5話 

 ソファーをゆったりと座ってテレビを見ていた。

 

 今朝方購入したばかりのアニメsd『スペース・アドベンチャー・スクール』を鑑賞していた。


「しかし……あのシスターは完全にドジッ娘だったな〜」


 ヨシノが放課後の逃亡成功した帰り道に出会ったあのシスターは完全に二次元キャラみたいだと感心する。あのシスターは足を引っ掛けたり転んでしまうドジッ娘シスターというのは初めてだ。


「あいつプルート星人と名乗っていたな、髪の色は黒髪とは、エリスって名乗っていたな、アース教の神話に出てくる女神と同じエリスだったな……ついでにあの修道服もアース教の服装だったな……」


 アース教とは、ソレール系全惑星に広まっている宗教団体。古代のソレール系の先祖は、正体不明の惑星には神様が住み着いて、まだ全惑星が無の星だった頃、


 下りたった神様は人類と生命を創り出したと神話と伝説に言い伝えられていた。


「腹減ったな……カップフードでも食べるか……」


 ソファーから立ち上がり、居間から台所へ向かった。

 

 冷蔵庫を開けて取り出した『カップフード・カツライス』を電子レンジを入れて、ボタンにタップを押した。


「あいつが持っていた眼鏡はソーラー・グラスだったよな……? それにレンズからレインボーのように輝いていたな……」


 ため息を吐きながら、シスターと名乗る黒髪美少女に眼鏡端末兵器、ソーラー・グラスを無理矢理渡そうと押し付けるのは何事だ。


 あいつと同じ髪の色をしていたから、なんとか誤摩化せたのは、可愛いという言葉で彼女は赤くなっていたな。


 引き戸の引き出しから小さな写し鏡を取り出して自分の顔を見ると、オデコ辺りに傷跡が残っていた。


「黒髪……あいつを思い出すな……」


 あの頃のトラウマを思い出す。一族で生き残ったのは、僕を含めた子ども達ばかり、大人達は奴に皆殺しにされた。


 生き残った子どもは施設で他の親戚や、義理の子どもとして養子に引き取られ、音信不通にもなっている。


「僕を引き取ってくれたお師匠様のおかげだ……」


 それが僕の養子にしたお師匠様の出会いが始まった。五年間も一緒に旅、おかげで彼女の特訓で強くたくましくしてくれた。





 お師匠様はとても放浪癖で、移動手段はお師匠様の愛車の古いスカイカーで色々と旅をしてきた。


 美味しいご当地グルメばかり食べ歩いたり、観光名所の記念写真を一緒に撮った事もある。それが秘境みたいな場所で特訓を繰り広げていた。


 崖を無理矢理上らせたり、大岩で何百回の腕立て伏せ、危険な宇宙動物の狩りをさせられたり、護身術と格闘術全般という地獄の特訓の日々であった。


 それにアリス星だけでなく、ソレール系宇宙惑星のお師匠様の故郷であるジュピター星のガニメデ王国の上空でパラシュートで飛び降りて入国するのは無茶な仕組みだ。


 地元のガニメデ軍の兵隊さんと一緒に、剣術と射撃の訓練とテクニックを教わったり、筋肉質のいいお兄さんに護身術の手本の仕方を教えてくれた。


 お師匠様の修行の日々を送った。何年か経つと、背が伸びたり筋肉が少し良くなっていた。



「もう15歳で、また背が伸びたな……」


 鏡の前に立つと、お師匠様の特訓のおかげか、体格は細身に見えるが、脱ぐと丈夫筋肉質が付いている。いわゆる細マッチョというべきか。


 それが相手をボコボコにしてしまうクセも……お師匠様の影響かもしれない。


「昔……お師匠様がぼったぐりバーの殴り込みをした騒ぎも覚えているな……」


 アリス星に帰省した直後、お師匠様の知り合いが住む街へ遊びにきたら、知り合いの旦那さんの飲み代の借金で、知り合いはその店でタダ働きをされているところを聞かされ、お師匠様は殴り込みに。


