4話
なんで逃げ出す少年・ヨシノオオウチの顔が自分の顔の前にいた。
僕はしょうがなく逃げるのを諦めて、転倒したシスター銀髪美少女に近づいて、怪我をしているところを確認する。
「大丈夫ですわ。こんな……っ痛!」
彼女は立ち上がろうとしたが、足がガクンとバランスが崩れかけ、足の膝元に擦り傷で血が出ている。
「おい! お前の膝から血が!?」
「大丈夫これくら……っ痛!」
あのシスター銀髪美少女が立ち上がろうとしたら、また痛みの影響なのか。
「キャア!」
「危ない!」
僕は転びそうになるシスター美少女を庇うように転んでしまう。
「おい、おい、あんまり走ると危ないだろう。また怪我でもしたらどうする!」
「すみま……アレ!」
「どうし……た……」
シスターが顔を赤く染めている。何か柔らかい物みたいな感触がする。
僕は下を向くと、彼女の胸辺りが見事に僕の手を接触してしまい、まさか人生でこんなアクシデントが起こるという出来事をしてしまった。
彼女はプルプルと震えていた。こんな恥ずかしげな事をしてしまい、このままじゃ僕はチカン扱いだ。誤解を話さないと。
「どこを触っていますか……あなた……シスターの私に……わいせつを……」
「ち……違う! これはたんなる事故で……」
「事故ってどういう事ですかーーーーー!」
怒りだすシスターエリスは、僕を突き飛ばし、右手のグーパンチで僕の腹を直撃するように殴られた。
「グホッ!?」
女の子に腹パンをお見舞いされた。こんな出来事は生まれて初めてだ。
「あなたという女の子にセクハラする輩は地獄へ堕ちなさい! 痛い……そういえば膝を怪我していましたわ……」
シスターは怪我をしている事を我を忘れている。それなのに彼女に殴られた腹はとても痛い。
君を助けただけなのに、胸を触ったたんなる事故を起こしてしまうとは。
「あの……とりあえず……話しを……」
「お黙りなさい。あなたは……っひゃあ!」
怒りだすシスターは暴れだすように、羽織ってるシュールが外れてしまい、シュルと……落ちてしまう。
「キャ! シュールが……」
「え……」
シスターの髪の色を見て僕は驚愕した。腰まで伸びた長い黒髪を晒した。メガネがズレて素顔が垂れ目をしている。キレイな美白な肌色、桃色の唇をした純粋な美少女であった。
この少女……あいつと同じ髪の色をしている。また思い出したくないトラウマが感傷がする。足が震えるようにバランスを崩す。
「うっ……」
「え……大丈夫ですか!」
今まで怒鳴っていた彼女が急に慌てるように心配そうな態度をとる。
「それにお前……シュールが外れているぞ」
「あ……いけない、シュールを外すなんて修道女失格ですわ」
シスターは道を落ちていたシュールを拾い、彼女は頭を羽織るように被る。
「クラクラしてましたよね、大丈夫でしたか?」
今度は質問攻め、あの黒髪がトラウマなんて言えない。僕は仕方なく適当に誤摩化そうと口を出す。
「お前ってさ……」
「へ?」
「お前……結構可愛いな……」
話し方が間違っているぞ僕、アニメキャラのツンデレな台詞を言うとは、これじゃあ興奮して激怒になったらどうしようもない。ところが……そうでもなかった。彼女の頬が赤く染まり、ポカンとした表情をしていた。
「ふぇ? ふぇーーーーーー!」
尾行中のヨシノ・オオウチが私の事を「可愛い」という言葉を言われたのは生まれて初めて。それになんで彼の頬は赤くなっている。もしかして素顔派、メガネ嫌いなの。メガネ差別じゃないですか。
「そんなに大声上げなくても……」
「違います。驚いただけです!」
「一緒だろう。そんなに興奮するな!」
「してません!」
「してた!」
「してません! そんな事を言っている場合ではありません。あなたにお渡ししなければ、私は帰りません!」
「それを僕のせいにするの、威張るな! シスターのクセに!」
「酷いですわ! 母様にも言われた事もないのに!」
泣き始めた。これじゃあ僕が女の子をいじめているみたいだ。
「それで、話したい事ってなんだ。眼鏡ケースと眼鏡を掛けろって、何か理由でもあるのか?」
