行き来

「まだや 今、家出るとこ」

『そっか 私もう着いたから、先に見るね』

と、H.A氏の個展へ 向かう。


 H.A氏は ちゃんと、私の事を 覚えていて下さった。

よかったぁ~ 手土産持ってきてたから、それを 渡して。

新作について 説明を受けながら、ゆっくりと 観て回れた。


 一旦 会場を出てから、G へLINE。

『今 どこ?』

「N氏ンとこ、今から H.A氏とこ行く」

『んじゃ ココで待ってる』


 エスカレーターを上がってくる G を発見。

一緒に 回りたかったけど、H.A氏が 近寄ってこられたから

G が それを見て、離れていっちゃったから。 あ…っっ

 H.A氏と 少し話して、今度は G の方へ行かれた。

何だか 近寄りがたくなったので、私は N氏の個展の方へ。


 N氏の 作品は、思っていたより 少なかったし。

もし良い品があれば 買いたいなっと思ったんだけど。

手頃なサイズのは 皆、売却済みになっていて ちょっと

手が出なかった。


 そちらが 終わって、また G へLINE。

『どうなってますか?』

「まだ H.A氏のとこ」

『戻ります』


 行ってみると H.A氏と かなり仲良くなっている感じです。

遠巻きに見て 出てくるのを待った。


 G が こっちへ来てくれて。

「額を見にいきたいんやけど」

『額?』

「どこに行けばあるやろ?」

『額?何の?』

「Mさんに 描いてもらったヤツ入れる」

『あぁ~ 私 絵 持ってきたよ』

「丁度 良かった」

『G は?』

「ンな 大事なモン、外に出さんw」

『見せてくれると思ったぁ~』

「何かあったら 嫌やもん」

『なるほどね』

『とりあえず 東急ハンズとかは?』

「行ってみようか」

『うん』


 こういうのが イイんじゃない?とか、アレコレ見て 決めて、購入。


『この後は?』

「ご飯くらいなら」

『やったぁ!』


 お店をみつけて、座ってから。

M氏の絵を見てもらったり、夏に 買ってきた、H.A氏の作品を

G へ差し上げた。G も 今回、同じサイズの作品を買ったんだと

見せてくれた。

 

 以前の頃と 何も変わらない感じの2人です。

違うとすれば… G は、少し気が短くなってる感じがする場面が

あったのが 気になったけど、それ以外は 違和感ないです。


 やや 夕食というには、早めの時間の食事で。わりと 早々に

G は 店を出ようとするけど、それを 私は嫌がらなかった。

 店を後にして、スタスタと 帰路につこうとしているのが

わかりながらも、そのまま ついて行った。


 私が 乗る電車方面と、G が乗る路線の 分かれ道。

「ンならな」

『えぇ~』

「帰る」

『えー』

「帰るって」

『そんなぁ』

「そんなって…」

『お話しは?』

「話ししたやろ」

『もっと ちゃんと話せる所へ行く』

「は?」

『行こ』

と G の腕をつかんで、ひっぱってみた。

少し よろめいただけで、ガンとして 動かない。

『行こ?』

もう一度 引っ張る

「…」

『何で?』

「何でって」

『終わる時 会ってねって、約束守ってもらってない』

「会ったやろ」

『私は 話し出来てない』

「しらん」

『とにかく 行こうって』

腕を引くと、振り払われた。

!!

『ちゃんと 踏ん切りつけさせてよぉ!』

「 … 」

『私の中で しっかり終われてないもん』

「…」

『そうやって 黙る』



 12月に入ったばかりの 週末。人の往来が 激しい、駅の地下の一角。

日が落ちて 寒くなってきています。


 「帰る」

『ついて行く』

「ついて来んでいい!」

『このままやと ついて行ってまうもん』

「来んでいい」

『ちゃんと 話してよ』

この頃には 私は泣いていました。


 そんな押し問答を 多分、2・30分繰り広げていました。


 もうダメだ。G は動かない。


「帰るゾ」

『 … 』

「帰るな」

『…』

「ンならな」


 俯くしか 出来なかった。

G は行ってしまいました。


 少し移動して 隅の壁に、もたれて泣いた。

そんな事も 関係なく、人の往来は 激しく流れていく。


 

 ぼんやりした意識で、何とか 帰宅できた。


 子供には 申し訳なかったけど、身体の調子が悪いと言って

休ませてもらう事にした。

 ベッドに入って 布団を被って、声を上げて 泣いた。

もうこれで 終わりなんだと、本当に 悲しくて、悲しくて。


 泣いてる最中に… LINEの音。

G から、画像付きのモノだった。

「こうなりました」

と、M氏からの 絵を、今日買った 額に入れた画像です。


 !!!

何で こういう事出来るの!

訳 わかんない!

 返事のしようも無く、泣き続けていると。

今度は 聞いた事のない着信音がなりました。


 何だろう?と思って 開いてみると、FBからの メッセージ着信。

I氏からだった。I氏の事は 気になっていました。

 他のFBで 繋がった方々は、イベントでの成果の報告や その後の

活動の事など、ドンドン更新されていっていたのに、I氏の情報はup

されていなかったからだ。

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