第121話「僕らのロケット花火対戦!」

僕の小学時代の話だ。

ロケット花火を水平打ちにして、良くしたのが……「戦争」だった!これがまた、バカに興奮した。公園の両端に分かれて打ち合うのだ。昼間……


「おい戦争やろうぜ!」


と、誰彼となく声が上がり、何時にどこどこと決めてバイバイするのだった。


5年生の時が、一番「戦争」をしたかな?夕方、近所の駄菓子屋やオモチャ屋で、ロケット花火を大量に購入して集まった。「戦争」をするのには条件があった。始まったら、とにかく短時間で済ませなければならない!何故なら……通報されるから!(本当にバカだよね~)


まあ当時は、お巡りさんが来て怒られる程度だが、今やってたら、住所だの学校だの聞かれたり、親や先生が迎えに来るだのと、大変な事になるだろう!!(へたすりゃ補導だよなあ)

夕日が沈むか沈まないかの時間に「戦争」の開始が多かった!夜に出歩くのは禁止されてたからだ。暗くなったばかりの公園。そこで飛び交う光の線に興奮した!!


が、その前に、色々と準備することがあるのを思いだした。事前準備の話も書かなければ!ゴウとエダは、リトルリーグをしていたので、野球のヘルメットをかぶって来て……


「これで、当たっても大丈夫!」


と、言っていた。

他のヤツらは、帽子をシッカリとかぶっている。そして全員、長袖長ズボン!一度、ケイタが半袖半ズボンでやっていて、足と腕の所でロケット花火が爆発!そして火傷をしたのだ。それ以来、みんな痛いの嫌だから、長袖長ズボンになっていたのだった。


コウとイケは、自転車のカゴにロケット花火を差し込んでいた。そして、導火線を隣りの花火に結びつけていたのだった。自動連発システムの完成だ!ホリは、サングラスをかけていたなあ。


「これで目に当たっても大丈夫!」


なんて言っていたっけ!でも案の定……


「暗くて見えねえ」


って言ってたっけ!

僕は、地面にロケット花火を一度突き刺し、引っこ抜きまた刺して、飛び出しやすくした。色んな角度で突き刺し、それを何十本と並べた。みんなの準備は整った!さあて、そろそろ「戦争」開始の時間だ!!


「戦争」に使う花火は、ロケット花火だけじゃなかった。まずは、手榴弾よろしく「トンボ」と呼ばれた花火を投げた。両陣営の真ん中の辺に投げ込まれたトンボ花火は、導火線の火が着火すると……


シュウウウウ~


と、回転を始めて、飛び上がっていった!飛び上がり、10メートルぐらいになると……


パンッ!


と、爆発した。

それを合図に、両陣営からのロケット花火水平発射の大戦争が始まるのだった!


相手側、コウとイケのロケット30連発が、まずは飛んで来た!ロケット花火の導火線が隣りのに結ばれていて、一呼吸おきに、ロケット花火が自動で発射された!低く速く飛び込むロケット花火は、こちらの陣営の草むらに飛び込み……


パーン!


破裂した!


「うわ~!」


と、ケイタが叫ぶが、長袖長ズボンの武装のケイタ。沈着冷静に、牛乳瓶やビール瓶に差し込んだロケット花火に点火!それを一発づつ、的確に敵陣営にぶち込んでいた!そしてなんとそれが、コウとイケの自転車のカゴに見事に突き刺さり、爆発!せっかく用意していたロケット花火がバラバラになって慌てている姿が見えた!


僕は、地面に突き刺したロケット花火に、普通の花火で点火した!これにはコツがあり、導火線の端からではなく、花火の噴出し口ギリギリを、少し横から点火!さらに次の花火にも点くようにして、次々に連射したのだった!僕のは相手の頭ら辺で爆発!結構、こっちの方がビックリする。でも、地面は時々、上手く抜けず飛ばない花火もあり、手前で爆発して自爆する時もあった。


一気に打ち合い、一気に終えた!さあ、お巡りさんが来る前に次の公園に移動だ!(書いていて思い出すけど、本当にイタズラしすぎだよなあ~)


「戦争」は何度もやってるから、段々と、防御もバージョンがアップしていった。2本の枝を地面に差し込んで、自分の服をかけて防壁を作った。これは、かなりの効果があって、飛んできたロケット花火を、ハネ返していたなあ。でも、終わったあとに服をみると、焼けて穴があいていて、婆ちゃんに怒られたものだ。


段ボールも盾にした。ただ段ボールは時々、ロケット花火が突き刺さってしまい、その場で爆発するから焦ったのだ!それなりに厚いのでないとダメだと分かった。そうそう、だから一度、カミの段ボールにロケット花火が突き刺さって、それで段ボールが燃えた事があった!!その時、ホリが……


「みんな休戦だ!消火開始~」


と、ズボンのチャックからチンチンを出し、オシッコをかけて消火したのには、腹を抱えて笑ったものだった!


そうそう盾に対して、編み出されたのが「2段式ロケット花火」だ。ロケット花火の先に、もう一本ロケット花火をつけたのだ。この時のコツは、時間差をつける事!一段目の爆発ちょっと前に、次のロケット花火が着火!発射されるようにした。これによって倍の速度と衝撃は……二乗の二乗だった!(妄想の中では!)でも本当に、普通の段ボールなら貫通し、分厚いのでも食い込んで爆発した!!(だから、カミの段ボールが燃えたのだ!)


そういや、水鉄砲を持って来たヤツもいたなあ!ノグの奴だったかな?飛んで来たロケット花火に向かって、水をかけて消火しようとしいたのだった!もう、気分は核弾頭を打ち落とすガンダムだ!(しかし、まあ消えやしないって!)


核弾頭で思い出した!「多弾頭ロケット花火」を作ったなあ。1本のロケット花火に、頭だけにしたロケット花火を6本つけて、長い葉っぱで巻き付けるのだ!導火線は、全てねじってつけておいた。しかし着火では、飛ばす為の中心のロケット花火だけには、先に点火するようにした。やや頭でっかちだが、水平発射なら、すべって飛んで行き途中から……


バシュバシュバシュ!


っと、弾頭が分かれて飛んで行くので、相手はビックリしていたのだった。


「戦争」とは別に、ジャンケンで負けたヤツを「銃殺」とか言って、壁に後ろ向きに立たせて、そこに、ロケット花火を大量に打ち込むのもやったなあ。僕もやられたが、見ているほどの怖さはない!実際に至近距離で爆発することは少ないからだ。(とは言っても、真横で爆発すると皮膚がビリビリした!)

爆発よりも煙の方が、とにかく凄くて大変だったなあ。


またまた思い出した!

余談だが、小学時代でなく中学時代の話なのだが、大晦日にとある公園に行ったら、高校生数人が何やらやっていた。見ていたらこちらにやって来た!


「あのさあ、見ていていいから、誰か来ても僕達の事黙っていてくれないか?」


と、言うのだ。つまりは通報しないでくれ!と言うことだった。高校生達は、自作のロケット花火2000発セットを作って、今まさに仕掛けていた所だった!ロケット花火2000発は、マジで凄かった。とにかく連発が、終わらない終わらない!2、3発同時に発射しても、60~100秒はかかるのだ!


カウントダウンと共に、乱れ飛んだロケット花火。その光景は、今だに鮮明に覚えている。


おしまい






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る