「そうでしたわ! すっかり忘れていました!」
黒髪美少女のエリスは気を取り直して、手に握りしめている眼鏡ケースを取り出した。赤いラウンドセルフレームのメガネ。サイズは小さめ、レンズはキラリとレインボー色に輝いていた。
「特殊メガネ型端末兵器、ソーラー・グラスです」
「ソーラー・グラス、本物なのか?」
今朝のテレビのニュースで見たソーラー・グラス。彼女のかけているメガネもソーラー・グラスでまさか初めて適合者に会った。
お師匠様と出会った頃、彼女のサングラスはソーラー・グラスも掛けていたな。もしかしたら修道女に偽って騙し取る詐欺師じゃないかと、疑いの視線をした。
「なんですかその目は! これは正真正銘のソーラー・グラスです。右のテンプルの文字を見てください。メガネ課の職人の名前が書かれています!」
右のテンプルに刻まれた文字には、「トーエ・メガネ ケンタ・マスナガ」と書かれていた。
「それに私の掛けている丸メガネと同じようにしてみましたわ! オタクのあなたにはこれがお似合いですわ!」
「何故丸メガネ!?」
「丸メガネはアニメとマンガのキャラクターのトレードマークってみなさんから聞かされました!」
「マンガキャラの真似しただけだろう!」
一体何が言いたいんだシスター美少女。丸メガネを渡されるなんて、確かに彼女も大きな丸メガネも掛けていた。
「本当にソーラー・グラスなのか?」
「本当です。レンズに光っておられる虹色が輝くのが本物です!」
眼鏡ケースに置いてある丸メガネのレンズをよく見ると、虹色に輝いていた。本物のソーラー・グラスだ。
「話しがあるけど……」
「話し、どんな?」
「なんで僕にソーラー・グラスを渡すんだ?」
「え……えーと……その……」
忘れたのか、理由もなしで渡す気が。
「あのね、理由もなく渡すのはよくない」
「ありますわ! 絶対に!」
「じゃあ言ってみろ!」
「その前に、ソーラー・グラスをおとなしく掛けなさい!」
シスターエリスは無理矢理しつこくソーラー・グラスを渡すのは、もしや彼女はメガネフェチなのか、早く怪しい美少女から逃げないと。
何か引っかけを騙そうと、向こうの道に指を指した。
「あ! あそこで女性を襲っている変質者が!」
「なんですって! どこですか! 女性に暴力を振るう輩は神の鉄槌で制裁ですわ!」
信じているよこのシスター少女、エリスは本当に僕の引っかけで指を指した方向へと行ってしまった。
「今のうちに逃げよう……」
僕は学校の帰り道に怪しい黒髪美少女シスターにいきなり眼鏡を渡されるとは、僕は家まで走り続けた。
(どうやら、逃げ切れたみたいだ……)
僕は無事に自宅のアパートまで逃げ切れた。
「まあ……早速家に入って『スペース・アドベンチャー・スクール』でも見ますか!」
僕は鞄を取り出した袋の入った「スペース・アドベンチャー・スクール」のsdソフトを持ちながら、なるべく家に入った。
「誰もいませんですわ! はめられたわ! ムキー……あの嘘つきオタクめー! 見つけたらただじゃおきませんわ!」
ヨシノ・オオウチが逃げられて初めての屈辱を受けました。引っかけというおろかな嘘付きは地獄に落ちるといいですわ。このシスターである私が彼に騙されるなんて。
私の掛けている丸メガネのソーラー・レンズからプルプルと電話マークが点滅が映し出され、電話の相手を確認した。
誰ですの……サリアからだ、ようやく連絡をよこしてくれたのですか……」
私はあまりの嬉しさに、テンプルのすじにあるボタンを押して、電話の応答のボタンを押した。
「もしもしサリア? こちらの任務は順調ですか?」
『エリス先輩……こちらの任務は大変です。警察署の話しが長くて……』
「それは大変でしたわね……」
サリアとアンジロウは今朝方のうつけ会長がヨシノ・オオウチの任務を勝手に私に押しつけ、一緒にいた二人は街の警察署で逃亡中のテロリストの追跡の捜査をしているところ。
「そういえばエリス先輩、ヨシノ・オオウチの尾行は順調ですか?」
「それは……」
