らせて、ロープで縛られているエリスの姿が映し出されていた。
「貴様―! エリスに何をした!」
僕は威喝した声を上げながらリーダー格に話した。
「もちろん……誘拐しちゃった。ゲヘヘヘ」
僕は心の底で怒りを溢れる。許せない……リーダー格に向かって殴りかかろうと、奴は急に上半身を着用したパーカーを脱ぎ出す。僕は奴がとんでもない物を目にして驚愕する。
「おっと……動くなよ、俺に近づいたらお前も吹き飛ぶぞ」
奴の身体に巻き付いているのは、デジタル数字式でタイムストップのように止まっている。それは……爆弾だった。
所謂……人間爆弾でもある。右手には爆弾のスイッチが持っている。そのスイッチを押そうとしている。
「オイバカヤメロ!? そんな事でもしたら死ぬぞ!」
「死ぬ……ギャハハハ、お前怯える顔を見たくてな」
あんな冷酷感な脅しでも僕にとって無理もない。命を粗末する事は自殺行為だ。
「オオウチ……お前のせいで俺の人生を滅茶苦茶になっちまったんだよ。お前にボコボコにされ、おまけにチクったせいでこんな目になっちまったんだぜ!」
「当たり前だ! お前らみたいなクズをお仕置きしただけだ!」
「俺はよ……クソ両親の借金の身代わりにされちまってよ……身体を払って地獄の労働の日々を送ったんだぜ!」
聞いた話によると、奴の両親はギャンブルと博打ばかりで借金を膨らませ、何処かの炭鉱などの場所で働かされたと話を聞いた。すると笑みな顔で無残な表情をする。
「そんな時……出会ったんだぜ、俺の運命を一変してくれた奴らのおかげでな、借金取りと監視員を殺してくれた。俺は自由の身になれたんだ」
「まさかお前もテロリストの一員の仲間になったのか!」
「そうだ……昨日の仲間を捕らわれた誰かを貶める為……リーダーが俺に頼み込んでな。それがなんとお前だったとは……運河いいのか悪いのか……」
コイツ……完全にいかれている。心だけでなく神経質もおかしい、もしも本物だったらどうする。
(馬鹿な奴だ、この巻いている爆弾は全部偽物……俺の汚名と人生を狂った。これはオオウチの復讐するチャンス)
リーダー格の男はものすごい皺を出して笑みな表情をする。アイツは爆弾のスイッチを押そうと親指を動かそうとしている。
「ヤメロー!」
僕は急いでリーダー格に向かって近づいた。しかし……遅かった。アイツは素早く親指を思いっきりスイッチを押した。
「ヒッヒッヒッ……アレ?」
身体中に巻き付いている爆弾は閃光のように目が潰れるほど眩しかった。
(アレ……これって……爆弾は偽物じゃないのか……まさか!)
ドカーン!
僕は元不良のリーダー格は爆発してしまい、その爆風で宙釣りのように吹き飛ばされる。僕はボールのように転がるように壁に激突する。
「奴らは……お前みたいに……騙そうと……殺す……」
僕は意識を失うように目を閉じて失神する。
「オ……爆発したぜ」
「本当だ」
警察官帽子を脱ぎ捨てて、運転している仲間の男が指を指しているところへ目に向ける。
俺達は警察官に変装して例の娘を誘拐に成功した。車で移動している途端、爆発した音が聞こえ、窓から覗いて見ると、遠くから煙が舞い上がるんが見える。
「馬鹿な奴だ。アイツはタダの仕返しでアッサリと受けたようなもんだぜ……」
「死んだな……あのガキと一緒にな」
「けど……アイツの始末が気が楽でしたね」
仲間である奴は、交戦中に金銭の略奪と女性の強姦ばかりを繰り広げ、ボスはアイツを始末するのか困難し、仲間を倒したあの少年の知り合いといっても……因縁または怨恨があるだと驚愕し、ボスは奴の始末に利用しようと企んだ。
奴はアッサリと少年の嘘の誘拐を受けると、それでダミーと偽って本物の爆弾を巻き付いた。
「奴の脳みそはゴキブリ級のバカですぜ」
「ああ……笑えるぜ」
「ところで……娘はどうしますか?」
俺たちは後部座席で横になるように眠っている丸眼鏡をかけた黒髪美少女を見つめる。
「娘っ子一人を攫う《さら》のは……」
「何言ってんだよ、俺たちの仲間を酷い目にした奴だぞ」
目の前の少女と、爆死した小僧のせいで、昨日の立てこもった中等学校にいた仲間の班が全員拘束されてしまい、残っているのは……俺達とボスを含めると……半数しかいない。
しかもスパイが紛れ込んでいた。すぐさま拷問したが、スパイは一切口を話さない。
しかし……スパイが所持していた盗聴器の中に……携帯パットから留守番電話が流れていたところ……例の二人がデートすると返事などの報告を耳に通した。
奴を引き離す為、例の小僧を恨んでいる奴を始末する事が出来た。
「アジトを運ぶぞ……」
「ああ……騒ぎになる前に」
運転する仲間は差し込んでいたカードキーで、自動車の電池エンジンを起動した。
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