コント 図書館

ジャンボ尾崎手配犯

第1話

カウンターに座っている富澤。

伊達が上手より登場。

富澤「(大声で)こんちわー」

伊達「あ、こんちわ」

カウンターに近づく伊達。

富澤「すいません、図書館では静かにしてもらっていいですか?」

伊達「いや、お前だろ、それは」

富澤「今日は、本の貸出ですか?」

伊達「いや、今、俺入ってきたばっかりだぞ。お前も『こんちわー』つってただろ。どこを見てんだよ」

富澤「もしかして、百科事典20冊予約の田中さまですか?」

伊達「20冊百科事典予約してる奴いるの? 館内閲覧するにしても、持ち運べないだろ、絶対。つーか、それ俺じゃないよ」

富澤「あ、じゃあ、返却ですね。あの、お客さん、次からは延滞しないようにお願いします。予約で待っている人もいるので」

伊達「何で俺が延滞してるって決めつけてんだよ。つーか、まず、ここで本を借りたことがねえよ。違うの、俺は貸出カードを作りに来たんだよ」

富澤「プッ」

伊達「おい、なんか今、笑っただろ」

富澤「いや、どうみてもお客さん、本を読むようには見えないじゃないですか」

伊達「余計なお世話だ馬鹿野郎。俺の愛読書は、村上春樹だぞ」

富澤「わかりました。すいません、じゃあ、この紙に必要事項を書いてもらっていいですか」

記入用紙を渡す富澤。

伊達「ちょっと書くもの貸してくれないかな?」

富澤「ちゃんと返してくれるんでしょうね?」

伊達「返すわ! どうやってこの状況でペンを泥棒するんだよ」

富澤「じゃあ、どうぞ」

筆ペンを渡す富澤。

伊達「お前、これ筆ペンじゃねえかよ。書けないよ、こんなんで」

富澤「じゃあ、こっちで」

卓球のペンラケットを渡す富澤。

伊達「お前これは、卓球のペンラケットだろ! イロモネアのモノボケじゃないんだから、普通のペン貸してよ」

ペンを渡す富澤。

伊達「えーと、まずは名前と住所ね」

富澤「お客さん、言い忘れてたんですけど、うちの図書館は区内に住んでいる方のみしか利用できないんですよ」

伊達「あ、それは大丈夫。最近、ここに引っ越してきたんだよ、俺」

富澤「夜逃げですか?」

伊達「お前の眼には、俺がどんなふうに写ってるんだ」

富澤「もしかして、指名手配されてるとか……」

伊達「されてねーわ! まっとうな市民だぞ、こっちは。ったく、あ、電話は携帯でいい?」

富澤「携帯もしくは、0120でお願いします」

伊達「フリーダイヤルで登録する奴なんかいんの?」

富澤「177で登録する方もいらっしゃいますね」

伊達「お前、それ天気予報の番号だろ。どうなってんだ、ここの管理」

富澤「偽名で登録されるかたも、結構いらっしゃるんですよ」

伊達「一番駄目だろ、それは」

富澤「じゃあ、あとは身分を証明できるパスポートか何かを」

伊達「持ってねえよ、パスポート。持ち歩かないだろ、普通は」

富澤「じゃあ、免許証でも大丈夫です」

伊達「最初からそう言えよ、鬱陶しいな」

免許証を渡す伊達。

富澤「はい、確認とれました。それじゃあ、あのカードの説明をしたいんですけど」

伊達「じゃあ、お願い」

富澤「カードの有効期限は今日から一年間となっています。期限が来るたびに、更新をお願いしていますのでご了承ください。それから、もし延滞しますと、返却されるまで新たな貸出ができなくなります。延滞料は一日につき200円となっています。あとポイントなんですけど、100円につき1ポイントとなっています。コンビニとかでもポイントつきますのでぜひご利用ください。このカード自体は全国のツタヤで使うことができます」

伊達「お前、途中からツタヤのカードの説明になってるじゃねえかよ」

富澤「Tカードを作りにきたんじゃないんですか?」

伊達「そんなわけあるか! 図書館のカード作りに来たって言っただろうが」

富澤「あ、本を買うお金が無いので、タダで読みたいということですね」

伊達「言い方があるだろ、言い方が。もう、いいよ」

帰ろうとする伊達。

富澤「お客さん、本にマーカーを引いたりしないでくださいねー」

伊達「借りてねーよ」

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