待ちに待った

 夏休みが明けて 

胸に 穴が、開いている感じは 続いていましたが

あんまりボンヤリばかりしている訳にもいかず

徐々に 日々の生活へ、戻していきました。


 10月に入ってから 思い出した事があり、その情報が出るのを

待ちました。


 去年 大阪であったアートイベントの情報です。

あのイベントでは ボランティアスタッフを募集していたはずです。

それに申込みました。

 案外 あっさりと、採用されて。こんなモンなんだ…っと 驚き。


ーーーーー



 11月イベントの前日

説明会へは 都合で、参加出来なかったので。早めに来て欲しいと

言われて、直接 会場へ向かう。

 係りの方は 忙しくしていて、結局 説明らしい説明も無いまま

作業の時間になってしまって、作家さん達の 搬入のお手伝いをする事に。


 これが やりたかったんです。

作家さんと 間近で 話せる、それも 多分、そこまで 気兼ね無く。

こういう裏方の事って 滅多に見れるもんじゃないから。

 会場前に 車を停めておける時間の割り振りが 決まっているので

早々に 荷下しをしないとイケなくて;; 次々 やってくる車に対応。


 そのうち やって来る、作家さんのスケジュール表を持っておられる方を

発見して、お目当ての 作家さんの順番を発見!

 

 去年 G が 作品を買っていた、M氏を待っていたんです。

そろそろ来るっ!っと思って、順番譲ってもらって 『担当したいの!』

と 宣言までして待っていたのに。

 列の 先頭に居たから 別の用事で、呼ばれてしまって…

M氏の車が 到着して、奥様らしき方と 荷物を下しておられるとこまでは

見れたんだけど、その後は 見れない所へ 移動しなければならず。



 戻ってきた時には すっかり M氏の車は無く、次の作家さんの車になっていました。


 次々 搬入しなければならず、追われる様に 作業の連続。

車からの 荷下ろし自体が 終わったのは、夕方超えていたと思います。

後は 各作家さんの所へ行って、手伝う事があれば やって差し上げて下さいと

いう事になり、早速 M氏の所へ行ってみた。


 けど。

鍵がかかっていて 中に人が居る気配も無い… 陳列作業は 済まれたのかな

っと 諦めて、その近くの作家さんの お手伝いをする事にした。

 M氏が 戻ってきたら、声を掛けさせてもらえる様に、チラチラ 確認しながら

作業していたんだけど、一向に 戻ってきた様子が無い。


 21時頃 ボランティアの人が集まって、明日からの 手筈チェック。

主催の方も バタバタされている様で、中々 すんなり話が進まない。

ボランティアの人も それほど緊張感ある訳でも無いから、集まっていても

テンでバラバラの行動をしてたりします。


 集団が居る所から 見える壁の傍に、喫煙用の缶が置いてあって

そこへ あの彫金作家のI氏が、煙草を吸いに出て来られた。

 搬入の時に 声を掛けたかったけど、別のボランティアの方と

仲良く話していたので、掛けづらくて 止めた。


 しばらぁ~く 様子を伺っていたんだけど、一人のままだ。



 思い切って I氏の傍へ。


『こんばんは、初めまして〇〇と言います。』

と名刺を差出す。

「こんばんはぁ」

と 名刺を受け取ってくれた。


 名刺を見ても わかんないだろうなっと思って

『去年の時 作品買わせて頂きました。』というと

「あー〇〇〇〇〇ブランド名さん?」

『わかりますぅ?』

「わかります。わかります!G さんから 聞いてます。」

『わかって頂けますか! ありがとうございます。』

「ボランティアで?」

『はい!今年は お手伝いさせてもらおうと思って』

「出品されないの?」

『いえ 私はそんな、出せる様なの無いですから;;』

「出せばいいのにぃ」

『そんな訳ないですw』


 と、私の事を 知っていて下さってました。G から話が

いっていたからだと思うけどね。

 しばし話をしていると…


「今日は帰られるんですか?」

『いえ 今日と明日は、こっちで泊ります』

「どっか近くのホテル?」

『はい』

「夕飯 どうされます?」

『いえ 特に決めてないんです』

「一緒に どうですか?」

『えっ?イイんですか?』

「一人で食べるのもなんですし」

『イイんですか~』

「こっちこそ いいですか?」

『はい!是非とも!!!』


 ひゃぁ~ ご飯ご一緒させてもらえる事になりました☆


 ボランティアの集まりの事が 終わるまで、I氏は そこで

待っていて下さいました。

 その後 バッグだけ取りに行き、I氏と 食事へ。


 食事中 ずっと、作品を作る上においての 心構えみたいな事を

語って下さって、すごく熱い思いが 伝わってきました。

 私が G に教えてもらって、I氏の作品を見た時に 感動した品々

それらの 製作の裏話が聞けているんです。感激以外の何モノでもないです。

 私も 少なからず、同業者として 苦労ぶりがわかるので

I氏も 事細かに説明して下さり、とても話し好きなんだなっと

わかりました。


 食事が終わって 私は、疲れの所為か 甘い物が食べたくて

もう1軒 スィーツとか?っと尋ねると、I氏も コーヒー飲みたいと

喫茶店へ。


 そこで話していると 3人共好きな、作家H氏の話になり

夏に 私がFBにupした時の話に。

「あの時 G さん、うちの工房に居てね。丁度 H氏の作品を見せてもらってる時だったから、思わず コメントしたんだよ」

『そうだったんですね』(知ってる)

「いいよねぇ H氏のしかも、アレ持ってるなんてねぇ」

『ですね』

「プレゼントで もらったんだって」

『そうみたいですね』(それ私の事です)

「もう手に入らないからねぇ…」

「あぁ そぉ 写真撮らせてもらったんだよ」

と 携帯を開いて、見せて下さいました。

(私も その画像持ってるし…)


「あぁ そうそ」

と I氏が、画像を探し始めて

「これこれ」

見せて下さった画像は G の作った、エッグアートの画像です。


!!!

