ザワザワ…

 授業を終え いつも通り、そそくさと 片付けて 

喫煙所にも 寄らずに、帰宅。学校へ通う様になって 1か月程

大分 リズムがつかめる様になって、帰りの電車でも 少し仮眠

取れるようになってきていた。


 夕食を済ませて『いつ電話しようかなぁ』っと、多分 21時前位

だったと思います。先に メールをしました。

「どうぞ」と 一言 返信あったので。すぐ 電話しました。


 『すみません』

ってとこから始まって、どうして これを習いに来てるんですか?

の質問をしていったんだと 記憶しています。


 以前 歯科技工士の仕事をしていたそうで。

その後は 工場で、働いていて。この仕事がしてみたいと思って

工場を辞めて 学校へ通う様になった、との事。


 !!ッ  歯科技工士、、、


 歯科技工士には イタイ思い出ある。

いつか どこかで、書くと思いますが。私が 今でも、思い出すと

胸が痛くなる。別れを告げられてから 本気で、死のうと思った位

大好きだった人。その人も 歯科技工士でした。

 あああ…ぁ;; と思いながら話を続けた。

歯科技工士の仕事と これとだと、やる事 そう変わらないので

転職する人が わりと居る事を、教えてくれた。


 彼女が居られるのかを 尋ねると、「いる」との事でした。


 それからは 学校関連の話をして、疑問に思っていた事とかを

教えてもらえて、とても 助かったぁっと。あんまり 長々話しても

ご迷惑になるだろうし。いつ 彼女から、連絡あるかもしれないので

早々に切ろうと。

『すみません、結局 色々と教えてもらって、長く話していると 悪いから…』

「いや 別に」

『いえ もうあんまり電話はしない様にしますので、申し訳ないです』

「帰ってきたら 特にやる事ないンで、いつでも」

『そうですか。でも 彼女さんから、連絡あったりするとね…』

「あぁ 大丈夫」

『そうなんですか?私 いつでもって言われたら、毎日でもしますよw』

「ww いいですよw 出れる時なら」

『そうですか じゃぁ 明日もします!w』

「どぉぞw」

『ww わかりましたぁ』

って、電話を切った。


 切ってから 思ったのは、歯科技工士さんだったって事の

やんわりした衝撃。歯科技工士さんかぁ~ その事ばかりが

頭の中で フワフワしていた。

 歯科技工士という 仕事が、特殊な仕事である事。それを

やれてきている人という事は、やや 同じ系統の匂いがする感じが

して、ハマると ヤバい気配がして…。

 それでも 話していた感じだとか、絶妙に ユーモアを

噛ませてくるセンスとか、惹かれてしまうんだよなぁ~っと

マズいとこへ 手を出してしまった感があって、何も始まって無いのに

不安な気持ちが 湧いていた。



 次の晩も メールを入れてから、電話をさせてもらいました。

『言ったから 電話しましたw』

「ww はぃw」

という感じから 始めて…

 私が 看護師をしていた事を伝えると

「昔 看護師の彼女おった」

詳しく聞くと 私が、歯科技工士さんと 付き合ってた頃と

ほぼ変わらない設定の、歳の頃の話っぽぃ。わぁー リンクする。

このパターン まぢヤバい…


 私は そちらへ行く事が、ちょこちょこありましたよ。と言うと

「俺は オヤジが良くそっち行ってて」

「オヤジが そっちで、怪我して帰れんくなった時 病院に迎えに行ったわ」

それも 良く聞くと、その病院に来た頃、私達も その病院の傍で 住んでたり。


 見た感じからも 受け答えの言葉なんかも、つっけんどんな感じで

全体的な 風貌からも、他の人と 接触するのを 拒んでる感じが

するんだけれど、何か どこか、かわいらしさが見え隠れして

大概 短い言葉で返して下さるんだけど、どこまで 時間経っても

嫌がる風がみえないし。

 突き放しているかの様だけど… 言葉尻とかに、「構って」

のニュアンスが 含んでる様に思えて、ついつぃ 長々 話していた。


『毎日って言ったから 明日もしますよ?』

「いいよ」

と 約束して、電話を切りました。


 ホントにいいのか?

