第218話「七五三」
僕は、保育園年長組、5歳の時に七五三をした。そうそう、七五三に向けて、前の週の日曜日に、デパートでブレザーを買ったなあ。そして、卒園式や小学校の入学式にも着られるようにと少し大きめのブレザーを買ったのだった。しかし……
なぜか半ズボン!?僕には、それがなぜか、少し恥ずかしかったのを覚えている。
七五三の朝、爺ちゃんは背広の正装をして、居間の神棚にむかいなにやら、ブツブツお唱えしていた。婆ちゃんも正装をしていたが、こちらは家紋の入った着物だった。親父も背広の正装をし、ハイヤーを呼んで近くの神社に向かった。
神社では、賽銭を投げたのと、千歳飴を買ってもらったのを覚えている。僕は、千歳飴が、とにかく早く食べたくて仕方なかった。だから記念写真を撮影した後、千歳飴の入った、細長い四角い紙袋を開け、早速食べたのだった。
千歳飴は、2色あって、紅白になっていた。僕は、紅い飴から食べたのだった。すると、婆ちゃんが千歳飴を食べるのを嫌がった。
「服が汚れると、洗うのが大変だから、帰ってからにしな!」
と、言った。でも、もう食べていた。これを聞いた親父は納得な様子で……
「ミズキ、飴貸しな!」
と、親父は僕の飴を……
ポキン
と、舐めていたところから折ってくれたのだった。
とりあえず、口に入る大きさに折ってもらい、飴を舐めることが出来た。帰り道、ハイヤーの車内で、またおかわりの飴を折ってもらった。舐めていると、爺ちゃんが……
「美味しそうだなあ。爺ちゃんにも少しくれ」
と、言った。でも、かなり甘かったようで……
「いや~!甘い甘い。こりゃダメだ。飴は、ミズキ君に返すよ」
と、爺ちゃんは舐めるのをあきらめたのだった。そして、ちり紙に飴をくるんだのだった。帰宅して着替えると、僕は残りの白い千歳飴を、「長いまま」ほおばった。そのうち、爺ちゃんが飴を渡しにやって来た。
しかし……
「わあ~!ミズキ君。こりゃダメだ。ちり紙に飴がくっついちゃってるよ。うっかりしてたなあ。そりゃそうだ!!」
と、爺ちゃんは驚いていたのを覚えている。
おしまい
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