アープの日記

アープの日記4

☆月◎日


ラプラスの秋祭りに協力を要請された。

火トカゲと戦うらしい。

奴らは、全身を火に覆われていて触ると熱いが、

火で物理衝撃を防げるわけではないので、

上から巨岩を落とせば簡単に潰せる、と言うと、

本当に戦うわけではない、と返された。

「芝居」というものだそうだ。



☆月≒日


芝居の練習をした。俺の役は「勇者」だ。

人間が火トカゲと戦う場合、上空を取るのは難しい。

遠距離から飛び道具で、大人数で一斉攻撃するのが

被害が少ないのではないかと思う。

なぜ「勇者」は一対一で、剣で接近戦をするのか、

と問うと、「そういう伝説だから……」と言われた。

「勇者」は、熱さに強かったらしい。



☆月≠日


芝居の練習をした。

ラプラスの街を襲った火トカゲを、

ふらりと現れた旅の「勇者」が倒したあと、

「名乗るほどの者ではない」と言って

去っていく、という筋書きだ。

なぜ名乗らないのか、と尋ねると、

「そういう伝説だから……」と言われた。



☆月*日


「勇者」の伝説を集めた本があると聞き、

図書館で借りてみた。

「勇者」は行く先々で、火トカゲや人面鳥、

大蜘蛛などを退治しては、

「名乗るほどの者ではない」と言って去る。

人間の寿命の中で、これだけの数の

魔物と戦っているとなると、かなりの遭遇率だ。

誘引物質でも発しているのだろうか。



     ☆月*日


     「何人かのやったことが、全部、

      ひとりの業績にされちゃってるのかもよ?」

     「名乗るほどではない、と言う人間が複数いるのか?」

     何だろう、上手く説明できないけれど、

     そういうことではない気がする。

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