と思っていたけど、楽しかったから

 呆れられるかと思ったけど、懲りずに 翌日も 電話した。

けど やっぱり、何も 嫌がる感じではなくって、その時も

長々と AM1時・2時位まで 話をしてしまっていました。



 そして 実は、その次の週。

モデル君が 大阪を離れて、東京へ向かう日が 迫っていて

学校の後 時間を取ってもらえないかと、お願いしてあった。

 モデル君からは 近くにならないと、はっきりした返事が出来ないと

言われていたんだけど。その頃 返事が来て、【大丈夫】との事でした。

 それならと…


 次に電話した時に もしかして、その辺りで 私に、時間を

下さいませんか?と言ってみた。

 モデル君と会う 次の日が、授業が午前中で終わるので その後なら

良いですよ。と返事がもらえた。

『もしかして 夜も 付き合ってくれる?w』 と 尋ねると

「イイですよ」 と。

いいのかぁ~~~? っと思ったけど、余計な事を言わないでおこうと

思って、『わっ ありがと』とだけ答えて。


 それじゃぁ その時に、何をしようか?と そっちの相談をし始めた。

3月終わりなので、その頃の 大阪だったら、桜が咲いている所も

あるんじゃないか?って話になり、どこで見れるんだろうね…って

そういう話をしました。


 電話を切ってから、来週の 泊まれるホテルを検索して

2泊分 予約を取りました。

 大阪の事なら…っと思って、sちゃんに 連絡取って、桜に関する

情報をもらいつつ、こういう事があったんだよねって 報告した。



 ところが…

ホテルを予約した 二日後、モデル君から 約束した日は

ダメになりましたと 連絡あり。更に その2日後なら なんとか

夜に時間取れそうだと言う事です。

 ギリギリ キャンセル料が発生しない段階だったので、急遽

キャンセルかけて。改めて ホテルを取ろうとしたけど、難しく;;

見た感じ ラブホっぽぃ所しか空いて無く。

『モデル君は まだしも、あの方と いきなり?』っと 気にはなったけど

とりあえず 押えておきたかったので。予約し直す。


 しかも 私の登校の日の前日、学校から 電話があって、その日の講師の

体調不良で、休みになると連絡がありました。

 最初の 約束なら、その日に モデル君と会う約束をしていた日です。

学校が休講になったのは 別に良いのですが。学校が 終わってから

モデル君と 会うつもりで予定していたから、そういう巡りあわせだった

のかな?っと思いました。


 翌日

いつも学校へ行く時間よりも ゆっくり目に出かけて良かったけれども

とりあえず ホテルには、荷物を預けに行きました。

 やっぱり 基本、ラブホ仕様のホテルの様です。ただ チェックインとか

出来る、フロントは 設けられていて、一応 ビジネス的な感じもします。

けど…周囲の感じからも ホテル街の一角なので、夜は そういう事

なんだろうなっと言うのが 感じられました。

 事前チェックインを済ませ 荷物を預け、トイレで 身支度を整えて

待ち合わせ場所へ。


 電車移動を仮定して 分かり良い所という事で、阪神百貨店地下

阪神電鉄改札側の出入り口前としました。結構 ギリギリの到着だったから

先に着いておられたら…っと 心配しましたが、居られない様で 安心。

 人の往来が 多くて;;遠くを眺めては、キョロキョロ きょろきょろ… 


「どなたか お探しですかぁ?」 と

顔の向きとは 逆方向から、声を掛けられました。 

びっくりして 顔を向けると、あの方が 企んだ笑顔で、そこに居られました。

『あぁ どうもw』 と、平静な感じで 応えたけど…

この声掛けのセンス… 憎いなぁ~ と感心していました。


 いつもと 変わらない恰好。髪は 全体の長さが、肩くらいまであって

軽いウェーブがかかっています。この時の装いは 身頃が緑で、胸にドラゴンの

刺繍があり、袖が白のスタジャンに、腰履きのブカブカジーンズ。スタジャンに

合わせた感じの つばありの、緑と白のキャップを被っておられました。

 私の4つ下なんだけど、見た感じ どう見ても、20代後半にしか見えない

多分 同じ歳の方々と並んでも、所帯じみた感じが無いこの方。

 これから以降 しばらくの間は、モデル君の時 同様、「あなた」としか

私は呼ばないのですけど、敢えて 名前をつけるとするなら… 

G としておきましょうか。


 お互いに 大阪の、桜の情報を得ておく様にしようと言っていたのですが

G は 調べれて無いって事で、私は sちゃんから 大阪城なら 咲いてるかも?

