向上心

 私は 映画は、あんまり観るタイプではなかったのですが。

G と一緒だと、劇場で観るのも、ビデオで観るのも 増えました。

ビデオで観るのは 大概、ラブホで見ていたんですけどねw


 それと


 美術鑑賞に出かける事が 多くなりました。

それは 2人共、作るという事を 仕事にしているから

自分の感性を 磨くという意味で、必要な事だったと思う。

 アートな作品であれば 何でもという訳でも無く、やはり 自分達が

観たいと思うモノを見る訳で。その面でも 選ぶ感覚が、似通っていて

わりと 京都や大阪でなら、年中 見てみたい展覧会があって 一緒に行った。


 実物を見れるに 越した事は無いんだけど。

TVなんかでも 結構、「美」に関する番組をやっていて、その情報の

やり取りや、録画したモノも やり取りして、楽しみました。

 不思議と 2人が話をしていると、それ系の 番組放送があるって

情報が流れてきたりして、二人して 「こわいねぇ~』っと

言った事が 何度あった事か。


 それに アニメとか、特撮モノとかも 好きで、その事で 話が盛り上がります。

どれも 私も好きなんです。特に 仮面ライダーとかね。


 本当に 「感性が似てるんだな」っと 感じれます。

けど 作る事に関しての感覚は、違っていて。

G は 「作る」という作業が好き。

私は 『デザイン』する事が好き。


 この2人のコンビで、私が デザインして、G が作るという感じで

友達から 注文をもらって、製作させてもらって と、幾つか 作らせて

もらっていきました。

 作業は 作り続けていないと、カンが鈍るので 作っていてもらいたかった

というのが 理由ですけど、私も私で そうやって、磨いてきた 感性の

お蔭か、デザインが 友達にも受け入れてもらえる品を、描ける様に

なっていけてたと思います。


 ただ 気持ち良いから、一緒に居るというだけでなく。

2人で居る事により、何かしら お互いに、高めあえる関係である事

お付き合いをする事で、これこそが 理想的な事なんだと思います。

 それを 無理なく 難なく、G となら 出来ていれたと感じるんです。


 そういう感じで お互いの知り合いからの品物を作っていくうち

少しずつ 内々だけですけどw 評判が出る様になっていって。

 私の ちっちゃな野望を現実にしても良いかな?と思う様になり。

ブランドを 立ち上げる事にしたんです。

 それに向けて 準備をするようにしていって、11月にはオープンを

目指すと 目標を決めた頃。


 G の就職が決まりました。

大阪で働く事になり 11月頭に、そっちへ 転居する事になったんです。


 ブランドについては 勝手にやる事だし、そこまで 宣伝するつもりもなく。

ただ 離れた所の方からも、問い合わせがあるので「ここに窓口があるよ」と

知らせ易いかと思って、HPを開く程度で良かったから、それは良いとして。

 G の多大なる 補佐があってこそ、ブランドも成立すると思えていたから

不安になりましたけど、G には G の生活があるからね。生活を支えるまで

稼げる保証は 何もなかったから、就職を喜ぶ事にしました。


 それでも 不安は、不安です。

そこは 自分が 言いだした事だから、自分で 責任もってやっていける様に

技術を向上させていけば良い事です。がんばろうと思い、とりあえず 私は

HPオープンに向けての準備をしました。

 

 G も 転居に向けて、そんなに時間も無い状態。会える機会も 減っていき。

多分 仕事をする様になったら、今までみたいに 好きな時に会える訳でも

電話の時間も 減るだろうし。

 何より 新しい生活に向けて、私のとの関係を 清算しようとしていたのでは

ないかと思います。徐々に 私を、避けている様に思いました。


 だけど 私は

ブランドの事も そうだし、何より 色々な面で、私の先をいき

心を満たして下さる人だったんですもの。そして いつの時も、電話で話し

会える時に 会ってって、好きにしてこれてたんです。

 そんな 急に、気持ちの切り替えが出来るのかと言えば、無理で。。。

 『いつかは 終わるんだから、これが良い 機会なんだ』って

何度も 何度も!自分に 言い聞かせてはいきました。


 

 そんな互いに 忙しい時期に、G が 

「こんなん どうやろう?」

と 色々なパターン展開が出来る、数種類の リングを見せてくれたんです。

これを 私のブランドの、別ラインとして 商品化して出す、提案をして

くれたんです。


 今まで 作らせてもらってきた品では、全く ブランドと名乗る程の量は

無く、寂しいとは思っていたから。これらを 載せる事ができたら、それは

華やぐと思うので、すごく うれしい事です。

 ちゃんと それらを、私にでも 加工ができる形で、用意してくれてました。


 ブランドに向けての、はなむけ を準備していてくれたんだ!



 それでも G の姿勢は、以前とは 違って、余所余所しい様には感じていて。

不安が募って、G が 大阪へ転居する、2日前の日。G の家へ 突然行って。

『このまま離れると 困るの、もう しばらく、私の支えになっていて欲しい』と

伝えに行きました。

 また… いつもの 答えないスタイルになっていて、はっきりとした返事は

もらえませんでした。

 私も 問い詰めて、気まずいまま 別れるのは、嫌だったし。


 そのまま G は、大阪へと…









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