 支配人と用心棒を容赦なくボコボコにした。友人とその他の女性は無事に助け出され、主犯と店員をムショ送りにしてしまうとは。


「昔を思い出すと、無茶苦茶でろくでもない事ばかりな踏んだり蹴ったりだよ。まったく……」


 髪をクシャクシャしながら悩む僕はふと思い出した。


(そういえば……お師匠様がいつも修行で掛けていたサングラスを思い出すな……)


 修行の時間には、お師匠様はサングラスを掛けていたな。タダのサングラスとは違う。


「あのサングラス……思い出した! アレはソーラー・グラス!」


 お師匠様と初めて出会った頃、彼女が持っていたサングラスをソーラー・グラスと語った事を思い出した。


「出会った頃に聞いたな、それに特訓は厳しかった……」


 お師匠様の訓練だけは思い出したくない。護身術と格闘術、身体だけでなく、頭脳まで勉強という教育までしてくれた。しかし今は一人だ。


「お師匠様……一体何処へ行ったのか、置き手紙を残して消えるなんて……」


 僕はお師匠様のお別れを思い出す。


 そう……あれは2年前の中等学校の入学のお祝いした時の出来事。




『お師匠様、僕が久しぶりに学校に通えるのは、4年ぶりです!』

『そうかい! それはよかったな!』


 僕がお師匠様と出会ってから5年、中等学校入学式直後の夜の事だった。


 お師匠様と一緒に旅を出てから、学校は一度も通っていなかった。


 昔は普通の私立の小学校に通っていたが、あの事件直後に引きこもって不登校、お師匠様と出会った直後に退学した。


 久しぶりのアリス星に帰星した直後、すぐに公立の中等学校の入学相談を直行した。お師匠様のスーツ姿はとても似合っていた。本人は気恥ずかしそうな性格をしていた。


 面接で見事に入学手続きが済んで、今日の入学式に出席してとても緊張した。


『なんで僕を学校に通わせようとしたのですか? お師匠様の英才教育で十分ですよ!』

『お前の言いたい事はわかっている。でも……学校だけは通ってほしいの!』

『どうしてですか?』


 テーブルに並ぶハンバーガーやチキン、フライドポテト山盛りのファーストフードで入学祝いの食事をしながら、学校に通わせる理由を話した。


『私はね……アンタと同じ両親がいなくて……学校に通っていなかった』

『本当ですか!』


 お師匠様が学校に通っていないと耳に通した僕は驚愕し、お師匠様の子ども時代の昔話まで聞かされた。


『数十年前の昔、私は両親が早く死んで、住む家も失った。学校に通えなかったり、苦しい人生を送ったわ……』

『辛かったですね……』



 数十年前、当時のソレール系では……ソーラー・連邦の独裁政権で教育が受けられない子どもは大勢いた。親のいない子ども達は道ばたで商売したり、盗みなどの犯罪を犯す事で、治安が悪い状況であった。


『生き抜く為には盗みや強盗を働き、仲間と一緒にソーラー・連邦の基地お倉庫まで食料を盗みに行ったら捕まっちゃった!』

『どうやって生き残ったの!』

『すぐに拷問されて、兵士が私の頭に銃を近づけて、もうだめだと覚悟したが、その時だった。爆発音に驚いて、偶然襲撃してくれたレジスタンスの兄ちゃんに助けられちゃって!!』