「これ すごいよねぇ」

『…』

「この画像 FBにupしたら、反響すごくてさぁ」

 「これとかも すごくない?」

と 次々と、G のエッグアートの画像を見せてきます。

「もっと アピールすればいいのにね、G さんも」

「それでも 僕は、これが好きだなぁ~」

と 1番最初に見せて下さった方の 画像へ戻って

「これは 画像しか見せてもらえてないけど、ホントすごいよねぇ」


 『 … 私 それ持ってます。』

「ぅン?」

私は 自分の携帯を取り出して、I氏の携帯と同じ画像を 見せました。

「あぁ 画像 持ってるんだ」

『私 その実物を持ってます。』

「え?何で?」

『 … もらったんです』

「えー!」

「えぇ すごいッ! えっ?!何で?」

『 … 』

 ・

 ・

 ・

 「え?」

私の様子が 少しオカシイ事に、気付かれたI氏。

『G さんに H氏のアノ作品を プレゼントしたのも、私です』

「そうなの?」

『 …はぃ…』

「ぇ・え?え?何?」

『…』

「な、なに?」

『 … … 』

「ひょっとして 付き合ってるとか?」

『… ぃえ… 過去形です。』

「えッ?!」

「つ・付き合ってたの?」

『 … そんな感じですかね』

「そうなんだ」

『…;;』

「工房来てくれた時 彼女えんって言ってたから」

『そりゃっ そうでしょうね』

「そうやったんやぁ」

『 … …』

「新しく店オープンした時も G さん、1番にお祝い送ってくれたし、昨日も 明日から、ご苦労さまですね ってメールくれて、本当に 気がきく、イイ人やもんなぁ」

『  … ですね …』

「イベントに来るって、メールにあったような?」

『だと思います。』

「来てくれるよな」


 その後 I氏は、そんなに ガンガン突っ込んで話を聞いてくるでなく

和やかに 話をして、翌朝 お手伝いに行きますよ と 約束して、別れた。



 そうです。ボランティアに参加しようと決めたのは

G に会えると思ったからです。

 噂によると そのイベントは、その年を最後に 大阪では

行われないという話があったから、必ず G が来ると思ったからです。

 私の予想では、初日に来そうだと思って。イベントに来たなら

絶対 I氏の所へ来るはずと思ってもいました。


 イベント開場 2時間前。

先ずは M氏の所へ!っと 思ったけど、M氏の所は まだ鍵がかかってる。

I氏の所へ行き 陳列のお手伝いをする。館内に「開場1時間前」の放送。


 もう一度 M氏の所へ。

居られたぁ~!  また 名刺を差出し、ご挨拶させてもらいました。

こちらも FBフォローさせてもらっているんだけど、さすがに認知は

無かったです。

 なぜ M氏の所へ行きたかったのかと言うと。

M氏の作品を 購入したかったからです。去年 G が買っていた品を

買いたかったからです。数量が そんなに無い事を知っていたので

皆が買ってしまわれる前に 品定めしたかったからです。

 購入したいです。と伝えて、その作品を 見せて頂きました。

G の買った時とは 少し模様が変わっている感じでした。G のと

同じ色のにするか、どうしようかと。個々 少しずつ違いがある品なので

どうしようかと、真剣に悩んでいて。


 「すごく悩んでくれるんだねぇ~w」と 嬉しそうに、M氏が声を

掛けて下さって。色と形の事で 悩んでいますと言い、その品の

良い所を 話し続けていると、とても 喜んで下さって。

 それで 結局、G と同じ色のを選んで 支払を済ませました。


 もう 開場30分前のコールです。


 ボランティアスタッフへの 最終ミーティングがあり

私は I氏の展示場所のある階の、案内・警備の担当になっています。

そのフロアーを うろうろしていれば良いのですから、G が来れば

わかるはずなので、良かったぁ~っと思いました。


 開場の時間です。


 お客様の入りは ゆっくりでしたけど、少しずつ 増えていっています。

私は 主に、I氏の展示近くのコーナーに立つ事にしました。


 お客様は 参加アーティスト名がわかる、パンフレットはお持ちですが

どこに どの作家さんが居られるのかは、わからないんです。それは

色んな方の作品を見て欲しいという 意向なんですけど。

 去年 私も来てみて、全部観るのが どれだけ大変だったか、わかるから。

お客様に 尋ねられると、こっそり 場所をお教えしたりしていました。

『他の方のも 観て下さいね』と ちゃんと言葉添えして。


 持ち場を離れたくなかったんですけど、昼食 交代を告げられ

他のスタッフと 食事へ。

 この間に G が来てたら、どうしよう…っと 心配でした。


 戻ってから、I氏の所へ行き それとなく、G が来たかどうかを

尋ねてみた。来て無いとの事。 あぁ 良かった。

 I氏が 休憩と取りたい と言われ、I氏の展示場を 任されたりして

私が 知る、I氏の作品の説明を お客様へしたりもしました。


 結局 私の見る限りでは、G は 現れず。

初日 閉場。I氏に 尋ねても、G は来なかったとの事です。



 

 

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