っと聞いているけど?っと言って、じゃぁ そうしようっと。

 私は てっきり、G が 大阪の事知ってるだろうと思って、アテにしてたけど

あんまり知らないって?! えっ? 大阪城も、数回来たかな?程度ならしい。

それも 車で来てるから、電車での行き方は 良くわからないって。

 携帯のネットを使って 調べようとしたけど、地下だからか うまくネットに

繋がらない… とりえず、路線図を見てみようっと 見てみたけど…;;

確か 前に、姉と 来た時に、JRの駅で降りてからって お城まで行くのに

かなり歩いた覚えがあるし。もしかして 地下鉄の方が良いのかも?と

思ったけど、見る限りでは 不明な感じ。

 JRに戻るのは 面倒だしって事で、いけそうな駅を見つけて それで

って事で、乗り込む。


 座ってから G は鞄の中を、ゴソゴソして 小さなケースを手渡してくれた。

??キョトンとしていると 中をひろげて、厳重に ティッシュで包まれている

物を 見せてくれた。ワックスの細工をした品だ。

 私は 金属の方しかやっていなかったので、ワックスは 触った事なかったけど

その細工が とても、手が込んだ物だというのが 一目でわかった。

 歯科技工士の時から ワックスは触っていたので、ワックスの授業は 上級の

課題をやっていて、それも もうほぼやる事無い位になっているんだそうだ。

触るだけでも 壊してしまいそうな品、こんな 電車の中でなんて、怖くて

手が震える… 早々に お返しして

『やってないけど すごいのは良くわかる!』

っと感嘆の気持ちを 精一杯伝えた。


『こんな細かい仕事する時には 髪縛るんでしょ?』

「いや 別に縛らんな」

『あっ でも、前 縛ってましたよね?』

「学校で?」

『うん 学校で。喫煙所で 私、椅子譲ってもらったんだけど、その時』

「俺?」

『そう 覚えてないですかね…』

「俺っ?」

『ぅ…ん… 昼休みの時 一回、私 喫煙所へ行ったら、一杯やって。やめよと思ったら、椅子空けて 譲ってくれた事があるの』

「おれぇ?」

『ぅん… そん時 髪縛ってたから』

「あー それ俺じゃないゎ」

『えっ?』

「俺ぐらいの髪の長さある奴やろ?」

『そ』

「それ俺じゃない」

『えーーーーー そうなの? えぇ~』

「入口近くやったやろ?」

『うん』

「俺 奥しかいかんもん」

『へっ?』 『いやぁ~ン てっきりG さんやと思ってたぁ』

「でも あいつと、俺 誕生日一緒なんや」

『えっ?誕生日一緒なの?』

「おッ」

『へぇ~』『いつ?』

「〇月◇日」

『そうなんや』

「あん時 隣に女おったやろ?」

『かも?』

「あいつら 付き合ってて、2人で ブランド立ち上げるんやと」

『へぇ~』


 その椅子を譲ってもらった事が 私が G の事を気になる、きっかけ

だった事に、この時 既に、取られてしまってた感じがする。

 それにしても あのバレンタインデーの前日、電車が遅れて チョコを

渡せなかったんだけど、それも 正解だったんだぁっと。あのまま チョコを

渡せてしまっていたら、もっと おかしな事になってたかもしれないもの…


 私が 人の顔を、しっかり見ずにいるのも 悪いんだけど。私は 人と

接する時、どうも その人の雰囲気で、人を判別してるところがある。

だとすると、同じ誕生日の人同士の2人。もちろん 全体的に どこか

雰囲気似てたはず、結べる位の髪の長さがある事。背格好も 服装も

やや似通っていた感じがする。

 やはり 誕生日って、何か 影響あるのかもしれないなぁっと

占いの類も、私は 結構信じてしまう方だけど、あながちなのかもなぁ~


 等と思っているうちに 電車は、目的の駅へ。


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