 お師匠様の話しだと、レジスタンスとは、ソレールを救った有名な解放軍で歴史にも残っている。お師匠様があのレジスタンスと一緒にいたとは驚きだ。


『それで他のみんなは……』

『全員保護されたわよ。その兄ちゃんはとても秀才で、いつも数字や言葉がわからない私達を教わってもらった。あの兄ちゃんがいなかったら私たちは……死んでいたな!!』

『そうですか……よかったですね、みなさんは元気ですか?』

『ああ……元気だよ。でも老けたダチとアタシと同じ老けていないダチもいるけど……』


 お師匠様、一体あなたはいくつですか、ソレール戦争時の当時は子ども、現在は年配くらいだと思います。


『なんだヨシノその目は、レディーにむかって年寄り扱いするんじゃねえよ……』

『とんでもない!』


 まるで不良が弱い奴を標的するような鋭い目で僕を睨みつけてきた。


 女性に年齢を話すとタダじゃ済まないぞ。女の人は怖い。


『お師匠様……学校では授業を習って、勉強を学ぶだけですが?』

『いかにも、でも教育だけじゃなく、問題ばかり起こる事もある!』

『問題……?』

『教えてあげるわ……学校という風習は……』


 学校では、よくある問題とは「イジメ」「孤独」「体罰」「ぼっち」「カースト」などの問題が多く、学校というのは残酷すぎる事だ。


『というわけだ……ヨシノも気をつけろよな』

『お師匠様の特訓したから大丈夫ですよ』

『お! いい度胸じゃない。それにもう一つ話すべきだな……」


 お師匠様がテーブルの下から鞄とリュックが出てきた。真剣そうな顔で話しをしてきた。


『お前と一緒にいるのはこれで最後だ! 今日でお別れだ』

『へっ?』


 お別れ……どういうこと? お師匠様はリュックを背負って、テーブルに置いてある帽子を手に撮って頭に被る。


『師匠! お別れってどういう事ですか!』

『私はね、あんたを育てるために引き取った。私の特訓の日々をしていたからもうこんなに大きくなった。だからお前と縁を切る事にした!』

『縁って……本当の親じゃなくて養子でしょう!』

『そうだっけ? お前は大人だから自立しろ!』

『まだ12歳ですよ!』


 この年齢だと、初等学校を卒業又は6学年に近い。


 僕は初等学校に卒業していない。中等学校に入学出来たのはありがたいけど、どうやって入学したのかよくわからない。


『ついでに話すけど、私には秘密を隠しているの……』

『秘密?』

『アタシはね、追われる身だから、お前には巻き込まれたくないから……』

『追われる身……どういうことですか!』

『それは……』


 お師匠様と僕が出会う以前から何者かに狙われている。組織は星際の関係にも牛耳っている事が多く。お師匠様を捕まえて連れ戻そうと企んでいる。


『星際って……警察組織も含めて……裏で何か!』

『多分な……』


 今まで5年間……お師匠様が狙われるという事態、僕はとんでもない逃亡劇の人生を送っていたのか、なんて気付かなかったんだろう。


『話しは以上だ。それにヨシノ……冷蔵庫に酒を取ってきてくれ……頼む』

『はーい……』


 お師匠様の頼みで台所の冷蔵庫の扉を開けてお酒の缶を取り出したら、突然。


 ドガッ!?


『え……』


 僕の背後で急に誰かに殴られた。お師匠様がチョップで殴られた。


『悪いわね……お別れ出来ないなら、こうするしかない……』

『お……ししょ……う……さま……』


 視線には星のような物が見えて、そのまま目をつぶるように気を失った。



『う……ん……ふぁ〜……』


 目を覚ますと、僕はいつの間にか自室のベッドで眠っていた。窓から明るくなっていて、頭が少し痛む。昨日は確か……。


『僕はお師匠様に気絶さられたんだ!』


 なんで自分の部屋のベッドで寝ていた。まさか僕を気絶している間に部屋まで運んでくれたのかお師匠様。


 ベットから起き上がると、机の上には手紙が置いていた。お師匠様と書かれていた。


『お師匠様……』


 僕は手紙を広げながら音読した。


“ヨシノへ、お前はもう立派な人間に成長した。今日で最後のお別れだ。私はもう会えない覚悟が出来ている。元気でなヨシノ


 追伸:殴ってごめんね……お別れの際には少し痛かった。でもお金は手紙の隣にある挟んでいる封筒があるから開いてね。


『お師匠様……本当に困った人だよ……』


 目に涙を流しながら、身近な人間との別れは本当に辛い。机に置いてある封筒を手に持った。ハサミで切った。開いて取り出すと。


『バンク口座カードとマネーカードじゃないか……しかも金額がこんなに!』


 バンク口座カードを見ると、数千万以上の金額が書かれていた。


(お師匠様……一体この金額をどこで手に入れたのですか!)