言えない……。気付かれた事と、騒いだり、おまけに見失った事なんて言えない。任務失敗の末……責任を押し付けられるかもしれない。
「それは……その……」
「見失ったのですね……」
「イヤ……それは……」
「正直に話してください!」
バレてしまった。サリアは嘘に騙されるのは一度もない。彼女は騙されない性格で、私は隠し事が出来ずに正直に白状した。
「もうしわけありませんわ……見失う前に、ヨシノ・オオウチに気付かれました」
『なんですって! 気付かれた!』
「はい……尾行中に、いつの間にか私の背後の近くまでです!」
『でも彼……ソーラー・グラスを掛けていませんが?』
「はい……あのオタクは一体どんな身体をしていますの……」
『まさか先輩、彼を理由もなしでソーラー・グラスを渡そうとしたのですか?」
「もちろんですわ」
電話越しでソーラー・グラスをヨシノ・オオウチに渡そうと正直に話した。するとサリアは。
『普通……説明が先です!』
「はい?」
『ソーラー・グラスには適性能力の判断と一致出来るかどうかの話しです』
「ウッ!」
まさか、サリアの説教が始まった。彼女の怒らせると人の心を突き破るという酷い仕打ちを受けられる。
『エリス先輩、あなたの失敗はそれだけじゃないですよ!』
「何か?」
『この前の実技試験に失敗して、他の生徒に病院送り!』
「ウッウッ!?」
『一年前、体育の授業で訓練施設の屋根を壊して大惨事になる!』
「グホッ!」
『それから……』
「もうやめてーーーーー!」
これ以上サリアの説教には逆らえない。私がソーラー・学園に入学してから、失敗ばかりの頃はあまりにも思い出したくない私の黒歴史を聞かされるとは、シスター失格ですわ。
実技試験での他の生徒に病院送り、成績の点数は70点以下、おまけに歌を歌うと騒音みたいにガラスが割れるほど聞いた人が失神する事も多い。
『それで、例のヨシノ・オオウチの居場所は突き止めました』
「本当ですか! じゃあ早速、彼の自宅に……」
『先輩……殴り込みはよくありません』
「そんな……」
せっかくのチャンスなのに、サリアに止められるとは。何たる不覚。
『エリス先輩……今日はこれくらいにしてあげましょう。私とアンジロウのいる警察署まで来てくれませんか』
「どうして?」
『それは……あの人がこちらに来ていおられますから……』
「え……まさか……」
電話がプツン切れた。エリスは悪寒を感じた。サリアから聞いたあの人ということは、まさか。
私は無我夢中で警察署に向かった。到着すると入り口の前にはアンジロウとサリアの姿がいた。しかし一人だけ鬼の形相をした女子生徒がいる。
「何故……あなたが!」
「話しは聞いたぞ……」
私は目の前にいる女子がこちらに近づいてくる。
彼女の着ている制服は身だしなみがよくない。上にはジャージを羽織って、スカートは少し短めで、シャープなフレームをしたサングラスを掛けている。
彼女は学年一の風紀委員である。鬼の風紀委員として生徒達から恐れられている。
「お前……尾行中に気付かれたのは本当か?」
「もちろんです」
やはり彼女は憤るように私に尋問するような目を見られる。
「相手に話したというのは……本当か……」
「それは……」
私は震えながらヨシノ・オオウチの尾行した記録を説明した。気付かれた事、ソーラー・グラスを理由もなく渡そうとした事、途中で逃げられた事を全て話した。
「じゃあ……エリス、お前はお仕置きだ!」
「なんでーーーー!」
「お尻ペンペン三百回で許してやろう……」
「多すぎますーーー!」
「じゃあ……地下室で執行するぞ」
「イヤーーー! 助けてアンジロウ! サリアーーー!」
「すみません……無理です……」
「エリス先輩、耐えてくださーい!」
「見捨てられた!」
二人がお気の毒そうな目で見捨てられましたわ。私を腕を強く握らせるように引きづり込まれるように地下室まで連れていかれた。
私は先輩に調教というお仕置きされてしまい、こんな屈辱的を受けたのは、みんなあの男のせいですわ。
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