 僕は机の上にバンクカードを机の上に置いた。窓のカーテンを開いた。朝の日差しが広がっていた。


『お師匠様ー! さようならぐらい、言ってくださーい!』


 朝日の前で、泣き叫ぶように声を上げた。お師匠様……僕の心の叫びを……届けますように。




「結局あの日の早朝、お師匠様に僕の伝えたい事が届こうと泣き叫んでいたら、住民に迷惑かけられて起こられたな……」


 お師匠様が僕の前からこつ然と消えたあの日の朝、泣きながら叫び続けたら、寝ている大家さん達起き上がり、迷惑だと説教された。


「長い黒髪……あいつと同じ髪の色……ウッ!」


 またオデコの痣の痛みが、もうイヤだこんなの。


「気晴らしにネットゲームでもしますか……」


 僕はノートパソコンを取り出して、スイッチを起動してネットゲームをプレイした。









 町外れにある何年か前に潰され、廃墟と化したショッピングモールには、何十人の男達が集まっていた。


「おいおい、まさか本当に実行する気か……」

「明日決行とは……」

「仕方ねえだろう。無事に逃げられたのはあの若人のおかげだろう……」


 男達の着ている迷彩服、防弾チョッキを身につけている。大量の木箱には、たくさんの機関銃と拳銃やロケットランチャーなどの重火器ばかりが入っていた。


 ジュピター星のガニメデ王国で爆破テロと国王暗殺を実行したが、邪魔者であるソーラー・グラスによって、計画は失敗に終わった。


 アリス星の刑務所までの護送中の襲撃のおかげで脱走は出来た。助け出したのは、十代のガキだった。何故か仲間に入れて欲しいと特別に仲間にした。ガキは明日の計画を実行したいと依頼した。


「確かに、あの連中の言う通りにするとは……」

「おい! 誰か来た!」


 向こう側から足音が聞こえる。銃を構えると、そこには人見知りである男女2人組であった。


「リーダーじゃないか……」

「おう……銃を構えるとは警戒心らしいな……」


 厳つい声を出した男は大柄で190cm近く、体中には傷痕だらけ、赤い短髪をしたゴツい体格を持っている。


 彼らの着ている服装より、上半身の腕の辺りまで破れた半袖と、合金な防弾チョッキを身につけており、それに顔に掛けているセルフレームのサングラス。


 もう一人の小女は、護送中の俺達を助けてくれたのはこの女だ。しかも年齢はまだ十歳中頃のガキだ。


「お前ら! 早く整列しろ!」

「「「「「はい!」」」」」


 俺達は慌ててビシッとしながら整列をした。


「明日はいよいよ平和ボケしたこの星に我々の恐ろしさを思い知る決行の日だ!俺達の祖父母と両親が、旧ソーラー連邦の幹部と軍人の子孫でありながら、汚名呼ばわりと犯罪者として酷く仕打ちのように扱った!」


 そう、彼らは数十年前にソレール系の宇宙を支配した旧ソーラー連邦の子孫である。


「時は来た。今度は我々が鉄槌を下して先祖の汚名を取り消して奴らを苦しめる番だ! みなのもの……革命だ!」

「「「「おおおおーーーー!!!」」」

「おい……お前、明日の計画の実行……アレ? アイツは……」


 リーダーの隣にいた計画と命の恩人である少女はいつの間にかいなくなっていた。




 

「フン! ウジ虫どもめが……」


 私は下らないスピーチを聞く耳持たず外へ、リーダーと名乗る男は自分の欲望の為に人を利用するのも知らずに、馬鹿な奴らだ。


「星空が……綺麗……」


 私は夜空に光る星を眺めた。各惑星と彗星がキラキラ輝いている。


「あの星には、精霊と神様は本当にいるのかな……」


 昔はよくお母さんと一緒に読んだ絵本には、妖精と精霊が存在すると、言い伝えや神話にも出てくる。


 私たちソレール系惑星の人類の祖先は、神様が住んでいた謎の惑星・アースラが創り出したと伝説にもなっている。


「お父さん……お母さん……そして兄さん達とカトリーヌ……もうすぐだよ……」


 眼鏡のテンプルを押して、レンジが虹色輝く、その時太剣が具現化し、手にもって、つま先炎の勢いを放つ。


「必ず敵を討つから……」


 
































 



















 

 


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